太陽が出ている時、太陽が沈んだ後、そういやぁあの子は今頃どうしてるかな
「大丈夫か?」
男性が心配そうな顔を向けてくる。
「はい、助かりました」
「気をつけろよ、新人冒険者にたかって金を巻き上げようとする悪い奴はどこにでもいるからな。金は絶対に他の人間の前ではあることは悟られるな。盗まれるぞ」
え?
「悪い奴?」
歯抜けを見る。
「あーあ、邪魔しやがって。せっかく馬鹿をひっかけてやろうと思ったのによぉ」
ぺっと歯抜けが唾を吐いた。
「馬鹿って?」
誰のこと?
ここには天才しかいませんけど。
「ぷっ。本当、馬鹿だな、まだ気が付いてないとか?」
ひょろりがまた吹き出した。
「行こうか」
20代前半の男が、汚いものを見るような目つきで歯抜けとひょろりをにらんでから私の肩を叩いた。
「あの、悪い人なんですね?」
歯抜けを見る。
「だったらどうした」
ひょろりを見る。
「騙そうとしたんですね?なぐってもいいですか?」
ひょろりがまたぷっと噴出した。
「殴るだってよ。俺たちを?いいだろう殴れるもんなら殴って見ろよ」
ひょろりの言葉に続けて歯抜けが自慢げな顔を見せる。
「こう見えても俺たち、魔窟制圧者だから……ぐぱぁっ」
殴っていい許可も取った。
思いっきり、顔面に拳放り込んだ。
いや、魔窟制圧者は普通の人じゃないから、顔も胴体もオッケーだもんね?
びゅーんと、歯抜けは飛んで行ってごすぅと木にぶち当たった。
あれ?お父様なら1センチも動かない程度なんだけど?
っていうか、人って、あんなに飛んでいくんだね?知らなかったよ。
「お、おまえ……」
そうそう、もう一人いた。
ひょろりを上目遣いで見る。
「やめ……げふぅっ」
しまった。
胴体、蹴っちゃった。殴っていいですかって確認はしたけど、蹴っていいかは聞いてなかった。
またもや飛んで行って、木にぶちあたった。
2人とも不意打ちしたけど、ここから反撃されちゃうかな。
あれ?……動かない……?
気絶してます?二人とも?あれ?
首をかしげる。
それから、あの二人が悪いひとだと教えてくれた男の人に頭を下げる。
「ありがとうございました」
「いや……助け、必要なかったような……お前、何者だ?」
え?
何者?
「ただの、初心者冒険者の少年です」
名乗るほどのものではない。
じゃない、名乗るとやばいものではある。
「は?」
はって、どう見てもそうでしょ?
「えーっと、あの魔窟って誰でも入っていいんですか?」
授業料を払わないと教えてもらえないかもしれないけれど、質問してみた。
「ああ、そうだな、普通は初心者が入る場所じゃねぇが……」
え?初心者だと入っちゃダメな場所があるの?
「冒険者であれば今なら誰でも入れる」
ほっ。よかった。
「って、今なら?」
入っちゃだめな時もあるってこと?あれ?今だけ特別大サービスみたいなラッキータイム?
急がなくちゃ!
「太陽が出ている間だけ入ることができるんだ。入口で入った人数がチェックされる。日が沈むまでに出てきた人数と数を合わせられるようにな」
「んー、もしかして、入り口の門みたいなやつが、そのための物なのかな?入っちゃだめな時間は締められるとか?」
「ああ、それもあるが、夜は魔活性の時間だからな。あの魔窟は3級窟で、夜になると魔物が外に出て来る可能性があるから、締めるんだよ」
魔活性の時間?
「魔活性って、魔物が強くなるの?」
噂では聞いていたけれど、うちの国にはそんなの無かったんだよ。
いやぁ。タイトルちょっと遊び過ぎたか。
実はリザ……って名前は別作品にも出てきまして。
性格には「リザベーナ」「リザーク」「リザ」と名乗り分けをしてるキャラですが。まぁ、脳筋系統です。変な家族持ちで、似たようなキャラですが、学園ものです。そして恋愛ものです。
あ、いまさらですが、15Rと残虐描写に関して。念のためです。
えーっと、動物をさばいて食べるみたいな感じの部分があるので。
って、人間の上に岩をおとしたりっていうこともしてたな……悪人成敗。
本当、なんかあんまり基準がよくわからないので。つけといた。