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第二章 冒険者編 第14話 至高の食材を求めて

寿司ネタはカワハギが好きです

さてさて次の日…


「おっはよう!! 朝ですよ〜!」


リューネちゃんが朝から元気に僕らを起こしてくる


「む〜 おはようリューネちゃん ってまだ夜明け前じゃん」


「うぅ〜 あともう少し寝かせて…」


クリスがまた布団を被ろうとした


「だめだよ!クリスちゃん! 港は夜明け前に動き出すんだよ!」


昨日僕らは布団で川の字で寝たのだ 意外にリューネちゃんの寝相が悪くて、小さい足で蹴られまくった  まだちょっと眠いや


「そっか 早くいけばそれだけいい食材に巡り会えるかもだしね クリス、悪いけど起きてもらうよ」


「むぅ〜 わかったわ 起きるわよ」


渋々といった感じでクリスが起き上がる


「じゃあ着替えるからアレンはリビングで着替えて」


えぇ〜 一緒に寝床を共にした仲じゃないか〜

あ、だめ? さいですか


僕もラフなものから服を着替え、ジャイアントロイヤルバットの軽装を着る やっぱ軽くていいなこれ


「アレンくん! 用意できたよ!」


準備ができた僕らは、時短のため、テーブルに集まってサンドイッチを食べる いつも通りめちゃくちゃ美味い


「じゃあ港に行ってみようか 美味しい食材を求めてレッツゴー」


「「オーッ!」」


さて、朝から元気にやってこうか



…………………



港に行くと漁師たちでごった返していた

とりあえず状況を聞こう


「あの〜 すみません お聞きしたいことがあるんですけど…?」


「あぁん!? 俺は忙しいんだ! よそにいきな!」


「まぁまぁ、これをどうぞ、これはお気持ちですよ」


と言って僕は漁師さんに銅貨を一枚握らせる

マネーイズパワー


「お! わかってんじゃねぇか坊主! で?何が聞きたいんでい?」


「僕達、料理コンテストに出るんですけど 美味しい海産物ってどうしたら仕入れられますか?」


「お前もコンテスト出るんだな! そいつは災難だぜ! 何せ、良いやつは大体大手の奴らが契約結んでるから、全部持ってかれちまうぞ! 残ってるやつは勧められねぇな! 」


ほんまかいな!! こんなの出来レースみたいなものじゃないか〜 海産物の縛りがある以上、使わないわけにもいかないしな…


「そうなんですか… お話ありがとうございました」


「こっちこそありがとうって感じだぜ! 貰った金で美味いもんでも食いでもするわ! じゃあな坊主、頑張れや!」


漁師さんが自分の船に向かっていく


「どうしようね? アレンくん」


「う〜ん 市場に流れているものでは、上位層に太刀打ちできないよね… どうしよっか」


万事休すなのだろうか どないしよう…


「市場にないなら自分で獲ればいいじゃない」


クリスが当たり前のことじゃないって顔で言ってのける


「クリスちゃん! それ名案だよ! そうだよね、ないなら獲ればいいんだよ! 天才!」


リューネちゃんが腕をブンブン振って興奮しながらそう言った 癒されるな〜 一日中見てられるよ…


「だけどさ、船はどうするの? 借りられそうもないし…」


「そうね… どうしましょうね」


「はい!」


リューネちゃんが手を挙げる

こういう時のリューネちゃんは頼りになるぞ


「私、船あるよ」


「「えぇ!!?」」


まさか、船を保有してるとは思わなかった


……………


その後、ギルドのダンデスさんに確認を取ると、個人の漁はコンテスト期間中のみ認められているそうなのだ


つまりこの方法は、公式の抜け穴、というわけなのだ


「じゃあ早速漁に出かけようか と言いたいんだけども、道具がないな…」


僕たちは漁に出るべく、再度港に戻ってきていた


クリスと僕でリューネちゃんを期待の目で見つめる


「ご、ごめんね… 流石に私も釣竿とかは無いや…」


「ごめんごめん 全然いいんだよ 無いなら無いで、買えばいいよ 幸い、前のゴブリンディザスターの件で結構財布も潤ってるしね」


そうなのだ、実はゴブリンディザスターの討伐の報奨金が結構出たのだ

その金額なんと、白金貨5枚!!


なんか5枚だとわからないが、豆銅貨がこの世界で大体200円くらいだと考えて、一千万くらいだ


やばない?一気にブルジョアなのだよ


「じゃあ 買いに行こうか…」


「おう坊主! さっきぶりじゃねぇかよ! で、どうなったんでい?」


見ると、先程の漁師さんだ漁から帰ってきたっぽい


「市場のものはダメだってことで、自分たちで取ろうと思ったんです 船はなんとかなったんで、今から釣りの道具買いに行こうと思ってて」


「なるほど考えたじゃねぇかよ! だがな、それを他の奴らも考えてないと思うか?」


「た、たしかに  あ、ということは…」


「あぁそうさ! 釣具屋行っても多分売り切れだぞ!」


そうだよな〜… 僕らがこの街に来たのが遅かったこともあるし 売り切れてるだろうな 八方塞がりじゃねぇか!


