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第二章 冒険者編 第13話 コリュシュッド街、初日

祭り、行きたいですね

「料理コンテスト…ですか?」


「あぁそうだぜ! なんでも、王都から審査員が来て一番うめぇ料理を毎年決めてんだ! 参加者は店出してるやつから、主婦まで色々いるぜ!

お前らも腕に自信があるなら参加してみろよ!」


だからこんなに混んでいたのか〜 納得だな


「あ、アレンくん!! 私挑戦してみたい!!」


リューネちゃんはやる気のようだ 

リューネちゃんの料理を出したら面白いことになりそうだ 

食べた客がスタンディングオベーションするだろうね 少なくとも僕はそうする


「よし! やろう! リューネちゃん 

やるからにはブッチギリ…いや仏恥義理で優勝しようよ!」


リューネちゃんはグッと拳を握り闘志を燃やしている 


「お! 参加するのかお前ら! しかも、優勝宣言とは自信があるじゃねぇかよ! 頑張れよ!

広場にある受付で参加できるから早めに行っとけよ!」


「色々教えてくださりありがとうございます!

僕らの料理食べに来てくださいね え〜っと」


「そういえば名乗ってなかったな! 俺の名はダンデスだ! 基本受付は俺だからわからないことあったら聞けよ!」


この人も気の良い人そうだ この世界の強面はいい人の傾向が強いな


「これからよろしくお願いしますね ダンデスさん! じゃあコンテストの受付してきます!」


僕らはダンデスさんと別れギルドの外に出た


「さて、じゃあ受付しにいこうか ダンデスさんは広場にあるって言ってたけど」


広場というと、おそらく宿をクリスが探してる時にベンチに座ってたところだな


広場に行くと奥に大きなテントがあり、そこで受付をしているようだ


「アレン 多分あそこよ! ほら、早く行きましょ!」


クリスも意外とノリノリじゃないか

祭りとか結構好きなのかもな


受付の列に並ぶ 結構並んでるな〜 ライバルは多そうだ


段々と列が解消されていき、僕らの番になった

受付にはお姉さんが座っている


「こんにちは! コンテストの受付ですか?」


「はい、そうです 申し訳ありませんが、コンテストの説明を聞いてもいいですか?」


「初参加ですね! かしこまりました

では説明いたしますね…」



お姉さんの話をまとめるとこうである


コンテストは予選と本選に分かれているそうで


予選の審査員は一般客、本選のは王都の料理人などの審査員である


予選は参加者各々が出店を出して、お客さんからの投票で上位10店を決め、その10店で優勝を争うそうだ


使っていい食材は基本自由だが、この街の海産物一つ以上を使うのが条件だそうだ


「なるほど、わかりました」


「それでは、代表者のお名前と店名を記載ください」


参加届の紙を渡されたので、そこに自分の名前とさっき考えた店名を書いてお姉さんに渡した



「はい!これで参加完了です! 予選は3日後に行われますので、それまでに料理の案を提出ください!」


「わかりました」


僕らは広場を後にした


「それで、リューネちゃん 何か料理の案ある?」


「う〜ん お客さんの心を掴むとなると〜 難しいねー」


「とりあえず宿に戻って作戦会議しましょ ここじゃ纏まるものも纏まらないわよ」


「それもそうだね いったん戻ろうか」



宿に戻る最中も、何の料理がいいのか考えながら行くが、いまいち最適解が見つからないな



考えているうちに宿に着いた


「おかえりなさいませ アレン様」


バァヤさんが三つ指揃えて礼をする

高級旅館みたいに丁寧なのに値段が安すぎな気がするな


「ただいま バァヤさん あ、一つ聞きたいんですけど、僕ら料理コンテストに出ることになったんですけど、優勝候補みたいな店のこと知ってますか?」


「料理コンテストに出場されるのですね

優勝候補についてはあまり存じ上げませんので、調べておきます 」


調べてもくれるのか サービスの幅が広すぎるって


「ありがとうございます では、僕達部屋に戻ってますね」


「はい 分かり次第お伝えしますね

ごゆっくりお過ごし下さいませ」


僕たちは部屋に戻りテーブルの周りの座椅子に座った


「え〜 こほんっ では只今より 『第二回 パーティー会議』を始めたいと思います 拍手〜」


今回もパラパラと拍手が起こる テンション上げてこうぜ!


