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39話 かかえ先輩と初コラボ!

感想、読了ツイート、ブクマ、評価、誤字脱字報告ありがとうございます!

 今日の配信は土曜日という事もあり、昼過ぎという早めの配信。

 本当はゴールデンタイムや夜の時間帯の方が良いのだけれど、帰りの事を考えて早めの時間に設定していたのだ。お泊りすることになったから無駄になったけど。


 普段は突拍子もない行動をするかかえ先輩だけど、配信に向けて軽い打ち合わせ準備をしていると意外なほど真面目なやり取りで、これが初期からVワールドを支えて登録者数40万人を抱える配信者なんだと実感した。

 登録者数は、1期生では九坂かかえ40万人、塔道あきり39万人、霧江きりこ28万人、拓馬たろう32万人。

 2期生、黒神フェン20万人、犬崎チロ21万人、執仕ベル18万人、夢現ミルマール18万人。

 僕たちよりも長い事VTuberとして活動し、如何にファンを魅了してきたか分かる数字だ。


 比較対象をあげるとするなら、ライバーの数が50人以上おり多くのファンを抱える『トゥエンティーフォー』。アイドル路線で売りに出している『2次live』。これが現在の2大巨頭と呼ばれているグループ。

 大手なだけあって、トップ層は80万人以上のチャンネル登録数を誇っているが、最近登場したライバーは10万人以下だったり、伸び悩んでいる人は20万人行くかどうかと幅広い。

 そんなVワールドが設立される前から活動している強豪たちが(ひし)めく中ファンを獲得してきたのだから、本当に尊敬の念が絶えない。僕たち3期生がこうして異常なほど速く伸びているのは先輩方の努力なくては成しえない。


「よーーーし準備オッケー」

「今回は企画でもないから楽よね」

「シロネちゃん楽しもうね!」

「……はい!」


 そんな先輩だけど、元クラスメイトという事もあって最初よりも緊張は取れたもののまだドキドキする。変な事言ったりしないように気を付けないとって(りき)んでしまう。




『《九坂かかえ/Vワールド1期生》ついにコラボだYOOOOO!《振上シロネ・特別ゲスト》』


「ということでやって来た念願のコラボだぞズッ友のみんなーーーーー!」


コメント:待ってた!

【永遠のズッ友 ¥10,000 この日を楽しみにしていた!】

コメント:ついにきちゃ!

コメント:キターーーー!

【シロ友有識者 ¥5,000 優しくしてあげてください】

コメント:身代金みたいwww

コメント:身代金5000円w


「フラれること99回、ついに100回目にしてようやく実現出来た!」

「そっそんなに誘われてないですよね?」

「まあまあ、四捨五入したらそれぐらい沢山誘ったってことで」

「絶対にしてないですよね!?」


コメント:ダイナミックな四捨五入、俺じゃなきゃ見逃してたね

コメント:鯖読みすぎw

コメント:まあ熱烈だった事には変わりない

コメント:何だかんだで先輩コラボ2番目だからな


「シロ友からシロネちゃんの身代金を頂いたけど、逃がさないぞ♪」

「む……むしろお泊りもしますからね……」


コメント:えっ

コメント:えっ

コメント:えっ!?

コメント:えちちちちち

コメント:事案!?

コメント:どういう事だってばよ

世闇イズモ✓:早急なる説明を要求しる!

コメント:イズモちゃんwww

音町アリア✓:説明!

花咲メメ✓:どういうことですか?

コメント:イズモちゃんもよう見とる

コメント:3期生よう見とる

執仕ベル✓:私も気になります!

コメント:初対面のシロネちゃんがよく許可出したね


「おおぅ、Vワールドの大半が観ているのかな? えっとねぇ、実は私たち小中でクラスメイトだったんだよね」


 この事は、事前にマネージャーに問い合わせて伝えていいのか相談をしてある。

 そしたら、てぇてぇからOKですと良い声で言われた。

 

コメント:幼馴染!?

コメント:これはてぇてぇ

コメント:昔のクラスメイトは同じ事務所のVTuberとか何ていうラノベ?

