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試験に備えて

 Aランク昇格試験への資格を得たルーミア。

 まだ試験がいつ行われるのかやその内容は未定だが、いつその日がやってくるか分からない。

 来たるべき日に万全な状態で臨めるように、体調面、物資面など様々な方向で準備を進めていく。


「うう、魔力ポーションは飲みたくない……けど安い。おいしくないけど便利……。背に腹は代えられない……ですか」


 ルーミアは前回初めてまともに魔力ポーションを服用した。

 ヒュドラをしばき倒すのに全力で取り組み、源泉の浄化を忘れて帰ったと思いきや、今度は魔力が足りなくて浄化作業が進まないという散々な事態に陥った。


 不測の事態に備えて経費で落とされていた魔力結晶も惜しみなく破壊しながらヒュドラを倒したため、ルーミアの手元に残っていたのは絶対に飲みたくなかった魔力ポーションのみ。そんな魔力ポーションをちびちび啜り時には吐き出しながらなんとか難を乗り越えたルーミアはその時のことを思い出して身震いした。


 可能ならば服用したくはない。

 しかし、その有用性は認めなければならない。

 魔導師にとって魔力切れは死を意味する時すらある。

 だからこそ魔力の回復手段は多いに越したことはない。たとえそれがルーミアの意思に反した物であったとしても。


 口の中に広がる酸っぱさや苦さを思い出して涙目になりながら魔力ポーションを大量に購入したルーミア。

 目尻に水滴を浮かべて、苦しそうな表情で嘔吐(えず)きながら魔力ポーションを抱える様子はさぞかし不審だっただろう。

「とりあえずこれでいいですか……。大丈夫です、飲まなくても済むように上手く立ち回ればいいだけです。そうです、私ならやれます、やれます……よね?」


 魔力管理を自らの課題としてから果たしてそれは上手くいっているのだろうか。

 無駄な消費を避けようという意識はあるものの、ふとした瞬間にかけていたリミッターが外れて、消耗度外視の魔法多重行使をやってしまうのはルーミアの癖のようなものだ。


 言い聞かせるように呟くが若干声が震えて上擦っている。

 この課題を乗り越えるのはまだまだ先が長そうな様子だが、当のルーミアはかわいらしく胸の前で両手を握り締めている。


 ◇


「――――さて、あとは私の使える魔法や技の整理ですね。といっても使える魔法はそれほど多くありませんが」


 その他もろもろ、物資の補給を終えたルーミアは、特に依頼を受けたわけでもないが、魔物がうろつく草原へと足を運んだ。

 目的は、現状使える魔法の再確認と組み合わせによってできることの把握。そして大まかな魔力の消費量の感覚把握。


身体強化ブースト


 あえて言い直す必要もないが、魔法行使の際は口にした方が気分の上がるルーミアは、自身の原点の魔法を口にした。

 今では常時かけっぱなしになっているこの魔法。段階を引き上げていく事でより強力な強化を得ることができる。身体能力が強化されると身体を動かす際の感覚も変わるので、より大きな強化ほど制御が難しくなる。


 現在のルーミアがギリギリ制御可能と定めているラインは七重セプタ。突発的にそれ以上を使うことがあるかもしれないが、その場合は短時間に収まるようにしている。


付与エンチャントウィンド


 付与エンチャントはルーミアとルーミアが装備している武具に任意の属性を与える魔法だ。スピードに特化した動きをしたいときは風、一撃の威力を上げたいときは火や雷を好んで使う。


 例によって重ね掛けすることでより強力な属性強化を得て、とてつもない効力を発揮する。ちなみにルーミアが魔力切れに陥る際は付与の多重行使が原因になりがちだとか。


重量軽減デクリーズ・ウェイト


 その名の通り、重さを軽くする魔法。自身の体重のみならず、装備品、時には触れた相手の重量を軽くするという使い方も可能。風属性の付与との相性がよく、軽量化と身体強化も合わせて高速移動が可能。ルーミアのお気に入りの形態の一つだ。


「基本はこんなものですね」


 その他回復(ヒール)浄化ピュリフィケーション、状態異常に対する白魔法もあるが、基本的に戦闘で使われるのは回復が主になるだろう。


「よし、では適当に暴れてスッキリしたら帰りましょう!」


 とりあえず目についた魔物に風神モードの状態で襲いかかったルーミア。

 その他、身体強化ブースト付与エンチャントの段階や種類を弄りながら、風の連撃、炎のパンチ、氷の蹴り、雷の頭突きなど、様々な攻撃を試しながら、討伐した魔物で高い山を作り上げたルーミアだった。

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