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ガトリンク娘、異界の地に立つ

アルファポリスさんで先に投稿を始めたので先行してます、もし続きが気になりましたらご覧ください。

「なあ、そこのお嬢ちゃん」


 1人の少女が街道を歩いていると、いきなり知らない男の人に声をかけられた。


「えっ、私ですか?」


「そうだよ。 1人で旅なんてしてると、俺達みたいな怖いおじさんに囲まれて痛い目をみることになるよ」


 草むらに隠れていた男の仲間がぞろぞろと姿を見せる。その数およそ20人、各々が武器を所持していた。


「ええと……先を急いでいるので、見逃してもらえると助かるんですけど」


「それは聞けない相談だな、どうしてもと言うなら金目になりそうなのを全部置いていくんだな」


「はぁっ、それじゃあ仕方ないですね。 力ずくで押し通るまでです」


 そう言うと少女は背中に背負っていた、白い小盾を左手に装着する。それを見た男の1人が、声をあげて笑い始めた。


「本気で俺達に挑むつもりか!? その可愛い顔に傷がついても知らねぇぞ!」


「あっ、それなら大丈夫です。 もう戦闘準備は整いましたから」


 少女が盾の握りに付いていたボタンを押すと、シャカッと軽い音とともに盾が中央から左右に開いた。すると盾の中から、6本の筒が円筒形に並んだものが現れる!


「そ~れガトリンクバックラー、ファイヤー!」


 ドルルルルル…………!

 左手の人差し指と中指の部分にある引き金を同時に引くと、物凄い速度で弾が男達に向けて発射される。至近距離で撃たれた男達は次々と吹き飛ばされるがケガをしている様子はない、どうやら発射された弾には殺傷能力は無いみたいだ。


 男達全員を無事(?)昏倒させると少女の足下に居たネコが、彼女に話しかける。


「ねえミィ、彼らをこのまま野放しにしておいて良いの?」


「今回は特別。 これで反省してくれればそれで良いし、次に会った時にも同じことをしていたら、今度は全身を蜂の巣にしてあげるわ」


 ミィと呼ばれた少女が再び握りのボタンを押すと、開いていた盾が閉じて元の小盾に戻った。


「それじゃあクロ、あらためて光の都ライティスに向けてレッツゴー♪」


「ボクにはバステトって名前が有るのに、ミィはいつになったら本当の名前で呼んでくれるのやら……」


 クロ(バステト)のため息に気付くようすもなく、ミィはすたすたと歩き始める。


 ミィとクロの出会いはおよそ1ヶ月ほど前、日本という違う世界で起きた出来事がキッカケだった……。




「……つまり、私が死んだのはあなたの眷属が原因ってことなの?」


「はい、平たく言えばそうなります」


 ミィこと平山ひらやま 美衣みいが、事の経緯をバステトを名乗る黒猫から聞かされたのは、自身の告別式が行われている葬儀場の前。魂の状態で浮遊しながら葬儀を見ていた際に、声をかけられた次第である。


 Y市内にある高校まで電車で通っている美衣は、駅を出た直後に隣のマンションのベランダから落ちてきたネコが頭にみごと着地。その衝撃で首の骨が折れて、死んでしまったそうだ。


 しかし美衣の死は本来予定には無かったらしく、眷属の長であるバステト自ら謝罪に訪れた次第だそうで……。


「もう少し早く来れたら、火葬される前に甦らせることも出来たけど……ゴメン」


「ゴメンで済む話!? 私、焼かれてもう骨になっちゃったわよ!」


「本当に申し訳ない! ラーもすっかり怒っちゃって、君が許してくれるまで神界に帰ってくるなって放り出されちゃった」


 当然と言えば当然の話である。予定にない人物を死亡させたあげく、甦らせようとやってきたもののエジプトからの飛行機が大幅に遅れて既に火葬済み。貨物と一緒に密入国しようとしたのは失敗だったと言われても、笑うに笑えない状況である。


 かといって、このまま魂の状態で過ごす訳にもいかない。何か良い手立てがないか考えていると、バステトがある提案をした。


「そうだ、こちらの世界で甦らせようとするからいけないんだ。 こことは違う別の世界でなら、今の姿のまま転生させることが出来る。 それでチャラってことでどうだろうか?」


 あまりにも身勝手なバステトに、さすがの美衣もキレる。


「はぁっ!? なに勝手なことを言っているのよ、どうせあんたには寿命なんてものは存在しないんでしょ。 だったら転生先の世界で私が死ぬまで、面倒くらいみるのが当然だと思わない?」


「違う世界に行ってしまうとボクは、こちらの世界と同じ力をほとんど発揮出来なくなってしまう。 君はそれでも良いのか!?」


「それで構わないわよ、話し相手も欲しいから。 でも一応念のために、自分の身を守れる武器位は用意してもらおうかしら?」


 そうして用意させたのが、最初に出てくるガトリンクバックラー。人差し指を引くと徹甲弾、中指を引けば炸裂弾、そして両方を同時に引くことでゴム製の暴徒鎮圧弾が発射される仕組みである。


 しかしこちらの世界の文化は中世レベル、彼女が持つ小盾はあきらかにオーパーツに近い存在。必然バステトことクロがミィのサポート兼監視役として、同行することになった。


 そして現在ミィとクロが光の都ライティスを目指している理由は、この世界に来て最初に立ち寄った村で起きたゴブリン襲撃事件が原因である……。

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