コメント:ということはあきりちゃんとも幼馴染ってことか


「お話とかは何度もしてるけど、とても親しかったという訳ではないから幼馴染と言って良いのかな?」

「でっでも……1番話しかけてきてくれたのは、かっかかえ先輩とあきり先輩だったですしお寿司……」

「という事は幼馴染ってことだね! シロネちゃん!」

「ミ゛ャ゛ア゛」


 なんで抱き付いてくるの!?

 柔らかい物が当たって、当たってあたってあたててててて。


「はいはい、抱き着くのはそれぐらいに。シロネちゃんがフリーズしてるじゃない」


コメント:この声はあきり

コメント:やっぱり特別ゲストはあきりちゃんか

コメント:かかえちゃんがシロネちゃんに抱き着いてるってマ?

コメント:あら^~

コメント:キマシタワー


「はい、自己紹介がおくれたけど塔道あきりよ。本来は参加するはずじゃなかったのだけれど、かかえの見張り役として加わることになったわ」

「えーーーでも、あきりちゃんも入りたそうにしてたじゃん」

「いつしてたのよ」

「シロネちゃんとのコラボが決まった時だよ」

「してませんーーー」

「してましたーーー」

「しーーてーーなーーいーー」

「しぃーーまーーしーーたぁーー」


コメント:唐突な言い合いw

コメント:安定のやり取り

コメント:かかあきてぇてぇ

コメント:2人のコラボに嫉妬しているあきりちゃんカワヨ

コメント:てぇてすぎぃ!


「……かかあき……てぇてぇ……」


 今、目の前で推しがてぇてぇやり取りをしている。そう、今の僕は観葉植物。2人が吐き出す二酸化炭素とてぇてぇを養分に生きていくんだ。


コメント:完全に目を閉じて浸ってるw

コメント:自分を観葉植物だと錯覚してそう

コメント:尊死してない?大丈夫?

コメント:百合に挟まる百合猫の図

コメント:そこ変わって

コメント:おっ、あきりちゃんの姿も映った。


「素直じゃないあきりちゃんは置いといて、シロネちゃんとお話するもんねー」

「……スゥ……」

「なんで深呼吸しているの?」

「僕は今観葉植物なんです」

「かんようしょくぶつ???」

「……それは置いておきましょう。それよりも、シロネは会話デッキ作って来たんでしょ。折角だからそれを使いましょう」

「……え゛っ」


 あきり先輩が把握している・・・・・だと……。

 同所属のライバー同士がお互いの配信を観ることは良くある。なんと言っても僕自身がそうなのだから、他の人が観ないとも限らない。

 でも、僕のあの枠は突発でアーカイブを残していないのでタイミング良いか、配信開始の通知設定をしていないと観ることは出来ないから考えていなかった。


「えっええエえっえっエエエととととトとと」

「シロネ、そんなに慌てなくていいから。ほら、別に愛してるよゲームしても大丈夫だから」

「アバババババ、チガウンデスチガウンデス僕が考えた訳じゃないんですほんとなんです信じてください。僕は百合に挟まりたいわけじゃなくて眺めていたいだけなんです。壁になって酸素になって観葉植物になりたいだけなんです」


