普通じゃないと、普通の境目を言葉で表すことは案外難しい話
「す、すごい冒険者なら」
「そうですわ!すごい冒険者は普通じゃありませんわ!」
すごい冒険者!
お母様やお父様のような!
うんうん。確かに、普通じゃない。
「すごいの基準って?」
結局なんなの?
「稼ぎが多いとか?」
首をかしげる。
「ち、違いますわ!稼ぎは運の部分がございますもの。偶然すごいものが入っている宝箱に出会えば稼げます。というか、幸運王と呼ばれる方とか」
幸運王?なんじゃそりゃ。
「そうですわね!なんでも特別にラッキーなことが立て続けに起きる祝福をお持ちの幸運王様……まではいかなくても、幸運系の能力者は他にもいらっしゃいますが、肉体的というか、戦闘能力的には普通ではないかと……」
そうなんだ。
へぇ。幸運王か。かっこ悪い二つ名。
ラッキーで生きてるなんて、かっこわるぅーい。
もっと、こう、筋肉王だとか、怪力王だとか、瞬殺王だとか、かっこいい二つ名持ちがいいわよね。
ああ、ぞくぞくする。会いたいなぁ。筋肉王様。どこかにいらっしゃるかしら……どきどき。
「となると、すごい冒険者の基準は……魔窟制圧者でしょうか……」
ま、ま、魔窟!うひょーう。私の大好きな単語が侍女さんから出てきた!
魔窟なんて、魔窟なんて、公爵家で働いている侍女は一言も口にしなかったよね。
時々「名前を口にしてはいけない場所」とか言ってたけど。
公爵家の旦那様が、奥様が、娘たちが、関りがあると思われてはいけませんからとか言ってた。
こっそり魔窟に出かけてるのがバレてるのかと思ったら、もしかしたらあれ……。
お母様のことだったのかしらね?
結婚してから育児の合間に68潰したとか言ってたし。
「魔窟制圧者?」
制圧ってなんだ?
「ご存知ありません?魔窟制圧者とは、魔窟の深窓部までたどり着き、ボスと呼ばれるものを倒すことで、魔窟を消滅させた者のことですわ」
それって、それって。
「魔窟をぶっつ」
ぶした人ってことか!
いけないいけない。思わず公爵令嬢らしからぬ言葉を口にするところでしたわ。
「ぶっつ?」
突っ込まないで!
「リザ様、ぶっつとは?」
たずねないで!
「リザ様?」
答えを期待して、こっち見ないで!
「ぶっつとは、そちらの国の言葉なのですか?」
う、う、う、ぶっつ、ぶっつ、ぶっつ、あーん、いい言い訳が思いつかないよぉぉぉぉぉぉぉ。
冷や汗が背中を流れる。
でも、私は理解した。
魔窟制圧者は、普通の人じゃないから、頭も胴体も殴っていい。
オッケー、オッケー。それだけ分かれば問題ない。
馬車ががくんと大きく揺れて止まった。
「国境を越えました」
え?
「ここから先は北の国となります。故郷とお別れをいたしますか?」
使者がドア越しに声をかけてくれる。
故郷とお別れ?
ドアを開いて外に出た。
目の前に広がるのは、森。
後ろに広がるのも森。
ここが境目だと分かるのは、砦が築かれているから。
「故郷とお別れっていっても……」
森見てもなーんも思わん。
っていうか、むしろ、お別れするのは、故郷ではなくてよ?
「こちら側が北の国というわけですわね?」
目の前の森を指し示す。
「はい。ここから馬車で1時間もすれば、第一の街にたどり着きます。そこからさらに2日ほど馬車で移動すると王都です」
「そのさらに北が、私が使える候家の領地です。特産品は」
「特産品と言えば、うちには女性が好む」
押し合いへし合いして、なんか説明始めた。
ザ・ど、う、で、も、い、い。
さて、ツッコミバージョン置いてみるぞ。
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「す、すごい冒険者なら」
「そうですわ!すごい冒険者は普通じゃありませんわ!」(この世界にはもっと分かりやすいすごいの表現法はないんかい!みんな語彙が死んでるぞ)
すごい冒険者!
お母様やお父様のような!(二人はすごいって言葉じゃ収まらないってばよ!んだってばよ!)
うんうん。確かに、普通じゃない。(お父様は別の意味でも普通じゃないしな!)
「すごいの基準って?」(いいとこに気が付いた!それ、大事!)
結局なんなの?(S級とかないんか、不便な!)
「稼ぎが多いとか?」(それはすごいぞ!いいぞ!大事だぞ!)
首をかしげる。
「ち、違いますわ!稼ぎは運の部分がございますもの。偶然すごいものが入っている宝箱に出会えば稼げます。というか、幸運王と呼ばれる方とか」(焦る侍女。そりゃそうだ、普通じゃない認定されたら……待つ者は、死!なぜか死がよぎるのだから……)
幸運王?なんじゃそりゃ。(なんじゃそりゃ)
「そうですわね!なんでも特別にラッキーなことが立て続けに起きる祝福をお持ちの幸運王様……まではいかなくても、幸運系の能力者は他にもいらっしゃいますが、肉体的というか、戦闘能力的には普通ではないかと……」(っていう能力あるよねー)
そうなんだ。
へぇ。幸運王か。かっこ悪い二つ名。((´◉◞౪◟◉)……)
ラッキーで生きてるなんて、かっこわるぅーい。(おまっ、いろいろ謝れ!謝れ!!!!)
