第二章 冒険者編 第16話 “料理コンテスト”開催!!
民族衣装っていいですよね…
料理コンテスト初日…………
「さぁ いよいよ本番だよ! みんな、気合い入れていこう! がんばるぞー! えいえい…」
「「「おー!!」」」
僕らは店の前で円陣を組み、気合いを入れた
優勝目指して頑張ろう
「それはそれとして、アレン この店の名前は何なの?」
「私も初めて見た時びっくりしたよ〜! でもクリスちゃん、この名前かっこいいでしょ?」
「あの時のリューネちゃんの発言で決めたんだ だって僕たちの目標は、ぶっちぎりの優勝でしょ?」
そう、僕らの店の名前は『仏恥義理』、『ブッチギリ』だ あのパーティーの名前を決める時にリューネちゃんが出した衝撃的な案
それがまさか店名になるとはね…
「とりあえず準備しちゃおう そろそろコンテストが始まるし」
「そうね 早くやりましょ」
「すっごい楽しみ! 早く始まらないかな〜」
店の設営を済ませていき、最初の客用にたこ焼きを焼いていく
今回用意した、たこ焼きの種類は普通のソース味、塩味、チーズ、そして変わり種のカレーだ
そうして準備をしていると、アナウンスが入った
「レディ〜ス・ア〜ンド・ジェントルメ〜ン!!
お腹を空かせた皆さま!! 長らくお待たせしました! いよいよ今年も開催、『料理コンテスト』が間もなく開幕します! みんな!フォークは?スプーンは?ナイフは? ちゃーんと持ってますか〜!! 食って食って食いまくれ!! 魅惑の食の祭典まで 5秒前!! 5・4・3・2・1…」
「かいまーーーく!!!」
ドワァッという声がして、人が雪崩れ込んでくる
さてさて、ファーストお客様は…
「おう坊主! 約束通り来てやったぜ! ほら、他の奴らもいるぜ!」
やっぱりダレルさんだった 優しいなぁ…
見ると後ろにゾロゾロと漁師の方々が押し寄せている いや、多すぎじゃね?
「ありがとうございます! 何にしますか?」
「じゃあ…このそーす?ってやつと、塩をくれや」
「はーい! 二つで豆銅貨4枚です!」
たこ焼きの価格設定は一つ、豆銅貨2枚だ
伝説の食材をこの価格 結構安めで売ってるが、クラーケンはほぼタダみたいなものだし、儲けは出るのだ
ガポガポ稼がせてもらいますわ ほな、いきまっせ〜
既に作っていたので、すぐにダレルさんに渡してあげる
こういう料理は、早い、美味い、安いが揃わなければ売れないのだ
「おう! 見た事ねぇ料理だな! どれどれ…
あっつ! …… うめぇ!! なんだこの料理は!初めて食べたがとてつもなく美味いぞ! このコリコリしたやつがクラーケンか… とにかくうめぇ!
おい!お前ら楽しみにしとけ! とんでもなくうめぇぞ!」
どうやら大満足してもらえたようだ
味に対する語彙は乏しいが、ダレルさんに言われた漁師さん達が、目に見えてウキウキしだす
さらに嬉しいことに、ダレルさんの大声やもう既に列ができているのを見た他の人たちが、興味を惹かれ、さらに看板にある『伝説の生き物を使ってます』という謳い文句に誘われて、続々と並び出してくれた この調子で広まってくれるとありがたい
クリスが売り子を務め、リューネちゃんと僕の二人体制で焼いていく
家事神のリューネちゃんはたこ焼き作りを僕に教わってすぐに上手くなった 今では作るスピードが僕以上になっている 流石だ…
列をドンドンと消化していくが、途切れる気配がない
やばい、めっちゃ人気なんじゃね?
「クリス 一瞬でいいんだけど 敵情視察行ってきてもらえない?」
僕はたこ焼きを焼きながら、クリスに話しかける
「えぇ いいわよ じゃあちょっと見に行ってくるわね」
クリスが心なしか、ウキウキと出かけていった
何か食ってくるなあれは…
「リューネちゃん 今のところ何の種類が売れてる? あ、ソースとカレーですね! 豆銅貨4枚です! はい、召し上がれ〜」
「ソースが一番人気で、その次が塩だと思うよ!
はぁい! ソースとチーズとカレーですね! 豆銅貨6枚になりま〜す! どうぞ〜熱々ですから気をつけてくださいね!」
僕らはお客さんに対応をしながら会話をする
やっぱりソースは珍しいから人気なのかな?
今のところ結構売れているな
ほとんどみんな二つ以上買っていってくれる上に、リピーターも多い
僕がホクホクとしているとクリスが戻ってきた
「ただいま… ケプっ 私達のお店も混んでいる方だけど王都の料理人とかのお店の、ふぅ〜…方が混んでたわよ あぁ〜 食べすぎた…」
こいつ!めちゃくちゃ食ってきたんじゃねぇか!
それにしても、この店も結構混んでると思ってたけどそれ以上なのか… 一筋縄ではいかんばい
「じゃあ私 ちょっと休むわね ほ、ほら歩き疲れちゃったしね!」
嘘つけ! 食い過ぎて苦しいだけじゃねぇか!