「本日の議題はズバリ一つだけ、コンテストに出す料理何にするのか問題です! 何か意見のある人〜」


「はい!」


リューネちゃんが手を挙げる やる気の権化やな


「はいリューネちゃん 速かった!」


「え〜っと 具体的な料理を思いついたわけじゃないんだけど… 優勝するにはまずお客さんに立ち止まってもらう必要があると思うの だからまずはどうやったら立ち止まってもらえるか考えたいな〜って」


なるほど、どうやったら立ち止まってもらえるのかか… たしかにどんなに美味しい店でも広告に失敗したらすぐに人気になるのは難しいだろう


「どうしたら立ち止まってもらえるか、かしら

てことは、元々の知名度が重要になるかもしれないわね

例えば有名なお店が出してるなら、まずみんなそこに行くと思うわ」


「知名度か〜 ここに元々いる人とかだったらあるのかもだけど 外様の僕らの知名度は0に等しいしね〜」


「あ、そうだ! いい匂いで呼び寄せるのはどう?

そしたら知名度もいらないよ!」


「いい匂いの食べ物ね〜 何があるかしらね」


集客効果のある香りか〜 食欲が増して、いい匂いのもの… カレーか? ただこの世界スパイス高いんだよな〜


「リューネちゃん 調味料ってどのくらいある?」


「調味料? それなら結構色々あるよ〜

でも高価なものは少なめだけどね ちょっとある物書き出してみるね」



リューネちゃんがサラサラとリストアップしてくれる


「はい、こんな感じだよ」


ほんとに色々あるな〜 これで何が作れるだろう…

う〜む これはシメモン? シナモン的なやつか

ナリマグ? あ、ナツメグかな? シャージとは?

セージか?……… はっ! 作れる!


「みんな! この材料で条件を満たすの作れるかもしれない!」


「え! ほんと!? なんてやつ?」


「すごいわ! アレン 私にも教えてよ」


「ふっふっふ それはね…『ソース』だよ」


「「そーす?」」


そう! 屋台とかで漂っているあの香ばしい調味料のソースは簡単に自作できるのだ!


前世で研究オタクだった僕は、小学生の頃に家にある液体調味料を自分で作るという自由研究をしたことがある

まさかその経験が活きるとは…


「何よ、そのソースって」


「私も聞いたことないよ そのソースってやつ」


「え、ソースって無いのか? とりあえず試作してみるから、リューネちゃん僕の言う食材出してくれる?」


僕は訝しげな顔をするリューネちゃんに材料を出してもらいながらソースを作っていく


「できた! これがそのソースだよ!」


「何この黒い液体は 初めて見るわね

くんくん あら香ばしい、いい匂いじゃない!」


「くんくん ほんとだ! とっても美味しそうな匂い!」


「しかもこのソース、焼いたらもっともっと香ばしい匂いを撒き散らすんだ これで集客待ったなしだね!」


「て、ことは料理は自ずと焼き物系になるわね」


「しかも海産物使わなきゃだよ〜 このソースを塗って焼いただけでも美味しそうだけど 『料理』って感じでもないしね〜 本選に出れても審査員に評価されないかも…」



たしかにその縛りはあるな 色々と案はあるがまずどんなモノが獲れるか調べなきゃな


考えていると部屋の扉がノックされた


「バァヤでございます 先程の件についてご報告があります」


はやっ! 仕事出来杉くんじゃん


扉を開けると、バァヤさんが紙を持っていた


「ありがとうございます えっと、その紙は…」


「はい、口頭で伝えても覚えきれないと思いましたので 紙に記しておきました、こちらお納めくださいませ では」


と言って僕にその紙を渡して、バァヤさんは下がってしまった


「え〜っと なになに、『今年の出場者中の本選出場経験者』か、結構いるな ってかこれをこの短時間で調べたの!? 忍者かしら」


そのリストには20人くらいの店名が書かれており、何回本選に出たか、優勝は何回かが書かれている

情報収集能力半端ないって!


「クリス、リューネちゃん 僕あんまりこの人達知らないんだけど何か知ってる店とかある?」


「ふむふむ え!このお店、いろんな街に出店してる大手じゃない! ここも老舗だし、これなんか王都に店を構えてる一流料理店よ! 錚々たるメンバーね…」


どうやら思っていたより層が厚いようだ

てか、クリスめちゃくちゃ詳しいな…貴族の御令嬢説濃厚だけど、結構位が高めなのかな? 

ま、いいや


「てことは、このコンテストに使う食材も珍しいものや、高級品かもしれないね」


「多分そうね… 」


ここにきて食材問題も発生したか…



「明日港に行って、どんな海鮮が獲れるのか見に行かない? もしかしたら、掘り出し物みたいな食材もあるかもだし リューネちゃんの目にかかれば見つかるかも!」


「わ、私頑張ります!」


リューネちゃんが、ふんすっと意気込む


「よし! じゃあ使う調味料はソース、料理は明日食材を見て決めよう! ってことでいい?」


「「賛成!」」


「じゃあ、とりあえず今日は旅も疲れもあるし休もっか」


「「それも賛成!」」





コリュシュッド街の初日はそんな感じで終わったのだった


読んでいただきありがとうございます!

感想や評価が執筆の励みなってます!ありがとうございます!!

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