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災強令嬢の魔窟グルメ  作者: ハチャメチャとまと
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私のこの感情は、魂に刻み付けられた欲望!抗えぬ宿命!

 むぅーっと、明らかに不満げな表情を見せると、お父様がにひゃっと楽しそうに笑った。

 ちょ、娘に嫌な顔されて喜ぶ変態父め!

「お父様、私が婚約破棄をされたのは、つい数分前のことですけれど、いつ、新しい婚約者が決まったのでしょうか?まさか、事前に取り決めていたわけではありませんわよね?もしそうだとすると、重婚ではありませんが重婚未遂とでもいうんでしょうか?あってはならないことですわ!」

 睨みつけて早口でまくし立てると、父がぷるると小さく震える。

 この、変態め!

「お母様……、お父様では話になりませんわ」

 ぷいっと父親を無視して母親と共に玄関から移動する。

 置いてきぼりの父親から、小さな声が漏れ聞こえてきた。

 あれ、悲しんでる声じゃねぇな。歓喜の声かよっ!

 変態め!

 公爵家の屋敷はそれなりに広い。けれど、家族が集まってのんびり過ごす部屋はいつも同じ。

 最強防御魔法の施された一室だ。

 いつ、だれが、暴れ出してもいいように。

 ん?普通ですよね?

 いや、普通じゃないか。わざと妻や娘を怒らせて快感を得る変態がいる家がそうあるわけない。

 お母様のそれは冷たい冷たい氷の刃で、壁には無数の小さな傷跡……。

 ああ、その隣のちょっぴり大きな傷は、私が岩石をぶつけた跡だったかしら?

 お父様の言い分としては……。

「感情のコントロールを学ばせているのだ!もし、学園で怒りに我を忘れてしまうことがないように、こうして日々訓練をだな!別に私が娘に叱られたいからじゃないぞ!」

 ……らしい。

「十分に訓練をしていただいたおかげで、感情をコントロールすることができるようになりました」

 と、10歳のころに言ってみたら、泣いてたけどな!

 泣いてたけどな!

「実はですね、リザ……。婚約の打診は1年ほど前にあったものなのです」

 え?

 1年前?

 まさか、私、1年前……つまり、今の第三王子と婚約するときから、もうすでに婚約破棄されるんじゃないかと思われたってこと?

 ちょ、いくらなんでも、し、つ、れ、い!にこっ。

 おっと、部屋の温度が下がる。

 感情コントロール発動。

 よし。おっけ。

 お父様のおかげで本当にコントロール上手くなってます。くそっ。なんかお父様のおかげって思うのが腹がたつわ。

 ああ、また部屋の温度が。

「リザ、実は隣国からの我が公爵家への打診でした」

「隣国?」

 簡単に地理を思い出す。

 なんか土地があるでしょ。

 うちの国が真ん中にあって、周りに4つの国がある。隣国は4つある。

 南にある国は、美味しい物がたくさん。とにかくフルーツうまいっていう国らしい。

 西にある国は、小麦粉を使った料理がたくさんあって、うまいっていう国らしい。

 東にある国は、貴族がいない国らしい。意味が分からなかったんだけど、貴族の立場に当たる人たちが冒険者や商人なんだそうだ。税金をたくさん納めている人たちが貴族の代わりに国を動かしているそうだ。それが成立しているのは聖女の審判つぅ特別な魔法があるからなんだって。不正を行うと、バレちゃうから、自分のために国を動かそうとするとあかんらしい。国民のために動かないとダメで。そうすると、めんどくさいって商人なんか投げ出しがちとか。

 そこで、役に立つのが、領地運営などを学んだ他国の貴族なのだとか。

 金のある商人は他国の貴族を娘婿に据え、政治的な仕事は押し付けるとかなんとか。

 む?

 もしかして、私はそこに嫁にいくのか?商人じゃなくて、それが冒険者バージョンっていうのもある。

 冒険者の嫁?

 私、冒険者の嫁になれるの?

 正確には、貴商人とか貴冒険者と呼ぶんだっけ?貴冒険者の嫁!

 その貴冒険者は、税金をたくさん納めているわけだから、稼いでいる。稼げるっていうことは、強い。強い冒険者の嫁。

 あれ?でも、別に冒険者じゃなくて、領地経営的な手腕を買われて嫁入りしたら、冒険者として働けなくない?

 ……やだな、それ。うん、だったらこうしよう。

 勝負よ!より強い方が冒険者として外で働く。負けた方は大人しく家の仕事する!それならどうだ!

 よし。鍛えよう。嫁に行くまでに鍛えまくる。

「リザ、今何を考えて、何故拳を握りしめているのかは分かりませんが、話を続けてもいいかしら?」

「ええ、お母様」

 北の国は、すんごい大国なんだよね。うちが1とすると、あっちが10くらいの差がある。北の国の一つの領地がうちの国くらい大きかったりする。あっちから見れば小国の公爵令嬢なんて相手にするわけないだろうし。

「実は、わが公爵家は強いのです」

 実は?

 結構みんな知ってますよ?お母様……。

「ええ、武功で今の地位を築いた家ですものね?」

 お母様が首を横に振った。

「ええ、そうですね。そうなんです。もちろんそのことは皆が知っている話です。実はそこから続きがあるのです」

 続き?

「実は、あなたのお父様は、若い頃に修行だと称して冒険者をしていたことがありました」

 え?まじか!

 ってことは、私が冒険者になりたいっていうこの気持ちは、DNA!

 D・N・A!

 遺伝子!

 魂に刻み付けられた抗えない気持ち。

 ……って、変態の血かと思うと、複雑マックス。ぐぬ。


コメディです(念のため)

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― 新着の感想 ―
[一言] DeNA……それ、作品につかっちゃあかんやつや ドコサヘキサエン酸……それDHAや デオシキリボヌクリアアシッドやで! (※Uは英語だとユーだけど米語だとウーですよね)
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