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災強令嬢の魔窟グルメ  作者: ハチャメチャとまと


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昔を思い出す。いや、走馬灯じゃねぇから!走馬灯だと死んじゃうじゃんか

 私が食べたいと思わなければ、食べたそうな顔をしなければ、そして味わって食べなければ……。

「だが、ミスは取り返せばいい。くよくよしても仕方がない」

 ミスは取り返せばいい?

「俺たちなら、それくらいできるだろ?」

 エックの言葉は軽口のようだが、声は真剣だ。

 それくらいできる?できなくてもやらなくちゃならない。

 絶対、誰も犠牲になんてしない。

 そうだ。挽回するしかない。

「もちろん、エックのミスは私がカバーしてあげる」

 くよくよして、涙なんて流してた自分を笑い飛ばすように、エックに軽口で返す。

 エックと同じ。言葉は軽いけれど、声は真剣だ。

「おい、このスピードじゃぁ追いつけないぞ」

 本がそんな私たちのやり取りに水を差すような言葉を発する。

 確かに、私たちがいくら他の人よりも早く走れるからといっても、空飛ぶドラゴンはその何倍ものスピードで移動することができる。

「くっ。……まずは、討伐のことは忘れるべきか」

 エックがぼそりとつぶやいた。

「何?やっつけるの諦めるってこと?」

「いや違う。近くの村に危険を知らせに行く。そして避難してもらう。ギルドへと通信して別の村や街にも情報を流す」

 そうだ。

 命を守るためにできることは、魔の物を倒すことだけではない。

 あまりにもてんぱっていて、そんな基本すらすっかり思い浮かばなかった。

 いや、もう、私って、本当に馬鹿なのかもしれない。いや、違う。落ち着けば私だって、何か……。

 ふと、視界に見慣れたものが見えた。

「エック、ここからは別行動しよう」

「はぁ?何言ってんだギーメ、まさかお前、一人でドラゴンを追う気じゃないよな?」

 スピードを落として、立ち止まる。

「村に一緒に向かう必要はないだろ?私は別の村に向かう。場所は、魔力探知で小さな魔力が集まっている場所を探せばたどり着ける」

 私の言葉に納得したのか、それともここで言い争いをしているような暇がないと分かっているのか、エックは分かったと小さくつぶやいた。

「絶対に、むちゃはするな。責任を感じなくてもいい。そもそも、この国の民を守るのは、俺の……仕事だ」

 エックは私の頭をポンっと小さくたたいて猛スピードで北へと走り出した。

 え?この国の民を守るのは?あれ?

 ……私が、北の国の民じゃないってバレてる?言ったっけ?

 と、そんな場合じゃない。北の国の民だとか、どの国の民だとか誰の仕事だとか関係ない。

 私は、貴族だ。

 今まで小麦の一つも育ててことがない。

 荷物の一つを誰かに届けたこともない。

 人に生かされてきた。

 いざというときに人を守るために。人を守れないなら、生きている価値なんてない。

 目の端に移っていた見慣れた場所。

 それは、魔窟の入り口だ。小さな魔窟の入り口がぱかっと口を開けているのが木々の間から見えていた。

「魔窟……」

 意味があるかは分からない。だけれど、もしかするとドラゴンに近づくことができるかもしれない。

 魔窟に入ると1つ目のスライムの部屋を素通りし、2つ目のネズミ―の部屋も素通りする。

 どの魔窟も大きさに差はあれども、出てくる魔物には決まりがある。

 用があるのは3つ目の部屋だ。

 足を踏み入れれば、ウサラビーの姿があった。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] え? ミスドでのんびり食べていた?(空目) [一言] どうしてもウラサビーと読んでしまって、しかも何故かムササビではなくバット(蝙蝠)の姿が脳裏に浮かんでしまうのはなぜだ!? やっ…
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