お腹が少しぽっこりとしているが、クリスにそんなこと言ったら確実に拗ねられるので言わないでおこう
僕は空気の読める男、なのだ
「クリスちゃ〜ん ほんとはいっぱい食べすぎちゃったでしょ〜 ほらお腹少しぽっこりしちゃってるよ〜」
こいつ! 言いやがった! 折角言わないようにしてたのに!
「ぽ、ぽっこりしてなんかないもん! リューネちゃんのバカ〜!!」
クリスが涙目で駆け出していく
だけど財布持ってたから大丈夫だろ きっとまた食うつもりだな? デザートかな別腹って言うし
そこからしばらくして、クリスが口の周りをクリームまみれで帰ってきたのは言うまでもない
………………
お昼の最盛期を越えると、会場の客足も流石にまばらになってきた
「もうお客さんも落ち着いてきたし、リューネちゃんも一回お店見てきなよ」
「え!? いいの〜? アレンくんありがとう!」
「ね、ねぇアレン 私もいいわよね? ね?ね?」
クリスが上目遣いで目を潤ませてそう言ってくる
「その手は効かんぞ! まだクリームが口についてるような食いしん坊は店番だ!」
「えぇ〜 そんな〜 ひどいひどい! リューネちゃんだけずるい〜」
こいつ! 普段の上品さはどこ行った!? 食べ物が関わると人が変わるようだ
「ふふんっ」
リューネちゃんが勝ち誇るようにがま口を持っている おぉ、煽ってやがる
「ムキーッいいもん! 明日食べるもん!」
クリスが頬を膨らませて、そっぽを向く
ムキーッて久々に聞いたな〜感慨深いや
少しむくれていたクリスだが、お客さんには、にこやかに対応している 流石、仕事人やで…
「どうも、この「たこ焼き」という料理をいただけないかしら? このそーす?味というのでお願いするわ」
いつのまにか僕の目の前に長身の美女が立っていた
175は余裕であるな
しかも… チャイナ服だと!
こいつ、只者じゃねぇ!チャイナ服着てるだけだけど
すぐに熱々をお届けする
「ありがとう 早速いただくわね ふむ、このそーす?、そしてこの料理も初めて見るわね…
はむっ あつっ! はふっはふ ふぅ〜…
んん!! 美味しい! このコリコリとした食感が新しいわ! それにこの丸い生地も、外カリの中ふわよ! しかも、この値段でこの美味しさ、危ういわね…」
その人は、たこ焼きを食べ、ぶつぶつと分析しだす
「あの〜… どうしました?」
「あっ! ごめんなさい ついつい分析をしてしまってたわ この「たこ焼き」 すっごい美味しいのね! 私びっくりしてしまいましたわ〜 申し遅れました、私 シェイリィと申しますわ 私のお店もコンテストに出店してますの 」
このチャイナ服お姉さんも出店してるのか
「てことは、ライバルってことですかね」
「そうなりますわ お互い頑張りましょうね
あ、そうそう、私の店の名前は『龍天正』です どうぞ、お見知り置きを」
そう言ってシェイリィさんは優雅に礼をして、帰っていった
それにしても、『龍天正』ね…
シェイリィさんも、とても上品な雰囲気だったし、結構高級店なのかもね
そう思っていると、リューネちゃんが帰ってきた
「アレンく〜ん ただいま! いっぱい色んなところ見てきたよ〜 けぷっ」
リューネちゃんも沢山食べてきたみたいだ
お腹がパツパツだ
「そりゃよかった 何か目立つお店あった?」
「うん! すっごいお店あったよ! まだまだ混み混みって感じ! 」
「なんてお店なの、それ?」
「え〜っと 確か…」
リューネちゃんが続きを話そうとすると、アナウンスが入った
「皆さん!! お楽しみ頂けているでしょうか!!
今年は例年に比べ、大盛況となっております!ありがとうございます! さて、皆さま気になっていますでしょう、中間発表のお時間です と言っても、全部言っちゃったら面白くない! そうですよね!
と、いうわけで1位と10位、つまり本選ほぼ確定しているお店とギリギリのお店を発表します!
まずは第10位の発表です! デケデケデケデケ…
デン! 第10位は、『お父さん食堂』さんです!!
いや〜本選目指して維持できるといいですね!
さぁ、それでは第1位の発表です!! 気になりますよね〜! いきます、ドラムロールカモンッ!
デケデケデケデケデケデケ…デデン!!
第一位は!『龍天正』さんです!!
この店は、初優勝目指して頑張ってほしいですね!
最近メキメキと伸び始めてきたお店のようです!
まだまだコンテスト、目が離せませんね!
それでは皆さん引き続きお楽しみくださいませ!
ごきげんよう〜」
さっきのシェイリィさんの店が一位だと…
バァヤさんの資料にも載ってなかったってことは、本当に最近のし上がってきたのだろうな
「アレンくん さっき言ってたすごい人気のお店の名前 『龍天正』だった!」
「やっぱりか〜 さっきうちにたこ焼き買いに来た人もその店の人だったんだよね〜」
「そうなの!? でも一位の人が来てくれたってことは警戒されてる証だよ!」
そうかもしれないが、油断はできないだろう
『龍天正』か…. 手強い相手になりそうだ
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