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第二章 冒険者編 第5話 厄災の予感

ブックマーク数が増えているのをニヤニヤとひとりで見ています

今日も『龍の止まり木亭』 で目覚め、リューネちゃんの絶品朝ご飯を食べ、ギルドに出かける


そうだ、行く前にシルバーの様子見に行くか 


僕はいつものおばちゃんの店でラップルーを五つほど買ってきた シルバーのお土産だ


馬房に行くとシルバーはもう目覚めていた 早起きだね


「おはようシルバー! お! 立派な鞍と手綱つけてもらったんだね

リューネちゃんに感謝だな… ほいっ これお土産ね」


シルバーにラップルーをあげるとブルルッと鳴き、嬉しそうにバクバクと食べていき、あっという間に全部平らげてしまった


「よっぽどラップルーが好きなんだな 今日は偵察の依頼受けるつもりだから シルバーはお留守番だな お利口で待ってるんだぞ〜」


僕はシルバーを優しく撫でてあげると

シルバーはまたブルルッと鳴いて、僕に擦り寄ってくる 愛い奴よのう…


さてと、出勤しますか〜


テクテクとギルドまで歩いていくと、やはりまだ早朝のためか、ギルド内は酔い潰れた冒険者くらいしかいない


受付にはルカさんとは違う人が立っている クリーム色の髪をした なんだか妖艶な雰囲気な女性だ 

狩られそう…


とりあえずクエストボードに向かうとする

見るとやはりゴブリンキングの偵察任務が出ており、有力情報には銀貨6枚の報酬だそうだ


この依頼は特別に複数の冒険者が同時に受けられる依頼なので依頼書は剥がさずに申告制なのだ


受付に申告に行き、あのお姉さんの前まですすむ


「すみません ゴブリンキングの偵察任務受けたいんですけど」


「え? あなたが? あらっ? もしかしてあなたアレンくんかしら?」


どうやら僕のことを知っているっぽい 変な噂立ってないよな? 幼女の宿に一人だけ泊まる怪しげな客とか


「はい 僕はアレンですけど なんで知ってるですか?」


「あらぁ このギルドの職員であなたのこと知らないって人はいないと思うわよぉ 7歳でゴブリンジェネラルを一人で倒しちゃって 1日でDランクに上がった冒険者なんて、情報が広まらない方がおかしいわよぉ 」


「そ、そうなんですね… 」


「そうよぉ ルカちゃんからあなたのことは聞いてたけど実物はもっと可愛いわねぇ うふふっ食べちゃいたいくらいだわ」


そう言ってお姉さんはペロっと舌舐めずりをする

なんだろうゴブリンジェネラルやサテラよりも身の危険をビリビリ感じる


「私の名前はレティシアよぉ レティシアちゃんって呼んでねぇ」


そう言ってレティシアちゃん(?)はこちらにバチンとウインクをする 破壊力抜群だ


「わかりました レティシアさ…」


「ちゃんよぉ 次間違えたら依頼受理してあげないわよぉ」


そんなの横暴だ! ノーカン!ノーカン!


「レティシアちゃん…」


「はぁい! よくできましたっ! じゃあ依頼を受理したわぁ 頑張ってねぇ アレンくん〜」


「は、はい じゃあ僕はこれで…」


まじで取って食われそうな人だ 有無を言わせないような圧がある レティシアちゃんにはやると言ったらやる…… 「スゴ味」があるッ!


またドリルがいるかも知れないからな早々にギルドを出よう

アレンワゴンはクールに去るぜ


だがその心配は杞憂に終わり、何ごともなくギルドを出る


いつもは自慢のドリルを振り乱してキレて来るのに今日は珍しく居ないのか ま、いっか


僕はドリルのことを気にも止めることなく、いつもの裏口へと向かう


てか、僕のスキルって結構、調査向きではなくって? 索敵もあるし、隠密もあるしな〜 

まぁ肝心の固有スキルが声出し確定だから一概には言えんがね


そんなこんなで、裏口を出て森の方に向かう



とりあえず前回ゴブリンジェネラルがいたところまで行ってみる


「と、確かここら辺だよな〜 だが、何も異常はないな〜 一応索敵してみるか」


索敵をすると小さな魔力反応はあるが大きいものは引っかかることはなかった 違う場所らしい


一先ず、周りの森を見回ってみるが、居るのはスライムなどの比較的小さめな魔物だ


スライムは初めて見たが、某ゲームのような愛らしい見た目ではなく、緑のネバネバの塊みたいなやつだった 

服だけ溶かすスライムとかいるのかな? 個人的にスポンサー契約したいけど


周りを探してみてもやはりゴブリンキングの痕跡すらない 本当にいるんか?


