ああああ、思わずもれた、天の声!
戦うところを脳内趣味レーション。
って、確かに戦うこと考えるのは趣味だけど、趣味レーションじゃないやい。
それくらい知ってるやい。シミュレーションだかんな!
1個目の首を落としてから、2つ目の首を落とそうとすると、遅い。
エックのスピードは、私とどっこいどっこいだろう。そのエックが再生能力の上を行くことができないんだから。私にも無理。
となると、片方に剣を投げつけつつ、もう片方に切りかかるとか?
……いや、駄目だな。投げつけた方のスピードや殺傷能力はどうしても不足するだろう。なんというか、方向性までコントロールできる投げ方ができればいいけれど、それは無理だ。
まっすぐ投げたらまっすぐ進む。ドラゴンのクビに突き刺さることはあっても、ドラゴンのクビに当たった瞬間に切り落とすようにななめにとか下にとか角度を変えて飛ぶなんて無理だ。
うーん……となると、二刀流?
右手と左手に剣を持って、同時に切り落とす……。いや、無理だな。巨大すぎて、首と首の距離が離れている。
1つの首を羽交い絞めにしてひっつかんで、もう一つの首の近くに飛んでいき、2本の首をひとまとめにしてスパンっと切るならどうだろう?
「あ!」
ずっと、同じように切っては回復を続けていたエックが、首を羽交い絞めにした。
ぬ?!
その方法、私が考えたんだぞ!真似するな!
って、ああ、羽交い絞めにしているエックは、首の自由を奪ったように見えて逆に、自分の自由を奪われている状態だ。
「危ないっ!」
もう一方の首が、エックの頭に。そして、今までまるで動いていなかったしっぽの先が、エックの背中目指して振り下ろされた。
挟み撃ちじゃんっ!
エックもそれに気が付いたのか、慌てて羽交い絞めにしていた首を話してドラゴンの攻撃を避けた。
「そうとう……強い、名前だけのことはある……」
こんなん、どうやって倒せばいいの?
全く思いつかないよ。
魔法さえ使えれば、一気に焼き払うだけでなく、ウォーターカッターをぶっ飛ばしながらもう一つをぶった切るとかできるのに。
……うーん。
何か、方法ないのかなぁ?
魔法……ん?
ふとニックが焼いた肉のことを思い出した。
直接魔法がドラゴンに効かなかったとしても、例えば周りの岩を熱して、その熱でドラゴンを焼くとか?
って、密閉された部屋でそんなことしたら、私が熱で倒れるって!
駄目か。
うーん。
うーん……。
うー……ん。
あかん、眠くなってきた。
ついつい、エックが首を切り落とし、ドラゴンが回復しの、繰り返しを見ていたら、なんだか、こう、催眠状態……。
はっ、行けない。意識を持っていかれるところだった。
エックも羽交い絞め作戦から先、アイデアが浮かばなかったみたいで、動きが単調になっている。
何問だよなぁ。
あんなドラゴン、私、倒せそうにないわ。
お父様やお母様なら倒せるのかなぁ?やっぱり無理じゃない?
超長い剣とか、特殊な武器とかなきゃ、とても一人じゃ倒せないんじゃない?
「……」
あれ?
「……」
今、私、何て言いました?
「……」
一人じゃ、無理。
ぽんっと手を叩く。
オーケー、オーケー。
天災リザ様に、解けない謎はない。
そうとう強いドラゴン、貴方の弱点はすでに見破ったわ!
「エッーーーーック、いち、にの、さんっで、奥の首をスパーン」
「はぁ?」
不可解な顔をして一瞬エックはこっちを見たけれど、すぐにドラゴンに視線を戻す。
ははは、天才の私には思い浮かんだけれど、凡人のエックにはどうやら、分からないようだな。
一人でダメなら、二人で倒せばいいじゃなぁーい!(天の声*皆気が付いてる!!!!)
ありがとうございます。
作中に突っ込み……せずには、いられなかった……ぐはぁ。
ええ、ええ、ええ。反省はすこぉーしだけしております。
でも、でも、でも、他の皆様も、きっと、きっとですねぇ、ツッコミたいよね?
さて。そうですね。一人じゃ無理なら二人で。エックだって気が付いてる。というか、エック的には
応援待ちで、朝まで何とかって言う時点で、一人じゃなきゃ倒せると思ってるんですけど……。
いつも単独で魔窟ぶっ潰してきたリザたんですから。




