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ガントレット

 町はずれの小さな鍛冶屋。

 リリスにそこを紹介されたルーミアはガントレット作成の依頼をしにやってきた。


「こんにちはー」


「おお、いらっしゃい。随分かわいらしいお嬢ちゃんだ。冷やかしに来たのかな?」


「冷やかしなんかじゃありません」


「はは、ごめんごめん。普段はむさくるしい男衆しか来ないからからかってみただけだよ」


 ルーミアが入店し、挨拶をすると、物腰の柔らかい男性が迎えてくれた。

 見たところルーミアより少し年上のお兄さんといった感じだ。

 軽い冗談も交えて話す様子は、初対面でありながら自然と打ち解けられるような感覚さえしたほどだ。


「僕はガイア。一応この店の店主さ。それで、お嬢ちゃんは何の用だい?」


「ここにガントレットはありますか?」


「ガントレットか……確か前に作ったものがどこかにあったと思うけど……売り場に出してないってことは、試作品置き場に紛れてるのかもしれないな。ちょっと待ってて、探してくるよ」


 オーダーメイドを大前提に考えていたルーミアはまさかガントレットがあると思いもしていなかったため驚いた。

 剣などと比べるとやはり使い手の少ない武器なため、商品として並ぶ機会も少ないものだが、幸運にもこの店にはガイアが作ったガントレットが眠っているかもしれない。


 しかし、仮に見つかったとしてそれがルーミアのお気に召すかどうかは別の話だ。

 彼女だって自分の身に着ける装備に望む性能がある。

 ブーツと比較すれば要望自体はそんなに多くはないが、それでも最低限搭載されていてほしい機能はあるのだ。


 そんなことを考えながらしばらく待っているとガイアが何かを抱えて戻ってきた。


「お待たせー。一応あったけど……これは試作品というよりかは失敗作だね。性能的には問題なさそうだけどサイズが明らかに小さい。でも、もしかしたら君のような女の子ならちょうどいいかもしれないな。どうだろう、気に入ってもらえるかな?」


 そう言ってガイアの差し出したガントレットを受け取ったルーミアはまじまじと眺める。

 黒い革の素材と黒い硬質部分で構成され、指が出るように設計されているが、手の動作を妨げないように指の第二関節から手の甲に至るまでが硬くなってる。

 手首の部分も比較的柔らかいように思えるが、見た目よりも硬質感があり、肘にかけてまでの防御力も期待できそうだ。


 ガイアが試着しても構わないというので試しにその右腕を通してみて、手を握ったり肘を曲げたり、硬い部分を叩いてみたりして調子を確かめる。


「着用感はとてもいいですね。サイズも私にはぴったりです。この硬いところには一体何が使われているんですか?」


「えっと、何だったかなー? 確か魔鉱石とブラックアリゲーターの鱗で作ったような気が……ああ、それで合ってるよ」


「なるほど、それなら強度の問題もクリア。魔法の親和性も十分。素敵なガントレットですね。これを売ってもらいたいんですが、いくらでしょうか?」


「気に入ってもらえたようで何よりだよ。そうだね……本来なら組み込みたかった付与エンチャントもついてないし、金貨二枚でいいよ」


「そんなに安くていいのですか?」


 ルーミアはこの黒いガントレットを気に入ったため購入の意を示した。

 ガイアに値段を尋ねるが、提示された安価に戸惑いを隠せない。


「いいんだ。材料もほとんど他のオーダーメイドを頼まれた時のあまりものだったからね。その代わり、これを使って活躍して、この店のことを宣伝しておいてよ」


「分かりました、頑張ります。ありがとうございました」


 ルーミアはお代を払ってお礼を言うと店を後にした。

 その腕には黒いガントレットが大切そうに抱えられていた。

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