探しているうちに昼をまわっていたらしく お腹が鳴ったので一旦昼食にする


今日のメニューはリューネちゃんの作ってくれた特製サンドイッチだ 追加料金を払ったら作ってくれた


うん!やっぱり美味すぎ!! こんな料理出す店あったら毎日通うわ まぁ、毎日食べてるんだけどね


バクバクとサンドイッチを一瞬で平らげた

お腹も満たされたし、もうちょい調査範囲を広げてみるか〜


今度はもう少し人里から離れたところまで向かってみるが、まだ索敵にも小さな反応しかない

ここまでくると存在が怪しくなってくるぞ


そのまま探し続けてもやはり何も見つかることはなく その日は空も暗くなってきたこともありそこで終了とした


…………


ギルドに報告に行くと受付はルカさんになっていた


「アレンくんお疲れっす! 何か手がかりは掴めたっすか?」


「いやそれが何も見つからなかったですよ〜」


「あーやっぱりそうなんっすね〜」


ん?やっぱりとは?


「やっぱりってことは他の人も?」


「そうっすよ〜 他の人も調査に行ってくれたんすけど 姿どころか痕跡すらもまだ上がってきてないっすよ〜」


「そうなんですね とりあえず明日も僕も調査を続けます なので調査依頼は続行で」


「わかったっす! 明日の報告はいい報告が聞けるといいっすね」


そこで会話を切り上げ、ギルドから出ようと歩き出すとあの金髪ドリルの姿が見えた


だが、僕に突っかかるどころか、何かに集中しているようで、僕は視界にさえ入っていないようだ


(なんだ? だいぶガーッとなって周りが見えてないみたいだな? 何かあったんだろうか 気になるけど僕とはあんまり関係ないことかもな)


多少気になったが、僕が話しかけても多分キレられるので話しかけずにギルドを後にする


「ただいま〜 リューネちゃん! お昼のサンドイッチ美味しかったです!」


リューネさんは珍しく何もせず席に座っていた


「おかえりなさ〜い アレンくん! 依頼してくれたらいつでも作るから必要な時は言ってくださいね〜」


「わかりました 早速なんですけど明日も必要そうなのでお願いしますね」


「わかりました〜 お金は明日の朝で大丈夫です その時にお弁当と引き換えで じゃあ夜ご飯にしましょうか〜 」


その日のご飯はここら辺では珍しい煮魚と魚の出汁で作ったスープだった


今回も泣きそうなほど美味しかった てか、魚とかここら辺じゃまじで見かけないぞ リューネちゃんの供給ラインどうなってんだ? 謎多き人だ…


そんな感じで、この日はなんの調査結果も出ずに終わった


……………


今日も朝からバカうまい朝食と、これまたバカうまいであろうお弁当をもらう


今日も調査依頼をする予定なのでまたシルバーはお休みだ 

ごめんよシルバー 僕は謝罪の意味を込めてラップルーを昨日より多めに買ってあげた


依頼は受けっぱなしになっているためこのままギルドに寄らずに裏口へと向かった


さてと、今日は何か見つかるといいな


今日は昨日調査したところの反対側、つまりゴブリンジェネラルがいた方と逆の場所を探してみることにした 


逆側の調査をして、段々と奥まで進むが何もない

また探しているうちにお昼になってしまったのでお昼のお弁当タイムだ 今日は何かな〜


お弁当からはスパイシーな香りがする 早速開けてみよう


ほほう今日のお弁当はカレーみたいだ、ライスではなくナンなような薄いパンが入っている

これにつけて食べる感じかな?


パクっとな


うまい! いやこの場合は…うんまぁ〜い! だな

カレーがパンを、パンがカレーをひき立てる! 「ハーモニー」っつーんですか? 「味の調和」っつーんですか? 例えるならウッチャンに対するナッチャン! っつー感じっすよ〜…


リューネさんの料理はいつもテンションが上がってしまう やばい薬入ってんじゃね〜のか? そのくらいの中毒性かもしれん 

僕、この街離れられるかな…


さて、お腹も膨れたことだし調査を続けますか


そうして少し進んでいくと、ある人物な姿が見えた


それは、あのいつも絡んでくるドリルだった

しかし、何か様子が変だ 周りを仕切りにキョロキョロと見渡し 何か焦ってるようにも見える


(ん、あの縦巻きドリルだ やっぱり受けてたかこの依頼 何かに焦ってるって感じだなぁ 自分がゴブリンキングを追ってるのに、何かに追われてるって顔してる そんなになるまでの事情が何かあんのかね?)


