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ここいらで、エル=バシャさんのベートーヴェンの旧全集を聴きなおしてみようよ!これならどの語り部も安心でしょ。

ベーグル、クリームチーズ、チキンサラダっと、、あとは作っといたボルシチはっと。あったあった。


はーい!スープがもったいなかったのでボルシチを残しておいたゴウモエラーでえす。


もう、アブデル・ラーマン・エル=バシャさんってねえ。大巨匠ですよ。そりゃあ。


今でこそ誰も知らない人はいない。


けれどもねえ。


これ私の父親の話なんですが、エル=バシャさんはレバノン人だったので、メジャーレーベルに入れてくれなかったと。想像以上に中近東出身の風当たりが強かったそうです。


アジアでもああですからねえ。


でも。


残された音源だけが正義なのですっ!


わたくし、Tritonに移籍してからのエル=バシャさんはともかくといたしまして、Forlane時代の伝説の数々は親からきっちりみっちり仕込まれましたのんのん。


きょうはですね。ここのなろうの読者にも優しく、普通にベートーヴェンのピアノソナタでいいじゃないかと思いまーす。


彼は最近Tritonから出された新全集のほうが話題ですが、ゴウモエラーは旧全集の切れ味を忘れていませんの。


すらあっーしゅさんも、このベートーヴェンの旧全集を聴きましてね、「これがメジャーで出せないのは差別だね」と。


物凄い上手いです。この間アムパサンドさんが教えてくれたBoris Giltburgより、こっちのほうがいいです。


なんとですねえ。


このほとんどのテイクがYoutubeで聴けちゃうんですよ。


早速聴いてみましょう。


べたに、ピアノソナタの第1番の第1楽章も、ほとんどペダルを使わないのに、ベートーヴェンに向いた男らしい音。こういう本格派が少なくなってしまいました。


第4楽章も、これ発表当時はものすごい上手い部類だったんじゃないでしょうか。今となってはこのくらいは若手でできるとはいえ、このレヴェルを発表できる根性がすごい。とにかく和音の角のとがり方がぴったりですよねえ。


ピアノソナタの第8番の第1楽章は、叩かず潤いのある音なのも意外でした。この第1楽章もペダルがないのに、これだけ密度が高く攻めてるのも凄い。


第3楽章はわたくしはバレンボイムの若かりし頃の華やかさには欠けると思いましたが、それとは対照的にどこまでも落ち着いた音。今の若手のようにリズムが乱れていても音だけきれい、とかいうのとは別の次元でありますのん。


ただ、初期のソナタにここまでの慎重さはいらないんじゃないかと思うのも事実ですのん。


誰もが知ってる「月光」の第3楽章でも、キーシンやイムドンヒョクみたくフォーミュラ1の競争みたいにはなりません。


Presto Agitatoなのに、せいぜいAllegroくらいですよね。遅いほうです。けれども、弾き損じや音ムラが全くないため、すごい集中力で迫る。こういう月光初めて聴きますのん。


この旧全集が10CDだった時代が羨ましい、実に羨ましいですわあ。これをしっかりころーんさんは入手しているのですから大したものですね。


せみころーんさんだと、こういうAllegroでやっちゃってる演奏嫌いなんでしょ。


わたくしは、これだけテンポが遅くても、誠実な音が並んでいたらそれでいいじゃないかと思うんですよねえ。別解を出されたような気分ですう。


この間話題になったシチェルバコフのロシア楽派総決算と言わんばかりの表現とは、またちょっと違う。リズムの切れ味という点で、ロシアともヨーロッパとも違うものを感じます。アジアとも違う。


「テンペスト」も、意見は割れるでしょうねえ。


非常に遅いテンポを取ってるんですよね。もっと速くてもいいんじゃないかと思うんですが。ここまで遅いと、左の表現もかなり配慮できるという側面がありますのん。


一番すごいのは「ワルトシュタイン」でした。


この次元は素晴らしい。


一歩間違えば実につまらない音楽になりかねない曲を良くここまで。こうまで練り上げる音でワルトシュタインってのは、今の若手さんでも難しいんじゃありませんかねえ。


とにかくですね、機械的、無機的な表現を可能な限り避ける。すごく誠実。彼は作曲家でもあるので、無機的な音符の連なりというのは感覚的に我慢がならないんでしょうねえ。


楽譜が無機的であればあるほど、エル=バシャさんの創意が光っているように感じられますのん。


これならソナタ第27番の第2楽章も安心でしょ。


このテイクは園田高弘が亡くなる直前に出した演奏が記憶に残っていますが、それに並ぶ佳演でした。


このぐらいを楽々達成できないと、ウィーン・ベートーヴェン国際ピアノコンクールでは取り合ってくれないでしょうねえ。


後期の5大ソナタも、ほとんど叩かず、内省的な音が目立ちました。


ハンマークラヴィーアも、今となっては非常に遅めのテンポです。


ピリオド文化全盛のこんにち、この旧全集の価値は全く揺らいでません。再版してほしいですねえ。今の若手のほうが、リズム感がぽんこつなんじゃないのと思うこともありました。


これを、一番最初に生徒さんに聞かせても、大丈夫だと思います。よいものは必ず残る。それを証明した演奏のように聴きました。

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