コメント:シロネちゃん壊れたw

コメント:オタク猫くんさぁ・・・

コメント:ただの百合オタクで草

コメント:たまげたなぁ


「ねえねえあきりん、愛してるよゲームってどんなの?」

「これは2人でやるゲームで、対面して交互に相手に向かって愛してるよって囁いて照れた方が負けというルールよ」

「よし、シロネちゃんやってみようか!」

「僕よりあきり先輩とやってくださいいいいいいい」


コメント:草

コメント:草

コメント:lol

コメント:草の草

コメント:心の声漏れてて草


「でも、これってシロネちゃんが私とやりたいゲームなんだよね? じゃあやらなきゃね」


 かかえ先輩はそう言うと僕の方に向き、対面するように僕の体をクルリと自分の方へ向けた。


「愛してるよ♪」

「あっ…………スゥゥゥゥゥゥゥ…………」


コメント:この顔は昇天してますねぇ……

コメント:ニッコニコですやん

コメント:もう草


「これはぁ……かかえの勝ちね」

「えぇえええ、早い早すぎだよシロネちゃん。もう1回やろうもう1回!」

「もっもももももう1回!?」

「今度はシロネちゃんからね、はいどうぞ」

「えっあっうっえっおっ」

「はいどうぞ♪」

「あっあっあっあっあっ……」

「はいどうぞ♪」

「あっあっそのっ、あっ」

「はいどうぞ♪」

「ちなみに、言わないと終わらないわよ」

「はいどうぞ♪」


 圧。


 これぞATU。

 目の前の笑顔からは、早く言えという言葉が見え隠れする。例えるなら犬が構ってほしくて尻尾を振ってお座りしながらフリスビーを咥えてこちらをジッと見つめているみたいな感じ。


 もうこれは言うしかない。


「ゴクリっ……あっあっ、あいっシッTellヨ!…………はうっ」

「あはははは、何言っているのか分からないよ」

「それも凄い顔が真っ赤ね。とりあえず順当にシロネの負けという事で」


コメント:即落ち過ぎて試合にならない

コメント:発音www

コメント:百合猫くんさぁ……もう少しがんばろう?


「ごっごめんにゃはい……フゥ……フゥ……フゥ……」

「んーーーもう少し続かないと、面白さが良く分からないねぇ」

「どちらかと言うと、視聴者が楽しむ部類のゲームだから仕方ないと思うわ」

「それならさ、あきりん私とやろう。やろうやろうやろうやろうやろう」

「わっ、分かったからそんなに顔を近づけない」


コメント:!?

コメント:!!!!

コメント:!

コメント:キマシタワー!

コメント:まさかの神展開!

コメント:キタコレ!


「じゃあ私からね。……あきりちゃん、愛してるよ♪」


 笑顔で告げるかかえ先輩。しかし、どちらかと言うと親愛っぽい気軽い感じ。


「はいはい、私も愛してるわ」


 そしてあきり先輩は軽く受け流す様に答える。


「むーーーもう少しちゃんと言ってよぉ。ほーーーら、ア・イ・シ・テ・ル・ヨ」

「愛してる愛してる」

「もっと真剣にぃーーー!」


 駄々っ子の様にせがむかかえ先輩。

 あきり先輩はそれに対して、ため息を吐きながら真剣な表情をする。


「かかえ……」


 キリッとした目線がかかえ先輩を捕らえる。


「愛してる」 

「はわっ……えっあっ、うっウン…………」


 笑って言い返すかと思いきや、赤らめてしまうかかえ先輩。


「あっアンタが言えって言ったのに、なっ何照れてるのよ。こっちまで恥ずかしくなってくるじゃない」

「あっあはは、ごっごめん、なんだか急にドキッてしちゃって……」


コメント:あら^~あら^~

コメント:……ふぅ

【¥50,000 ありがとうございますありがとうございます】

コメント:よき

コメント:かかあきてぇてぇ

コメント:やっぱりかかあきなんだよなぁ

コメント:かかあきてぇてぇ

コメント:シロネちゃんまた昇天してるw

コメント:シロネちゃんwww

コメント:気持ちは分かるがw

コメント:かえってこーーーい

コメント:草


 今度生まれ変わったら、百合を眺める観葉植物か空気になるんだ。

まだまだコラボ配信は続く!

感想を頂けると励みになりますので、気軽に送ってやってください。


追伸:第1話(2話部分)にイラストを入れましたのでそちらもよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] さんそう交流。 [気になる点] 酸素、それは百合を包み、百合に吸われるだけの簡単なお仕事。 [一言] あたたかいものどうも。
[一言] 【¥50,000】てぇてぇなぁ どうしたらこんな素晴らしい話が書けるんですか?天才ですね!!
[良い点] d(^q^).。o(尊い)(´・ω・`).;:…(´・ω...:.;::..(´・;::: .:.;: サラサラ.. [一言] 【てぇてぇの民∩(^ΦωΦ^)∩ ¥█████ 】
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