とりあえず、今は何も知らないのでそっとしておくことにして、ドリルの進行方向とは違う方向に進む


ズンズンと進んでいき、奥の方に来るとある異変に気づいた


(あれ? ここら辺、異常に大気の魔力が多いな)


僕は魔力を操るスキルの上位互換である、魔力支配を持っているため、大気中の魔力量をハッキリとではないが、ある程度の精度で感じることができる 


だが、今回はそんな僕の精度でも、ハッキリと大気中の魔力が多いことがわかるほどだ これは明らかな異常だ


一応索敵を使い、周辺の魔力反応を探ってみるが不思議なことにいつもは数個の反応が返ってくるのだが、今回は逆に一つの反応もない


(とりあえず、ギルドに報告だな)


僕は街に向かって、駆け出した


……………



ギルドに戻る頃には、空は暗くなり始めていた


「あ、おかえりっす! アレンくん! 今んところ誰もなんの手がかりも見つけてないっす〜 アレンくんはなんか見つかったすか?」


と、ルカさんが半分期待せずに聞いてくる


「はい 多分ですけど手がかりを見つけました!」


「そうっすよね〜 やっぱりアレンくんでも見つからない…… ってえぇ!? 見つかったんすか? と、とりあえず 報告はギルマスの部屋でするっす!」


と、僕らはすぐに三階のギルドマスターの部屋に行く


ルカさんがコンコンと扉を叩く


「ギルマス! ゴブリンキングについての報告があるっす!」


すると、


「お! やっと見つかったか〜! 入っておけまるだよ〜!」


と、声が聞こえる うん、今日も平常運転だな


「失礼するっす アレンくんが手がかりを見つけたと報告してきたっす!」


「うっそ!まじ!? アレンちゃんすごいじゃ〜ん! でで? 肝心の内容は?」


と、ずずいっとリビエラさんが距離を詰めてくる  近いな… めっちゃいい匂いする


「え、えっと 森の中で異常に大気中の魔力が多い場所がありました 周りには魔物が1匹もいませんでしたし、明らかな違和感がありました」


リビエラさんは驚いた顔をする


「え? アレンちゃんは大気中の魔力感じられるわけ?」


「朧げながらですけどね でも、今回のはそんな僕の精度でも、はっきりわかるほどの多さでした」


すると、リビエラさんがう〜んと腕を組み、考え出す


「なるほどね〜 ゴブリンジェネラルの出現、そして未だ姿が出てきていないこと、 そしてとんでもない多さの魔力溜まりか… うーん もしかしてもっとやばい? いや、まだ可能性の段階だし…」


と、リビエラさんが思考の渦に落ちて行きそうだったので慌てて声をかける


「あ、あの! リビエラさん 何かわかったんですか?」


「あっ! めんごめんご ちょっち考えすぎちゃってたわ… えっと、とりあえずアレンくんの報告のおかげで大事なことがわかったよ」


「なんですか?それは」


「えっと〜 魔物って大気中の魔力から産まれんじゃん? んで、その魔力が多いほど強い魔物が産まれるって傾向があるんよ でで、ゴブリンキングって普通はゴブリンジェネラルと同時に生まれるわけよ

なんでかっていうと、最初に魔力溜まりから生まれるのが、ゴブリンジェネラルでも、ゴブリンキングでもない大きめのゴブリン2頭なんよ」


どういう意味だ? ゴブリンキングとジェネラルじゃなくて、大きめなゴブリンが二頭?


「ゴブリンの性質があって、その二頭が最初産まれた瞬間に喧嘩すんの んで、買った方がキング、負けたらジェネラルになって下に付くんよ だからゴブリンジェネラルがいたってことはキングもいるって判断できるわけ」


おかしいぞ? じゃあなんでキングをまだ確認できてないんだ?


「普通はジェネラルとキングが同時発生するはず… でも、今回はまだキングが出てないってことですよね?」


「そう!そこが一番の問題ってわけよ! キングはいない、だけどジェネラルはいた てことは、普通は喧嘩の末、負けた方がジェネラルになるのに、戦ってないにも関わらず、ジェネラルになったってことなの」


ここまで聞いて気づいた というか、気づいてしまった その最悪の可能性に…


「つまり、ゴブリンジェネラルが戦う前から屈服するような化け物、キング以上の怪物が、その魔力溜まりから生まれてくる可能性が高いってわけ」


あぁ、やっぱり予想通り、最悪の展開だ…

読んでいただきありがとうございます!

感想や評価が執筆の励みなってます!ありがとうございます!!


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