異能開花 その2
それから4人はフレッシュジュースやキュウリの浅漬けなどを食べ歩きし、いろいろな店を回った後赤福本店の座敷で赤福と番茶を堪能し、寛いでいた。
「めっちゃ幸せやわぁ」
「本当にそれ。永遠にこう黄昏れてたい。」
「いまなんじ~」
「今は~やばっ残り10分やで!」
「はっ?!」
「C’est pas vrai ?」
「ちょっ、急ごぉー!!」
4人で慌てて荷物をまとめ、店を飛び出した。
集合場所の宇治橋前には黒眼鏡にびしっとしたストライプスーツ、会社によっては着れなさそうな淡いラベンダーのシャツに濃い葡萄色のドットネクタイと人を選ぶ服装なのになぜか似合う高身長の男性が眉間に海溝並みのしわを寄せ腕を組み、立っていた。
彼は真千佳たちを視認すると声を上げる。
「遅いぞ。10分前行動ってつったろ」
「「「「すみませーん」」」」
と言いつつ、(ギリセーフ)
そう思いながら4人は名簿順に整列しているクラスメイト達の間に体を滑り込ませた。
眼鏡にスーツ姿の彼は彼女たちの担任の河合颯(推定36)である。担当教科は生物であり、超秘密主義で誰も彼の年齢や異能どころか結婚しているかどうかも分からない。噂では4回結婚し、4回離婚しているらしい。
「学級委員、人数確認」
「女子全員集まってます」 「男子全員います」
学級委員である恋実と津川勝が報告する。
「じゃあいくぞー」
河合に引き連れられて彼女たちが着いたのは伊勢神宮の内宮にある神楽殿前である。
「7組が今、異能開花をしてる。その後8組、最後にうち、9組だ。待っている間に流れを説明する。3人ずつ名簿順に神楽殿に入る。その後案内に従って行動する。待合室では儀式の妨げにならないように口を閉じてろ。儀式が終わったらすぐに出てこい。わかったなー」
「「「はーい」」」