もっと、こう、筋肉王だとか、怪力王だとか、瞬殺王だとか、かっこいい二つ名持ちがいいわよね。(かっこいくない!かっこいくない!瞬殺王って怖いわ!怪力王とかただの力持ちだよっ、筋肉王なんて、残念さしか感じないわ!?)
ああ、ぞくぞくする。会いたいなぁ。筋肉王様。どこかにいらっしゃるかしら……どきどき。(行ってこい、今すぐ、ボディビル世界大会にでも行ってこい!すぐ会えるぞ!)
「となると、すごい冒険者の基準は……魔窟制圧者でしょうか……」(侍女さんナイス)
ま、ま、魔窟!うひょーう。私の大好きな単語が侍女さんから出てきた!(侍女さんナイス)
魔窟なんて、魔窟なんて、公爵家で働いている侍女は一言も口にしなかったよね。(いや、普通の生活してたら縁遠いって!)
時々「名前を口にしてはいけない場所」とか言ってたけど。(ハリーポッ〇ーのパクリかよ!いや、パロディだよ!パクリとか失礼だろ!……ハリーポッ〇ーに、失礼だろ!こんな作品になるわけねぇだろ!)
公爵家の旦那様が、奥様が、娘たちが、関りがあると思われてはいけませんからとか言ってた。(建前)
こっそり魔窟に出かけてるのがバレてるのかと思ったら、もしかしたらあれ……。(!!!バレてるよ!!!)
お母様のことだったのかしらね?(家族全員だよ!妹も含めだよっ!!)
結婚してから育児の合間に68潰したとか言ってたし。(だから、自分を棚に上げるなよっ!)
「魔窟制圧者?」
制圧ってなんだ?(これな、Twitterで、魔窟をぶっ潰したことを、どういう単語で表現したらいいんだろうって、相談に乗ってもらったわ。踏破とか、攻略とか色々単語教えてもらったけど、こう、ぶっつぶす感が薄れるなぁどうしようかなぁってことで、制圧になったんじゃわ。って、裏話!)
「ご存知ありません?魔窟制圧者とは、魔窟の深窓部までたどり着き、ボスと呼ばれるものを倒すことで、魔窟を消滅させた者のことですわ」(ボスと呼ばれるもの……)
それって、それって。
「魔窟をぶっつ」
ぶした人ってことか!(ぶっつぶすって単語ははしたなくてよ!と、慌てて言葉を止める)
いけないいけない。思わず公爵令嬢らしからぬ言葉を口にするところでしたわ。(もう、半分出てるっ!出てる!)
「ぶっつ?」
突っ込まないで!
「リザ様、ぶっつとは?」
たずねないで!
「リザ様?」
答えを期待して、こっち見ないで!
「ぶっつとは、そちらの国の言葉なのですか?」
う、う、う、ぶっつ、ぶっつ、ぶっつ、あーん、いい言い訳が思いつかないよぉぉぉぉぉぉぉ。
冷や汗が背中を流れる。(これ、言い訳を、考えた。ぶっつ……を誤魔化す、ぶっつけ本番と言ったのですわみたいな何かないかと。色々考えたんだけど思い浮かばなかった……)
でも、私は理解した。(たぶん勘違い)
魔窟制圧者は、普通の人じゃないから、頭も胴体も殴っていい。(だから、やめれ!)
オッケー、オッケー。それだけ分かれば問題ない。(問題だらけだと思う人、手を挙げて……(-ω-)/
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はい。実はですね、実はですね……。
こういう()がきのツッコミを、「誤字報告機能」を使って、みんなに参加してもらおうかと思ったこともあるんですよ。そうすると、ツッコミ入りの話と、ツッコミなしの話を用意しないといけないとか、誤字反映作業だとか、なんかちょっとめんどくさいことになるなぁと思って諦めたんです……。
楽しそうなのになぁ。
本編に目いっぱいツッコミ入ったコメディ……。
まぁ、とりあえず、諦めたので。感想欄とかでガンガンやってください……。
是非。笑わせてください。
ちなみに、別サイトでの感想欄で、すでにうっかり爆笑している。いや、吹き出すよね、人間。不意をつかれた面白いこと言われると。
てなわけで、感想お待ちしております!熱烈お待ちしております!
あ、別に面白いこと書かなくてもいいです。
うーんと
「いいぞ、もっとやれ」
とか
「頭おかしい(誉め言葉)」とか
「僕も虫を見るような目で見られたい」とか
簡単な感想でもすごく嬉しいです。
受け付けていない感想は以下のものです
→「作者は〇〇」という作品ではなく作者に関するもの
→後書きの是非に関するもの
あとがきが邪魔だと言うご意見をいただくこともありますが、ほぼあとがきなしバージョンは別サイトにございますので、そちらをご利用ください。
→利用規約に反するもの
→誤字の報告は歓迎ですが、誤字が多くて読みにくいといったご意見はご遠慮ください
以上、よろしくお願いしまーす。
あ、そうそう、★の評価も励みになります。
あと、布教大歓迎です。どっかでつぶやいてもらえると喜びます。
レビュー……をもらうのは夢です。レビューって本当、なんか、すごく、希少価値!
それでは!長々と失礼いたしました!
くるくるくる(回りながら退場)