「たくっ しょーがねぇな 坊主どもちょっとついてこい」


なんだろうと、思いながらもついていくと、倉庫のような場所に着いた


「ほれ、 ここにあるもん自由に持ってけ」


「え! いいんですか!?」


「あぁ、もう古いから使ってなかったものだ

だが、まだ十分使えるだろ ほら、エサもやっからよ」


そこにあったのは沢山の釣具だった

少し古いが全然使える しかもエサまで


「どうしてこんなに良くしてくれるんですか?」


「いやなに、お前さんみたいな坊主から急いでたとはいえ、金せびっちまったみたいになっちまったからな だからあの時の金はこの道具の借り代ってことにしてくれや」


やばい、めっちゃいい人じゃん… 人の温かさに泣きそうになる


「「「ありがとうございます!」」」


3人揃って深々と頭を下げ、お礼を言った


「そんなに言われちまうとむず痒いぜ…

お前らの料理楽しみにしてっからよ! その道具使って、しょうもない具材使ってたら承知しねぇからな」


「はい! 満足させてみせますよ!」



絶対に最高の食材を手に入れてやると、そう思った


……………


漁師さんから借りた道具を持って港に向かう


「よし! 道具もあるし、エサもある! あとは船だけだね!」


「そうだね、いよいよ私の出番かな? じゃあ船出すから、ちょっと下がってて」


リューネちゃんはバッグから紙を取り出して海に投げる 決してゴミを捨ててるわけじゃないよ


リューネちゃんが指を鳴らすとその紙が、展開していき、やがて小さめな船が現れた


「はい! じゃあ乗っちゃいましょう!」


「いつ見てもリューネちゃんの魔法はすごいわね…」


「ほんとだよ… いつ見ても紙から色んなものが出てくる光景には慣れないや」


船に乗り込み中を見ると、操縦室がある動力付きの船のようだ 燃料はあるのかな?


「ねぇリューネちゃん この船を動かすための燃料あるの?」


「大丈夫だよ! この船は魔力で動くから、魔力を込めればいいんだよ」


へぇ〜便利だな! ガス欠の心配はほぼないから安心だな


「よし! 魔力込め終わったよ! いつでも出れるよ!」


その声を聞いて僕は船頭に出て、両腕を高く上げた


「野郎ども!! 出航だァ〜!!」


ありったけの夢をかきあつめに行こうぜ!


「ちょっとアレン 私達、野郎じゃないわよ?」


今そんなのいいからさ…


…………………



リューネちゃんの操縦の下、船は順調に沖に出ている 

今日は、波も穏やかで絶好の釣り日和と言えよう


「沖に出たよ! そろそろ釣りしよ!」


釣竿に糸を通し、セッティングを手際良く行う

前世の趣味も釣りだったからなぁ よく研究で行き詰まった時に釣りしてたっけ…


見るとリューネちゃんも、クリスも手間取っているらしい


「ぐっぐぬぬ… 何よこれ全然結べないわ」


「ちょっと貸してみ クリス」


どうやら針を糸に結ぶ工程が出来なかったようだ

しっかり取れないように、糸を内掛け結びにする


「はいっ できたよ」


「ありがとうアレン! 釣りの経験があるのね」


「まぁ、無いっちゃないし、有るっちゃあるんだけどね…」


前世では数え切れないほどやっていたが、今世では初だしね…


「? まぁいいわ」


「ねぇねぇアレンくん! 私もうまくできないよ〜

アレンくんやって〜」


リューネちゃんも苦戦してたからね 同様に結んであげた


「ありがとう! え〜っとエサは… 確かこのバケツだよね?」


「そうよ 私もつけよっと 何かしらね……っきゃあああ!」


突然クリスが悲鳴をあげたので、慌てて見てみると、エサはミミズのような虫だった


「エサってこんな虫なの!? 私触れないわ!」


意外にもクリスはミミズ系の虫が苦手なようだ

この前、デカめのカナブンみたいなのは平気に捕まえてたから大丈夫だと思ったけど

クリスにも弱点あるんだな…


「はいはい じゃあ私がつけてあげるから、クリスちゃんは釣るだけでいいよ」


と、リューネちゃんが平然と虫を掴み、針につけてあげる


「あ、ありがとうリューネちゃん… 私、自分で付けられない分、いっぱい釣るから!」


と、クリスがやる気を燃やしている


さてと、僕も久しぶりの釣りを楽しむとするか


餌をつけ、針を海に落とし、リールを回転させ海の深いところまで落とす


そこで慌てずに待つとら竿が僅かにしなった

ヒットだ!


