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第一章 誕生編 第6話 ターニングポイント 1

魔導王がチートすぎて扱いがむずすぎる

「じゃあ 早速魔法についての授業を始めるわね!」


「は〜い リリ魔法楽しみ!!」


「あら〜リリちゃんはやる気満々ね〜!」


始まってしまった…ついにリリの才能が明るみに出てしまう


今までも無意識に身体強化を使っていた節もあり、そう遠くない未来に判明してしまうだろうと思っていたがまさかこんなことで…


「ん〜どうしたの?アレン グランの剣の修行で疲れちゃったの?」


「アレン元気ないぞ〜! リリみたいにうお〜ってなってない!」


全く誰のせいだと…


「大丈夫だよ 母さん ご飯も食べたし元気いっぱいだよ! ちょっとはじめての魔法の授業で緊張してたの」


「そうなのね! そんなに期待されちゃうと母さん頑張っちゃう!」


「おぉ〜 アレンそれってむしゃぶるいって言うんだよ! リリ知ってるよ!」


リリがムフーッと得意げに胸を張る


「じゃあまずは魔法について説明してくわね!」



「魔法っていうのは体内の魔力を詠唱とかで変化させて放出することでできるのよ! つまり魔力の性質を詠唱などによって変えて出すって感じかな?」


うん、ここら辺はもう理解済みだ 最初に読んだ魔法の本にも載ってたことだ


「リリわかった! 魔法ってすごいんだね!」


リリは本当にわかっているのかわからないが 彼女は神童だし本当に理解しているのかもしれない


「魔法の材料が魔力ってことなんだけど、その魔力の扱いが上手くないと魔法の効果はうまく出ないの

だからうまく動かせるひとはそうじゃない人に比べて威力や効果が低くなっちゃうの」


そう言って母さんは詠唱を始める


「根源たる炎よ 今その大いなる輝きを示し 我らの道を照らしたまえ ファイア」


母さんの指先にバスケットボールくらいの火球がボッと灯る


「おぉ〜 すごいすごい!魔法だよアレン 魔法だよ!」


リリが目をキラキラさせている、きっと君もすぐ使えるようになるよ…


「うふふっ そんなに喜んでもらえて嬉しいわ〜 さて今から魔力操作の差を教えるわ!」


「まずこれが魔力操作が下手な人の魔法!」


そう言うと手元の炎が揺らぎ綺麗な丸ではなくなり、大きさも小さくなる


「ほんとだ!綺麗じゃなくなったね!」


「次が魔力操作をきちんとした魔法!」


次の瞬間手元の炎がバスケットボールよりも大きくなり、形も綺麗な真球となった 


「おお〜すごい!おっきー綺麗なまんまるだ!」


なるほどやっぱり魔力操作のスキルは大事だなと改めて気付かされた毎日魔力で遊んでいてよかった


「じゃあ二人には魔力操作の修行をしてもらいます! 火は危ないから二人は水魔法ね! アレンは無詠唱でできるからいいとして…リリちゃんは詠唱から覚えよっか!」


ついにリリが魔法を使う!ま、まぁでも最初だし?魔導王と言えどもすぐ追い抜かれることはないだろう…


「うん!リリ頑張るね! おっきいまんまる作る!」


「うふふっできるといいわね! じゃあ私の今から言う言葉を言ってみてね “根源たる水よ 今その大いなる恵みを示せ プチウォーター” わかったかしら?じゃあ言ってみて? 」


「うん!え〜っと こんげんたるみずよ いまそのおおいなるめぐみをしめせ ぷちうぉーたー?」


次の瞬間、リリの指先からさっきの母さんの火球よりも大きく、そして完璧な真球な水球が生まれる


「やったやった〜! おっきくてまんまるだ!」


まじかよ…どうやら本当の天才は僕ら凡人が歩いて渡る道を新幹線…いや戦闘機の速さで駆け抜けてしまうようだ


「うそ…まだプチなのに私のファイアよりも大きいなんて…しかも完全な真球…最初から魔力操作がとんでも無く上手いってこと…?」


流石の母さんも絶句したのだろう、そりゃそうだ

初めて魔法を使った三歳児が『今のはメラゾーマではないメラだ』をやってのけたのだから


これが、魔導王の力なのか… 僕の能力になる予定だったけどチートすぎる!!


「ん?どうしたの? 私何か間違っちゃった?」


本人はいたって普通だ 自分のしたことがどれだけ規格外かわからないのだろう 恐れていたことが起こってしまった 流石の母さんも気味悪がるかもしれない…


「………ごい……」


「え?」


「すごいわ!!リリちゃんも天才なのね!!」


へ?


「うちのアレンも天才だし、リリちゃんもとってもすごい才能を持ってるみたいだし、私の生徒が将来偉大な魔法使いになるなんてとっても嬉しいわ!」


「母さん びっくりしないの?」


「びっくりはしたわ! でも嬉しさが勝ったわよ〜! この村から二人も歴史に名を残せるような人が生まれて、しかもそれを私が教えたなんて名誉中の名誉だわ!」


すごい人だ…改めて母さんをそう思った

僕が母さんなら正直僕みたいな子は末恐ろしい、リリなんてもっとだ

だけど母さんはそんな僕らに教えることができて嬉しいとまで言ってくれたのだ


「リリすごいの? やった〜!」


「そうよリリちゃんはと〜ってもすごいのよ!これからどんどん色んなことを知って立派な大魔法使いになりましょ!」


そう言って二人はキャイキャイと手を取り合って喜んでいた


僕は少しだけ肩の荷が降りた心地がした

元はといえばあのバカ神、そして実験を失敗した僕のせいでリリにこんな能力が移ってしまったのだ

リリが恐れられたり気味悪がられたりするのは精神衛生上大変よろしくない


少なくとも5歳まではそんな目に遭うこともなく、自分を受け入れてもらえる場所があるだけでリリも違うだろう 


少しだけほっとした


今日の魔法の授業はそうして終わった 


………


夜ご飯の時に母さんは父さんにリリちゃんもすっごい才能を持った子だった、将来が楽しみ!と言っていた 

父さんもこの村から二人も天才が出るなんて喜ばしいと二人でわいわいと嬉しがっていた


その夜、僕は訓練で疲れていたにもかかわらずあまり寝付けなかった


リリのことを考えていたのだ


リリはこれからおそらく険しい道、茨の道を歩くことになるのだろう


本当は僕が負うはずの責務をあの小さい体で負うことになってしまったのだ


僕のせいだ、僕がバカなミスをしたからだ 何が好奇心の化け物だ


5歳となったらリリは鑑定の儀によって魔導王のスキルを持っていることが真の意味で明るみに出で、色んな人に知られてしまう


もしかしたら親元を離れさせられて過酷な鍛錬を積まされるかもしれない 国や大陸を戦争で勝利させるために


リリは多くの人を守るためにその力を使わされることになるだろう


じゃあリリは誰に守って貰えばいいんだよ!!


思わずベッドを叩いてしまう 




………僕は決意する 


その時は僕がリリを守る そのための力をどんな方法を使ったとしても手に入れて見せる 何としてでもだ………


僕は確固たる決意を胸に、目を閉じ、意識を手放した

・       

・           【称号:勇者の卵を得ました】    【称号:魔王の卵を得ました】


読んでいただきありがとうございます!

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