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第二章 冒険者編 第25話 僕の答え

月末で通信がやばい…

「アレン どうしてさっきから目を合わせてくれないの?」


「そうだよ アレンくん! ずっとそっぽ向いちゃってさ!」


二人の腕の中で泣き止んだ僕は、女の子に泣きついたという事実に恥ずかしくなってしまったのだ


(くそっ ついギャン泣きしちゃった… 二人に合わせる顔がないや)


というわけで、絶賛、壁とご対面中なのだ


「もしかして、さっきのを恥ずかしがってるの?」


「え? そうなの? なんで?」


リューネちゃんの純粋さが、逆につらいよ…


「そ、それは… 女の子の前で泣くなんて、男として恥ずかしくもなるさ でも、さっきのことは感謝してる ありがとう…」


僕は二人に背中を向けながらそう言う


「もうっ ほ〜ら!」


ぐいっと顔を回され、クリスと強制的に目を合わせられる


「く、クリス?」


「やっと目があったわね…

いい?一回しか言わないからよく聞きなさいよ! 貴方は私のことをゴブリンディザスターから救ってくれた人、つまり、私の命の恩人よ

私はしたくて、あなたに胸を貸してあげたの だから、もう恥ずかしがらないで…ね?」


微笑みを浮かべながらクリスはそう言ってくれた


「ありがとう、クリス なんか吹っ切れたよ…

そうだね、クリスもリューネちゃんも僕の仲間だ

恥ずかしがることもなかったんだ」


「そういうこと 今度、私かリューネちゃんが泣いている時には、アレンが受け止めてね

しなきゃ、怒るわよ」


クリスは僕の頬を指でツンっと押した


「とりあえず、一件落着ってことね で、アレン

自分の答えは見つかったかしら? 昨日言ってた記憶は思い出せた?」


「うん ちゃんと思い出せたよ… どうして今まで忘れてたんだろって思うくらい、大切な、大切な記憶だった」


僕は自嘲気味に笑った


「そう… アレンは見つかったのね リューネちゃんはどう?」


「私もやっとわかったよ 私にとって知識ってなんなのかってことが…」


リューネちゃんもどこか遠い昔を思い出すようにそう言った


「そうなのね じゃあみんな見つかったってわけね」


「てことはクリスも?」


「えぇ、見つけたわ 大事な、大事な根源をね」


皆それぞれが『自分にとって、知識とは何か』という問いに答えを出せたようだ


「よし じゃあ挑戦しますか! 最終試練!」



………………………




僕らは試練を受ける部屋の中に入った


「来たのですね… 前回から16時間24分13秒ぶりですね 答えは出ましたか?」


「はい なんとか…」


「了承、では一人ずつ前へ」


今回のトップバッターは僕だ 一歩前に出る


「貴方が最初の挑戦者ですね? 『サイレント』」


彼女がそう言って指を僕に向けると半透明のドームに彼女と僕が包まれる


「これは?」


「告、他の挑戦者にあなたの回答が聞こえないようにしました では、問います

あなたにとって知識とは、どういったものでしょうか?」


僕は拳をぎゅっと握り、彼女の目を真っ直ぐと見て答えを言った


「僕の答え… それは『知識』は僕にとって『力』

僕の大切な人を守る、この手から…零れ落ちないようにする『力』だ!!」


「『力』ですか… それが貴方の答えですね

では、己の私利私欲のために知識は存在していると?」


「そうだ 僕は僕の守りたいものを守るために知識が欲しい だから、僕自身の望みのために知識が欲しいんです」


彼女の表情は変わらず、無表情のままだ


「告、あなたは強欲な人 知識を己の私利私欲のために使う人 と、言うことですね?」


「はい、その通りです」


「そうですか… その答えを変える気はありませんね?」


彼女が無表情のまま、僕にプレッシャーをかけてくる


「変える気はない! 僕にとって嘘偽りのない答えです この考え以外、あり得ません」


僕は彼女の圧に負けずに、じっと目を見据える


「了承…合格です どうぞ、こちらが第4階層の通行証です それではお通りください『賢者』よ…」


え、合格? 不合格みたいな雰囲気だったけど?