だが、ここでも焦らない 少し泳がし完全に食うのを見計らってリールを引く


釣れたのは鯵のような小魚だ


「アレン! 釣れてるじゃない! すごいわ!

ねぇアレン コツとかってあるのかしら?」


「もう釣り上げるなんて上手なんだね! 私もコツ聞きたい!」


二人に教えたのは平常心と演技力だ


エサの虫はしばらく生きて動くのだが、やがて死に動かなくなってしまう


その時に竿を動かして、あたかも生きているように見せかけるのだ


この時、焦って無闇矢鱈に動かしては元も子もない

常に平常心なのだ


魚がかかっても、焦らず一呼吸置いてから釣り上げなければ、バレてしまう


ここでも、平常心を保つことが大切なのである


それを聞いた二人は突然修行僧のような、穏やかな顔をしながら釣りを始めた

極端すぎない?


だが、その効果はすぐに現れた


「きたっ! はっ! 平常心、平常心…… やった! アレン! 私も釣れたわよ!」


「落ち着いて、落ち着いて〜……やった、やった〜!! アレンくん! 私もお魚釣れたよー!」


二人仲良く魚を釣り上げていた


「むぅ… でも小さいわね」


「そうだね〜 普通に釣り楽しんじゃってるけど、食材集めに来たんだもんね」


そういえばそうだ 元々は食材を集めるために来たのだ こんな小さな魚じゃ、戦えないだろう


しばらく黙々と小魚を釣った僕は、結構魚が獲れたので、方針を変えることにした


「何してるの?アレン 魚を釣竿につけたりなんかして」


「今度はこれをエサにするんだよ 大物狙いさ」


そう、今度は魚をエサに大物を釣る算段なのだ

何がでるかな?


「なるほどね! 私ももう少し釣れたらやってみるわ!」


「私は結構釣れたから、アレンくんの真似しよ〜っと」



方針を変えて釣りをしてみているが、なかなか当たりが来ない


もしかしたら、この魚を餌にしてるヤツはもっと深いとこにいるのでは?


そう思った僕は糸を更に垂らし、ヒットを待った


すると、次の瞬間、釣り竿がグイッと引っ張られた

遂に来たぞ! ヒットだ! しかもこれは大物だぞ!


僕は渾身の力でリールを引き、魚との綱引きをする


魚と必死に抵抗をするが、段々と浮上してくる


気づくと、いつのまにかリューネちゃんとクリスが後ろで応援してくれてる


「頑張ってアレン!! そろそろよ!」


「アレンくん! 頑張って! 魚に負けないで!」


二人の声援を受け、ジリジリと魚を釣り上げていく



すると、海の深部から段々と魚の姿が見えて来た


「見えた!! こいつはでかいぞ! ラストスパートだ!! うぉぉぉおお!」


僕は、奥の手の身体超強化をかけ、一気に魚を釣り上げた


ようやく、海面に魚が出てきた マグロみたいな魚だ 


「やった!! 釣れた!  うわ!めっちゃでか!!」


「うわぁ、すっごい大きいわね! アレンお手柄よ!」


「わぁ!これ高級魚のマグリャだよ! これなら美味しい料理作れそうだよ! ありがと!アレンくん!」


3人でワイワイと喜んでいると、突然マグリャが激しく暴れ始めた


「どうしたんだ? 急にめちゃくちゃ暴れ始めたぞ

最後の抵抗ってやつかな?」


「いえ… あれは何かに怯えている? 一体何に?」


すると次の瞬間、巨大なタコの足がマグリャを掴み海に引き摺り込む


「まずいっ!!」


このまま竿を持っていたら僕も引き摺り込まれるので、慌てて糸を切った


「一体なんだったんだ!?」


「わからないわ! 巨大なタコの足が見えたけど…」


「も、もしかして、まさかあれは…」


リューネちゃんが何か言おうとした瞬間、何か巨大なものが海底から浮上してきて、大きく海面が波打ち、その波により船が大きく揺さぶられた


「うわっ!! すごい波だ! みんな大丈夫か!」


「えぇ、なんとか」


「私も無事だよ!」


海底からヤツが姿を徐々に表していく

ヤツの正体は超巨大なタコの化け物だった


「やっぱりそうだ!!」


リューネちゃんがそう叫んだ


「何か知ってるの!?」


「はい! あれは何千年かの周期で、海に現れるタコの化け物!! その名も『クラーケン』!!

伝説の化け物です! まさか、こんなところにいるなんて!」


まさか、『厄災』の次は『伝説の化物』ですか?


読んでいただきありがとうございます!

感想や評価が執筆の励みなってます!ありがとうございます!!

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