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家探し

 ルーミアの泊まる宿が改修で利用できなくなってしまう。

 そのため利用していた客は一時的に他の宿などを探す必要があるのだが、ルーミアはこれを機に家を買い、宿暮らしを卒業しようとしていた。


 ちょうどいい、という訳ではないが装備が壊れ、新しいガントレットが完成するまでは活動を休止する予定の彼女にとっては絶好のタイミング。

 彼女にとっては物件探し日和だった。


「リリスさんはどんな家がいいんですか?」


「そうですね……。ルーミアさんが暴れても壊れないくらい耐久性に優れているのが好ましいですが、おそらくそんな物件は存在しないので、とりあえずそこそこ広いのがいいですね」


「なんで私が暴れる前提なんですかぁ?」


「暴れないんですか?」


「……今のところ未定です」


 同居人となるリリスの意見も聞いて決めたいと考えたルーミアは彼女の休日に合わせて、こうして物件を見に行くことにしていた。


 歩きながら理想の家について尋ねるも返ってくる辛辣な意見に眉をひそめるルーミア。

 家を破壊する方向に全幅の信頼を得ていることに関して異議を申し立てたいところだが、残念ながらこれまでの実績がそれを咎める。

 ルーミア本人も心のどこかでは認めている部分もあるのだろう。


「ルーミアさんこそ何か要望はないんですか? あなたが家主なんですからあれこれ決める権利はあなたのものですよ」


「そう言われましても……住めればなんでもいいって感じですね。特にこだわりたいところもないですし」


「家を買うって結構大きな決断だと思うのですが、そんなに適当でいいんですか?」


「まあ、そうですね。リリスさんの意見を聞きながら選ぶってことで」


「私の要望が通るのなら願ったり叶ったりですが、ルーミアさんもちゃんと意見を言ってくださいよ?」


 一緒に住むことになるとはいえ、家に関するあれこれを決める権限はルーミアにある。

 そのはずなのだが、家主とは思えないほどに雑で無関心。


 リリス自身もせいぜい口出しできる部分と言えばちょっとした要望を通すくらいに考えていた。

 だが、蓋を開けてみればルーミアの放棄した決定権がそのまま自分に回ってくる予感がする。

 まさかそこまで責任重大な役割が与えられるとは思いもしなかったリリスは顔を引きつらせた。


「でもまあ、せっかく住まわせてもらえるのでいいところにしたいですね」


「お、その意気ですよ! 私達の愛の巣を……!」


「とりあえずルーミアさん用の犬小屋が欲しいですね」


「……あのー、一応言っておきますと、私はペットじゃないですからね? しれっと家主を飼おうとしないでください」


「住めればなんでもいいのでは?」


「……なんでもはよくないです。ちゃんと話し合いましょう」


 ルーミアのおふざけにリリスも冗談で返す。

 さすがのリリスも家主をペット用の小さな小屋に押し込むなんてことはしない。


 だが、権限を全て明け渡すとこうなる可能性もあると暗に示していた。

 リリスに丸投げする気満々だったルーミアを話し合いの場に引き摺り出すには効果的だった。


「いい物件、あるといいですね」


「高望みしなければいっぱいありますよ」


「広い部屋とお風呂は外せません。あとは……書斎も欲しいです」


「結構攻めますね」


「せっかくの一軒家なので妥協はしません。なるべく多くの要望を通してみせます」


「頑張ってください。応援してますよ」


「応援だけじゃなくて手伝ってください」


「分かってますって」


 こうも熱意に差があるとどちらが家主なのか分からなくなる。

 だが、能力的にも性格的にも適材適所。

 普段からリリスの事を頼りにしているルーミアだが、家探しの一件に関してはよりいっそう頼もしく感じられる。

 新たなる拠点に思いを馳せ、張り切るリリスに期待を寄せるルーミアだった。

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