僕がなかなか次の階層に進まないことに疑問に思ったのか、彼女が小首を傾げる


「どうされました? 何かございましたでしょうか?」


「いえ、正解の基準が分からなくて… 正直、自分でもこの考えは弾かれるかなって思ってたんで…」


「告、私、この階層の守護者ウノが判断いたしました  あなたの答えは合格です それ以上のことはありません」


「そうですか、説明ありがとうございます 

えっと…ウノさん」


「はい、私の個体名は『ウノ』で正解です

それではお通りください」


僕は今度こそ次の扉を開けた


……………………


アレンがいなくなった部屋で、ウノはある思考を巡らせていた


「まさか、彼と同じ答えを言うものが現れるとは…

これが、貴方様の意思、ということなんでしょうか…」


そう言って昔を懐かしんだウノは、その考えを振り払うと、サイレントを解除した


「それでは、次の挑戦者の方 前へお願いします」


……………………


扉を開けると、そこは雪国だった、ということもなく厚い本が並ぶ本棚が所狭しとあっただが、その数はそう多くもない


「ここが、第4階層か… みんな、クリアできるかな… 心配だ」


二人が部屋に入ってくるのを待つが、待てども待てども入ってこない


「まじか〜 クリアできたのは僕だけってことかな? はぁ…心細いや」


僕は諦めて、目当ての本を探すことにした


流石、禁書を扱っているだけあって、題名がどれも物騒だ


「『国を破滅に導く3ステップ 〜わかりやすいイラスト付き〜」 か、なんでこんなポップな題名で滅ぼされなきゃならないんだ… え〜っと、魔王、魔王… これかな?」


僕は一冊の本を手に取った

古めかしい本の割に、一切埃を被っていないな 不思議パワーか?


その本の題名には『歴代魔王の力: “魔王” という存在の考察』と書かれている

ここに情報が載っててくれ…


僕は最初のページをめくってみると、魔王という存在についての定義がなされていた


【魔王】: 魔族の頂点に立つ資格と、力を同時に持ち、魔族を統べるもの その種族は殆どが魔族であるが、例外的に他の種族のものが魔王となって君臨した例も存在する

現に、初代魔王は人族であったとされている


「へぇ〜 初代魔王って人族だったのか…

まぁ、僕も人族だけど、【魔王の卵】なんていう称号があるくらいだしなぁ 初代魔王についてのページ見てみるか」


ページをめくっていくと、初代であるからか序盤の方に目的のページがあった


「なになに… 『初代魔王は人族に絶望して、初代魔王に君臨した。その膨大な力は現在も殆どが謎に包まれている。 ただ、どの文献にも見た目からは想像もできないほどの強大な力を持っていたと記載されており、その力は疑いようがないだろう。 言い伝えによると、魔王の逆鱗に触れた人族の国を単身で滅ぼしたとされている。 その時に振るった剣が、現在分かっている魔王の力の一部である『魔剣 メギド』である。(次ページを参照)

魔王自身の性格は苛烈とも、冷静とも、温厚とも様々な記録があり、正確には定かではない

歴代魔王の中でも特に謎に包まれた人物であることは明白である。今後も研究を続け、その力を解明したいと思う』か…

なんだよ〜初代なんて一番大事な人物っぽいのに、全然分かってないじゃないか〜」


僕はガックシと肩を落とした

折角、試練を乗り越えてきたのに手に入るリターンが少なすぎるよ…


僕は気を取り直し、次のページをめくる

そこには、『魔剣 メギド』の説明があった


「僕に入ってった剣ってこれだったりして…

え〜っと 『【魔剣 メギド】: 初代魔王が振るっていたとされる魔剣 

その刃は海を割り、山を崩し、空を貫いたとされる その姿をはっきりと見たものは全員殺されてしまったため、その全貌は闇の中である。

ただ、魔王の側近であった者の記録の中にわずかに記載があり、その姿の詳しい説明はなかったが、その剣が禍々しい見た目で、近づくことすら憚られるとあった。

また、魔王が剣と話をしていた、とも記録があり、インテリジェンスウェポンの可能性もある。

この少ない情報から言えることは、この魔剣の破壊性は群を抜いているということだ』

か… なんだろう、僕に入ってった剣がこの『魔剣 メギド』だっていう可能性が高まった気がする… あの時聞こえた声って、あの剣自身の声だったのか? って、ことは僕の中に初代魔王が? はははっ…まさかな…」


僕はその考えを振り払うかのように頭を振り、本を閉じた


そこでふと、気になったのは初代勇者のことだ 今まで、魔王にばかり気が向いていたのであんまり調べていなかったのだ


僕は早速、勇者についての本を探し始めた

すると、それっぽい本が魔王関連の棚の横にあったのだ


その本の背表紙には『勇者英雄譚』と書かれている いつの時代も勇者は英雄なんだな…


その本の1ページ目をみると、初代勇者という記載があった


「ビンゴ! 今日は勘がいいな!」


パラパラとページをめくっていくと、勇者の歴史やその戦闘記録がびっしり載っていた


魔王とは違って、ちゃんと記録されてたんだな〜


その中で、気になるページを見つけた


「おっ! ここ、勇者の力が載ってる!

