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災強令嬢の魔窟グルメ  作者: ハチャメチャとまと
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違う、そうじゃない!だれが、筋肉王の話をしているんだ!

「核?ナニソレ、オイシイノ?」

「うん」

 え?

「オイシイノ?」

「うん、おいしいよ。核を10個集めると銅貨1枚。時々でる色違いの核はもっとおいしい」

 あ、おいしいって、収穫として……ね。

 そうか、そうだよね。趣味で魔窟に潜って、趣味で魔物倒してる場合じゃないんだ。

 ……やべぇやべぇ。趣味で魔窟に潜って、趣味で魔物倒すところだったよ。

 お母様から持たされたへそくりが無くなる前にちゃんと稼ぐことも覚えないと。

「魔窟制圧は、遊びじゃねぇんだよっ!ってことですね?」

 と、理解の早いところをアピールするように少女に笑いかける。

「魔窟制圧は遊びでしょ?」

 きょとんとされた。

 え?遊びなの?

「だって、制圧すると消滅しちゃうんだもん。危険は魔窟は制圧しないといけないけど、安全な魔窟は制圧するバカはいないわよ」

 ま、魔窟を制圧するのは、バカ?

「え?」

「はい、とれたよ」

 少女が目の前でスライムをスコンと叩いて倒した。そうしてどろどろと溶けてスライムが無くなるその寸前に、体の中から出てきた薄い薄い紫色の爪の先の大きさの小石みたいなものをつまみ上げる。

「知らないってことは、はじめてかな。特別に上げる。とれたては格別だよ」

 少女の手が伸びて、私のポカーンとしてる口の中に、スライムの核とやらを放り込んだ。

 暗殺される!

 ……わけないか。

「ふにゃ……」

 お、おいしい。甘い。甘くて、ほんのりなんだろう、フルーツのような風味が鼻から抜けて……。

「へへへ、とれたては美味しいよね」

「おいしい、めっちゃおいしい!」

 私ってば……こんな美味しいものを、今まで焼き尽くしてきたと……?

 足から力が抜け落ちて、両手をついてしまう。

 なんという愚かな行為を繰り返してきたというのだ……。

「色違いの黄色いのはもっとおいしいんだよ」

 もっと、おいしい……?

 ぐおおおおっ!スライム、今まで焼き尽くしてごめん!あたし、心を入れ替えた。

 入れ替えて……

「ふみっつぶすっ!」

 ぎゃははははっ、待て待てー。踏んじゃうぞ、踏んじゃうぞ!

「あ」

 少女が声をあげる。

「あああ」

 少女2が声をあげる。

「ああああああああ」

 少年が声をあげる。

 って、さっきから何をっ!

「だ、ダメだよ、核まで潰れてるよ。ちょっと強く攻撃しすぎ!」

 へ?

 足元を見る。

 薄紫色の美味しい奴、ない……。

「ちゃんと核を避けて攻撃するんだよ」

 少女の言葉に、足で踏みつぶすなんて乱暴な倒し方はやめ。

 こんな時は……。

「でこぴぃーーーんっ!」

 まぁ、スライムのでこがどこかなんて知らんがな。

 核を避けて、親指と人差し指でわっかを作ってから、人差し指を弾いて当てる。

 すぱぁーーーんと、デコピンかましたスライムが飛んで行って壁にぶち当たって……消滅した。

「あ」

 少女が声をあげる。

「あーあ」

 少女2も声をあげる。

「あーあーあー」

 少年も声をあげる。

 う。もう、わかったよ。

 これって、ダメな子を見た時に、思わず出ちゃうあれよね。

 しょうがないなぁってやつだ。

「いるんだよ、不器用なやつ。力加減とか全然できない、なんて言ったかな」

 ぶ、ぶ、不器用って言われました。目の前の年下らしき少年に……不器用って。

「そうそう、筋肉ば……むぐぐぐ」

 その後の、筋肉ばの続きは、少女が少年の口をふさいで聞き取れなかった。

 筋肉ば?何?筋肉の話は大好きですよ?

 どこかに、筋肉王という2つ名の素敵な方がいるっていうお話なら、いくらだって聞きますわ!


この世界、魔物の核、魔石じゃない。おいしい。


ときどき思い出したように書いてみる。

★評価とか感想とかブクマとかレビューとか励みになりますので、お時間ございましたらよろしくお願いいたします。

読んでたらお腹空いたとかそういう感じでも。


そうそう、ご存知の方がいるか分かりませんが。

核は「りんごんとう」をイメージしています。(注*なろうでは歌詞を書くのはご法度ですから、感想欄にも歌をご存知のかた、うっかり書かないようにお願いします。私ではなく、感想を書いた方が運営様から警告を受けますので、本当にご注意ください)

なんか、やたらと「りんごんとう」っておいしそうじゃないですか?

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