お腹が空いたので、獲物をとることにするんじゃ。肉、肉、肉。
お腹、空いた。立ち止まって、木に持たれて座る。
「お腹すいたー」
「お嬢様、夕食までまだお時間がございますので、もうしばらくお待ちください」
……なんて、言ってくれる人がいるわけもなく。
……。あれ?
あれ?
私、何を食べればいいの?
「しまった、食べ物、準備してない」
だって、ギルドのお姉さん、初心者冒険者の携帯食割引券とかくれなかったし。忘れてたよ。
確か、冒険者って、干し肉だとか、硬くて食べられないようなパンとか持ち歩くんだよね?
ない場合どうすんの?
「ぐぅ」
そうか、そうか。ぐぅか。
私のお腹はおしゃべりだな。
「ぐぅ、ぐぅ」
そうか。ぐぅな。ぐぅ。
拳をぐーにして、眺める。
「……ぐぅ……といえば、パンチ。グーパンチ」
はっ!そうよ!現地調達よ!
なんか動物捕まえて食べればいいんだわ!
イエス!あたし、て、ん、さ、い!
早速なんか捕まえて食べる。あー、肉を粉砕しないように気を付けてグーパンチしなくちゃいけないから、えーっと……そ、そうだ。
石、石とか投げよう。岩じゃなくて、石。小石、小さな石を……。
イエス!私、大天才!
小石を拾う。
動物……、あ、みーっけ。
飛んでけ小石!
狙いを定めて、左手の平に置いた小石を、右手の人差し指ではじく。
ひゅっ。
風を切る音が短く聞こえ、今の今まで飛び跳ねていたウサギが地面に落下したまま動かなくなった。
ウサギの側に駆け寄ると、額の真ん中に小さな焦げたような黒い跡。
「うん、狙い通りのところに命中したみたい。えーっと、こんな時には……」
たしか、なんか、魔の物じゃなくて、動物を仕留めた時には何か言う言葉があったような?
えっと……。
「しーとーめーたーぞぉーーー!」
……なんか違う気がする?
まぁいいか。
耳の根本をひっつかんで、持ち上げる。
「……えーっと、念のため?」
そっと、尻尾を指の先でつまんでみる。
魔の物のように、消滅もしなければ、鼻の先から核を出すこともない。
「……ぐすん、知ってるもん。動物は魔の物と違うんだもん。知ってるもん。核……出すわけないもん。ウサラビーとウサギは違うんだもん……」
「ぐぅ」
「あー、はいはい。すぐに食べようね」
お腹と会話。
さ、寂しいわけじゃないからね!
持ち上げたウサギを眺める。
「生で、丸かじり……、ダメ、リザ、知ってる」
あれは、5歳くらいのときだっただろうか。
公爵家でガーデンパーティーが開かれた。
なんと、目の前で肉を焼いて食べるという、街の人たちがお祭りのときに楽しむというスタイルだ。
まぁ、普通の貴族はそんなことしないんだけど。今思えば、お父様もお母様も冒険者の経験があったから、煙の臭いが服につくとか、焼いただけの肉なんて料理とは言えないとか、およそ貴族が嫌がりそうなこと、全然平気だったんだろうなぁ。
……まぁ、むしろ……。
「これは私の肉ですわ」
「じゃぁ、こっちが私ので、いいかな?」
と、競い合うように肉食べてたな。
「リザ、まだ焼けてません!肉はしっかり焼いて食べないとダメですよ!」
パチンとお母様のお肉に手をのばしたら叱られました。
「リザ、ダメだ。これもまだ焼けてないぞ。肉が焼けたら、色が変わるんだ」
お父様のお肉に手をのばしたら目の前から肉を取り上げられた。
「お嬢様、こちらのお肉が食べごろですわよ?」
侍女が、私の皿にお肉を乗せた瞬間。
「おねーちゃまばっかりじゅるいの!」
奪われる肉。
くっ。
な、泣いてなんかないやい。
とにかく、肉は、焼いて食べる。
しっかり焼かないと、ダメ。
じーっと、ウサギを見る。
焼くと言えば、魔法。だけど、私は天才だから。知ってる。
「魔法で焼こうとすると、消し炭になる。たぶん、そう。私の魔法じゃ、消し炭になって、ああああってなる」
ふっ、そんな状態くらい、私だって想像できるさ!天才だからね!学習能力のある天才だからね!
えーっと。確か、火は、木を燃やすんだわ。
いつもありがとうございます。
前回の後書きに書き忘れちゃった。
サブタイトルのだらだらだらってやつ、
あれ、何が垂れてるか、わかりますか?
冷や汗じゃないよ。
……そうです。それです。
察してくださいませ。
ところでねぇ、タイトルなんだけど、二転三転して、結局、今この、予約投稿してる間にも、ちょこちょこ変更したりしてて、説明がおかしなことになってたら、そのせいなので、ごめんなさいです。
そういうタイトルを考えていたこともあった!
と、思ってください。
(´・ω・`)