テンプレ展開発生!テンプレ中のテンプレ。新人冒険者、先輩冒険者と出会った時の定番!
どこにでもある、皮の鎧、どこにでもあるちゃちな剣。どこにでもある腰に下げる鞄に、どこにでもある初級ポーション。
「あー、これで、どこから見ても、どこにでもいる初心者冒険者の少年ね!」
完璧よ。
着てきたドレスとかつらは地面にぽい。
「着火、燃えろ」
ぼふんと燃やして証拠隠滅。
って、煙が上がった!やばいっす。煙で位置がバレる案件。
逃げろ!
すたこらさっさと。
そんでもって、私は馬鹿ではないので、やみくもに逃げたりしない。
街だ。街に向かうのだ。何故ながギルドがある。ギルドにいって、魔窟のこと教えてもらって、魔窟に行くのだ!
3時間ほど森の中を走ってから、当たりの気配探知。
むぅーんとな。
小さな魔力がわらわらとある場所がある。
そんでもって、ちょっと大きな魔力と、それなりに大きな魔力が50ほど集まっている場所がある。
街は、どっちだろう。
……どっちも街?いや、100ほどの方は、村?
街と村。
どっちに行くべきか、私は知っている。
「どーちーどーちーどーちーらーに、しーよーうーかーなー」
街……?
「かーみーさまーのいーうーとーおーり」
街……?
「てっぽーうってーばんばんばーん」
……街……?
「れーれーれーのれー」
よっしゃ!村!
村!
ふへへへ。
「魔力が大きな人がいるー、たらったらったら~どんな村~」
スキップしながら村へと向かう。
神様の言う通りで決めたからねー、間違いないさー。っていうか、てっぽうってなんだろうね?よくわかんない言葉だよ。
「え?村は?」
魔力が50ほど集まっている場所を時々気配探知魔法で確認しながら移動し、ついに目の前にまできた。
木々をかき分け、出ると、そこに村らしいものは何もなかった。
村じゃないの?
人は、いる。
冒険者のような姿をした人たちが。
きょろきょろと訳が分からずあたりを見回していると、30前後の歯が抜けて肌の色が浅黒い男が声をかけてきた。
「おい、お前、魔窟ははじめてか?」
「魔窟?」
今、魔窟って言いました?
言いましたよね?
「は、はじめてと、いうわけでは……」
思わずドキドキしすぎて上ずった声が出る。
公爵家の領地にある小さな魔窟には何度か潜った。んでもってぶっつぶした。
でも、、全然違う。
「ははは、嘘だろう、そんなに緊張して」
男がいししと笑った。
「どう見ても、新品の装備だろ」
男が私の鎧を指さした。
「あ、わかります?そうです。買ったばかりの初心者用の装備です。初心者冒険者に見えます?」
私の言葉に、男の後ろに立っていたひょろ長い男が吹き出した。
「ああ、だから俺様が、親切に色々教えてやる」
「本当ですか?」
そりゃ、助かる。
私が行ったことのある魔窟は、なんか穴があって、その中が魔窟になっていた。
ここは、私が言ったことのある穴の4倍くらい大きな入口みたいなものがあって、その周りに木で囲われた門みたいなのがあるんだよね。人が作ったんだろうけれど、なんで?
お金を払って入るのかな?なんで門なんて必要なんだろう?
見張りの人みたいなのはいないから、お金は払わなくていい?それとも近隣の街のギルドとかにあらかじめ申請が必要だとか?
さっぱりわからない。
教えてもらえるの助かると思って笑いかける。
「おいおい、誰か教えてやれよ」
「あいつ完全にカモられてるぜ」
「あんな初心者丸出しですって恰好して、キョロキョロ当たり見回してるんだもんな」
「なんで一人で来たんだよ、ってか誰か助けてやれって」
何やら周りでぼそぼそ話をしています。
なんか、誰か教えてやれよって聞こえましたが、今目の前にいる歯が半分ない冒険者が教えてやるって言ってるんで、大丈夫ですよ?
初心者丸出しって聞こえたし、ふふふ、無事に私はどこにでもいる初心者の冒険者の少年に見えるようです。
変装の天才!作戦通り!
全力で、逃げてー!




