大きな核、大きな核、大きな核……(だらだらだらだら)
ぎろりと、巨大ウサラビーが少女を真っ赤な目で睨んだ。
どうしよう、どうしよう。
私、さっきから震えが止まりません。
ガクガク、ガクガク。
か、か、か、歓喜!
「でかいウサラビー、でかい核、うんまくてでかい……ひゃはーっ!」
びゅんっと前足を少女に振り下ろそうとしていた巨大ウサラビーの鼻先を蹴り上げる。
グリンと勢いよく宙で三回転ほどして、巨大ウサラビーが天井にぶち当たって、落下。
ちょ、力加減したよ?
まだ生きてるよね?
急いでおしりにまわってしっぽを……。
このサイズなら、握っても構わないだろう。
って、尻尾もでかすぎて、手で握るなんてできない。
こりゃ、両腕で、ぐっと。
ぐしゃべっ。
「ぎゃーっ!両腕を回したら、羽交い絞め!いつもの癖が!いつもの癖がでたーっ!」
力込めてしまった。
ぐしゃべって、ぐしゃべって。
あああああ、ぱぁーんと勢いよくはぜるように巨大ウサラビーが、き、え、た。
巨大ウサラビー……の、巨大核……は?
呆然として立ち尽くす私の前に、少女が来た。
「助けていただき、ありがとうございます」
その隣に分身たちが同じように頭をさげる。
へ?
助けた?
記憶にないんだけど?
きょとん。
そんなことよりも……。
「魔活性って、次はいつ?」
巨大ウサラビー、今度こそ力加減間違えない。核、とる。
「さぁ?昼間の魔活性は数年に一度……それが今日だったのは運が悪かったとしか」
キラキラピカーン!
夜。
そうか!
夜!
夜になれば、巨大ウサラビー天国。
しっぽを握って握って握り倒せば、力加減も学べるんじゃなかろうか?
「だ、大丈夫ですか?口から……その、垂れてます」
ん?
少女の声にハッとする。
何か、口から、垂れてましたかね?気のせいじゃないですかね?
「急いで出ましょう。また現れる可能性があります。さぁ、みんな急いで」
てなわけで、分身さんたちと大人しく外に出ました。
少女は魔窟の総責任者みたいな人に話をしにいってます。
ん?少女が私を見て指さした。
何?私、なにかした?
……巨大ウサラビーの核を手に入れるチャンスを潰しちゃったことを非難されても……不可抗力。
力加減ができなかったんだもん。……っていうか、いつもの癖で……。
両手を広げて、がしっと手を回すのって、は、が、い、じ、め。それが我が家のルール。
ハグ?ナニソレ、甘く切ないって意味が分からないんだけど。
強く締め付けすぎて、せっかく食べたお菓子でもあがってきた?
そりゃ、甘いし、切ないねぇ……。
ハグ、怖い!
あわわわ、なんだか、私をチラチラ見てる人が増えてる。
冷や汗たらり……。
何?なんで?こんなに、どこにでもいるかんっぺきな初心者冒険者なのに。
ぶ、ぶ、分身ちゃん、私の分身ちゃんたちはどこ?まぎれましょう、まぎれ……って、なんで分身ちゃん私が近づくと逃げるのかしら?
うえええーーーーん。
こうなりゃ仕方がない。
どうせ、夜に魔窟に行くんだもん。
昼間はここにいなくたっていいんだもんっ。
いっち、にぃーの、逃走!
ダッシュ!
「あ、行っちゃった」
「速っ、何者だ、何者なんだ!」
人の声が遠ざかる。
うーんと、待って、あんまり離れると、迷子になる!
あの人たち、夜にはいなくなるんだよね?魔力を感知して探せなくなっちゃよ。見張り位は残るのかな?やばい。適当に近くに潜もう。
「ぐぅー」
はいはい、誰ですか?
「ぐぅー」
だから、誰だっつてんだよ!
「きゅるるーん」
……。
はい、私です。
リザちゃんです。お腹の音でした。
どうも。ご覧いただきありがとうございます。
ときどきあとがきがない!
あはは。さて、後書きがあるのが普通……。
さて、別んとこで、
リザ……脳筋じゃなくて、あほの子?って感想をいただきました。
そろそろ、そのことについて語るときがきたようだ。
……。
……。
かわいいじゃろ?
中身が抜けてるくらいがかわいいじゃろ?
(つд⊂)
(つд⊂)
強くて中身もしっかりしてたら、付け入るスキがなさすぎるじゃろ?
こ、答えになったじゃろうか。




