欲しがり妹が3人いたので、今日は3回目の婚約破棄あーんど、自由獲得の日!
コメディです。
「リザ、お前との婚約を破棄する!」
今は私の卒業パーティーですね。
「はい、妹をよろしくお願いします」
あまりにあっけなく終わった婚約破棄に、第3王子が口をぱかっと開けて間抜け面をしている。
その隣には「お姉ちゃんだけずるい」が口癖の、末の妹の姿。今日で、婚約破棄は3回目。
思えば3つ上の第1王子の卒業パーティーが初めての婚約破棄だった。
もともと、国で最も力を持っている我が公爵家との結びつきをというだけの理由で結ばれた婚約でした。年齢が一番近いと言うだけで白羽の矢が私に白羽の矢がたった。
まぁつまり、別に妹でも問題ないのでして。てなわけで、妹が好きだとういう第一王子と婚約破棄した。
すぐに、王家からお詫びの意味も込めて、第二王子と婚約が結ばれたんだけど。
その翌年の第二王子の卒業パーティーで、真ん中の妹と第二王子が寄り添って登場。2回目の婚約破棄。
そして、お詫びとして第三王子と婚約し、今日3回目の婚約破棄。
いやぁ、あれよ。ほしがり妹が3人いれば、こうなるわな。
……王子は3人だけ。もう、お詫びに婚約させる王子はいない。そして、私に妹ももういない。
ある意味……。
「自由!」
窮屈な王家の一員になる必要はなくなった!よし!冒険者になるぞー!
ふははははっ!
ちゃらららーんと、踊りながらパーティー会場を出ていく。
「まぁ、流石にリズ様のステップは優雅ですこと」
「今年も、見られましたね。でもあまりにあっけなくありませんでしたか?」
「今年でリズ様はご卒業ですし、来年は誰が婚約破棄ショウを行うのかしら?」
「やだわぁ、定番の出し物じゃないんですよ」
「そうだったわね。でも、あまりにも毎年見事に婚約破棄が見られるものだから」
なんだか色々噂しているようですが。そんなことよりも、私の心は踊っている。
いや、体も踊ってしまったけれど。
仕方がないわよね!
私、体動かすの大好きなんだもん。
そりゃそうよ。
魔討伐の武功を上げて国の筆頭公爵家に成り上がって来た家の血を色濃く受け継いでるんだから。
あー、魔討伐したい、冒険者になりたい。
王家に入らなくて良くなったんだから、レッツ、魔窟!
踊りながら家に戻りました。
いや、馬車?
馬車より走った方が早いですし。
護衛?
もう学生じゃなくなったし。王子の婚約者でもなくなったし。
問題ないです。
そう、学生のうちは、自由に武器を手に取ることも魔法を使うことも禁じられてるのよね。
理由は未熟な学生のうちは危険だから。……まぁさ、確かに「精神が未熟なガキ」が自由に魔法ぶっ放したり武器を振り回したりしたら、学校も街も、いろんなところが破壊されまくるでしょうから真っ当なルールでしょうね。
ん?普通の学生は、学校や街を破壊できるだけの強力な魔法も使えなければ武器も扱えない?
そうなのか。
……いや、うちの妹たちですらできるよ?
「お姉様のばかぁー!」
家宝のメイスを振り回し屋敷の周りの塀を半壊させる妹……次女。
……もちろん公爵家の屋敷を守るための塀なので、そう簡単に壊れない魔法がかけてあったはず。
「ねーたん、あたちも魔法使えるようになったの見て!」
3歳で部屋の中で魔法を暴発させて部屋を黒焦げにした据えの妹……四女。
そして、三女は10歳の時には迷子になったついでに魔窟を一つ潰してきてしまった。
「うちの妹たち半端ないわよね。……怖い、怖い」
という私に、両親は生暖かい目を向けた。
え?私が幼いころはもっと危険だった?
いやですわ。妹の面倒をよくみる、立派なお姉さんだったでしょ?
え?その魔法を教えたのも、武器の扱いを特訓したのも、魔窟は楽しいと教え込んだのも……。
き、記憶にないですわ。
まぁとにかく、学生じゃなくなったので、家の外でも自由に魔法も使えるようになったし、武器の携帯も許されるようになった。
くっ。くっく。
「我は自由ぞ!」
王家の護衛をまいて、こっそり領地の魔窟に遊びに行かなくても、いつだって好きに魔窟に行ける!
別の領地の魔窟にも、冒険者登録すれば出入り自由!
なぁんて、思っていたこともありました。
「リザ、安心しなさい。3回も婚約破棄されたお前の、新しい婚約者が決まったぞ!」
家に入ると、両親がそろって笑顔で出迎えてくれていた。
はぁ?
はぁ?
はぁ?
もう、絶対、婚約破棄パーティーに合わせて、いや違った。
卒業パーティーに合わせて、事前に準備してたよね?
私が婚約破棄されるって確証してたわね?
失礼ね!
見た目だけなら可憐で美しい私よ。家の外では大人しく生活していた私よ。
なんで、婚約破棄が決定事項だったりするのよっ!
むぅー。
解せん。
大事なことなので、もう一度。コメディです。