えっと…『初代勇者はあらゆる戦闘が可能であったが、その中でも剣が最も得意であったとされている。

勇者は普段、剣を携帯しておらず、戦闘時に召喚していたらしい。 この力は聖剣自身の力とも、勇者の力とも様々な考察があるが、私自身は勇者自身の力であると明言したい。

勇者の剣の名前は『聖剣 アレクサンダー』である。 

その力は全ての悪を滅ぼし、あらゆる障壁を跳ね返したとされ、対魔族においては、無類の強さを発揮したと言われている。』

え? 僕がサテラと戦っている時に召喚できた聖剣もアレクサンダーだったぞ?

てことは、僕に力を貸したのは初代勇者だってことかな? ってことは、僕の中に初代魔王と初代勇者の剣が入っちゃってるってこと!?」


僕は、その厄介ごとの香りしかしない事実に気づき、青褪めるしかなかった


「お〜い 魔王さん、勇者さん! 居るのは分かってるんですよ〜! 出てきてくださいよ〜」


僕は自分の中にいるであろう存在達に話しかけてみる

しかし、何も起こらず、静寂だけが広がっている


「はぁっ なんだか間抜けなことしてる気がするな 気を取り直して、他のことも調べてみるか…」


と、他の本を取ろうとした時にあのオルゴール調のアナウンスがかかった

どうやら、いつの間にか閉館時間になってたらしい


「ちぇっ 明日にお預けってことか まぁいいや、次からはここに直で来れるからね

クリスとリューネちゃん落ち込んでないといいな〜…」


僕は第4階層の扉を開ける


「あれ? なんでまだクリスとリューネちゃんがいるの? まさかずっと待ってたの?」


そこにはリューネちゃんとクリスが立っていたのだ


「いえ 私たちも部屋から出てきたところよ」


「そうだよー」


「え? 部屋ってどこから?」


二人は僕の後ろの扉を指差す

第4階層の扉だ


どういうことだ? 二人は確実に入ってきていないぞ?


僕が混乱していると、クリスが何か合点がいった顔をした


「あぁ、そういえば アレンは最初にクリアしたから、わからなかったのね これはね…」


クリスの話によると、クリスも試練をクリアできたようなのだ

そして、次の階層に進むと、いるはずの僕がいないので、一旦引き返してウノに聞いたらしいのだ

すると、どうやらこの階層だけは特殊で多くの平行世界となっているらしく

クリアした人それぞれに対して、一部屋ずつの第4階層の部屋が与えられるそうなのだ


ウノによると、時空魔法の応用らしいのだが、まだ僕にも理解できない分野だ


「なるほどね… だからクリスもリューネちゃんも入ってこなかったんだ」


「そういうことよ じゃあそろそろ閉館時間だし 帰りましょ」


僕らは図書館を出て、帰路についた


「ねぇ、アレンくん 欲しい情報が見つからなくてもあんまり気を落とさないでね…」


ん?どゆこと?

 

「え? ちゃんと見つかったよ? リューネちゃんのところの本棚には無かったの?」


「 私のところには魔王の関連本なんてなかったよ! え〜どーいうことなの?」


「私もよ リューネちゃんもなのね 私のところの本棚にも魔王関連の本なんて無かったわ だから、あぁ、アレンは目的の情報を得られなかったのかって思って聞かなかったのよ 」


第4階層はそれぞれに平行世界が与えられるらしいけど、本の種類も人それぞれなのかな?


「明日、ウノに聞いてみようよ どうせ明日も行くんだし」


「そうね… ほんとに不思議が多いところよね…」


僕らは新たな謎が増えてしまったことに、少し辟易としながら、宿に帰っていくのだった

読んでいただきありがとうございます!

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