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災強令嬢の魔窟グルメ  作者: ハチャメチャとまと
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貴族の社交界の、鍛えられた言葉の裏を読み取る力を見せて差し上げますわ

「実は、私はこの部屋の責任者なんです」

 責任者?

 え?

 魔窟に責任者なんている?

 あ、そういえば入口に門もあったし、ギルドが管理してるし……。うわぁ、私知らないことだらけ。

「無謀にも、初心者で能力がないのに先に進もうとする子を止めたり、能力がついてきたら先へ進んでもいいと助言したりする役割があるの」

 へー。

 なるほど。学園でいうところのクラス委員みたいなもの?ここにいる私の分身……のような服装の子たちをまとめる役割?

「それで、あなたはもう少し先に行った方がいいと思う」

 にこりと笑って言われました。

 ズキィーン。

 私、これ、知ってる……。

 社交界でよくかわされる言葉だ……。

「あなたにはもっとふさわしい場所があるのではなくて?」っていうやつ。

 あの言葉の意味は「てめーはここにふさわしくねぇんだよ、どっか行けやぼけぇ!」だとお母様が教えてくださいました。

 う、うう、うう。

 ごめんなさい、私、ここでは役立たずの邪魔者……。

 うごうごとうごめくスライムを見る。

 核……美味しかった。

 でも、私には取れない……。

 核……食べたい。

 ぽたりと地面をしずくが濡らす。

 ああ、やだわ私。

 泣いてしまったのね。涙が……。

「ちょ、よだれっ!きったねぇな!」

 はい?何のことでしょう?

 よだれ?誰が?

 変ですね、私は、悲しくて涙を……。

「ふふふ、とれたては美味しいものね。頑張って。この先で取れる核も美味しいわよ」

 涙、乾きました!

「行ってくる!サンキュー、サンキュー、サンキュー魔窟!」

 くるくるくるっとターンを決めながら、1つ目の部屋を出て、次の部屋に!

 ああそう。魔窟って、部屋が分かれてる感じ。屋敷のようなものではなく、一つの部屋が、学園の講堂くらいだと……思ってたら、このサンキュー魔窟はお城の中庭ほどとにかく広い。でも、そうやら基本的には同じみたいで、部屋を出ると次の部屋に行って、ちょっと魔の物が強くなるのよね。

 うちの領地のちっちゃな……魔窟だと、1つめはスライムを業火で焼き尽くし、2つめの部屋のネジュミーは業火で消滅させ、3つめのウサラビーは業火で薙ぎ払い、4つめのブヒブヒーは業火で一層して進んでたけど……。

 2つめの部屋に足を踏み入れると、やっぱり私の分身のような同じシャツ同じズボン同じ鎧同じ剣の初心者冒険者がわらわらといた。

 魔法を使えば人にも当たっちゃうから使えない。

「あ、はじめての顔だね。倒し方分かる?こうするんだよ」

 また少女が立ち尽くす私に話かけてきた。赤毛のポニーテールの子だ。

 え?

 あれ?同じ人?……なわけはないか。似てるだけだよね?

 わさわさと似て回るネジュミーのしっぽをがしっとつかんだ少女が、ばしゅんと地面にネジュミーを叩きつけた。

「分かった?しっぽをつかんで地面にたたきつければやっつけられるから。そうすると、ほら」

 ポロリとしっぽが取れて、尻尾の付け根に薄紫色の小さな石のような。

「核!」

「そう、とれたては格別なのよ」

 少女がネジュミーの核をつまみ上げて私を見た。


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― 新着の感想 ―
[一言] なぜ、主人公の名前が「リリア○○」じゃないんだ!! ……いや、リリアーザとかリリアゼーテとかリリアルザーネとかかもしれん!
[気になる点] >4つめのブヒブヒーは業火で一層して 一層→一掃 ではないでしょうか? [一言] ボクその魔石要りません なぜなら尻尾がどこについているか知ってるから( ̄^ ̄)
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