31話 次を考えて
お待たせしました!
最低でも週1ぐらいで更新出来たらと考えてます。
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たろう先輩とのコラボは真っ赤なスパチャと(炎)たろう(炎)で埋め尽くされて終了した。
原因といえば、たろう先輩がハッチャケたり、なぜ彼を2番目のコラボ相手に選んだのかという質問に対して返答したら激しく燃えた。
「理由は、枠始まる前にたろう先輩にも聞かれて答えたんですけど」
たろう『確かに聞いたな』
「他のVワールドの先輩と同じく尊敬していて、その……とても大きくて、逞しい人で……」
たろう『なぜ今そのワードをチョイスした!?』
「気軽に話し易そうって言うのが理由なんですよね」
ちょっと言葉は違うけど、そのまま伝えたはずなんだけどなぁ?
そこから更に炎は広がりを見せていき、最終的には100を超える赤スパチャが……やっぱりたろう先輩すごい。
コラボタグである【シロたろう】が日本トレンド1位に輝いたのは驚きで悲鳴を上げてしまった。
本当にこのスパチャをお返ししなくて大丈夫ですか?と聞いたら―――
たろう『そう思うなら、今度は俺のチャンネルでコラボしてくれ。今日のコラボ楽しかったぞ』
とイケメンなセリフを残して通話を終了。
やはり、初期からVワールドを背負って活躍している人は凄いと再認識した。
コンコンッ
通話が終わり、一息ついたところでタイミング良くドアがノックされる。
それは、何時ものごとくやって来たお母さん。
「湍たん、今回のコラボ凄かったわね」
「そうだね。たろう先輩の凄さが分かる内容だったよ。僕もあんな風になりたいな……」
実際にVワールドという箱の人気の一端に生で触れた気がする。
ネタのノリとはいえ、自分たちの為に数多くのリスナーが時間とお金を費やしてくれる感覚。これはリスナーとしては味わえないモノだと思う。
「確かに、たろうちゃんは凄いわね。でもね、シロネたんもVワールドの一員で、あのコラボには貴女も居て、貴女のチャンネルだからあれだけの人が観に来てスパチャをしてくれたのよ。ネッ♪」
お母さんのその言葉に、僕はハッとした。
確かにたろう先輩の影響力もあったけど、僕自身の事を忘れてはいけない。
それは僕のリスナーさん、シロ友のみんなを蔑ろにする行為だ。
「そうだね……お母さん。ありがとう」
危うくVTuberとしての大切なモノを忘れかけそうだった。流石は、VTuberの先輩である九津々海。
「いえいえ、どういたしまして。それじゃあお礼に添い寝してもらおうかしら♪」
「ミャ!?」
お母さんはそう言うと、僕を抱きかかえて椅子からベッドへ、ヒョイッと移動させるとそのまま抱きしめて寝転がった。
「うぐっ……おっお母さん離して……」
「まあまあ、一緒に寝るなんて今更じゃない。それともお母さんと一緒に寝るのはイヤ?」
「イヤって訳じゃ……ないけど……」
イヤな訳がない。
ただ、精神年齢的にいい歳した男が見目麗しいお母さんと一緒に寝ているのが恥ずかしいだけで。
「じゃあいいわよね♪ギューーー」
「あうっ」
こうして僕はお母さんの腕から抜け出せないまま眠りについた。
翌朝。
今後の放送内容に思いを馳せていた。
僕を含め同期達は先輩方とのコラボを通じて、さらにチャンネル登録者数を伸ばしていた。
チャンネル名:振上シロネ-ShironeHuruue-
チャンネル登録者数9.1万
チャンネル名:世闇イズモ‐IzumoYoyami-
チャンネル登録者数7.8万
チャンネル名:音町アリア‐AriaOtomachi‐
チャンネル登録者数7.1万
チャンネル名:花咲メメ‐MemeHanasaki
チャンネル登録者数7.5万
一時期は少し伸び悩んでいたアリアも順調に数字を伸ばしている。
VTuberとして、企業勢としても3期生全員の登録者数の増加は破竹の勢いで、僕なんかは10万人が目前まで来ている。
YouTubeは登録者数10万人突破すると銀色の盾がプレゼントされ、この数字を超えることが1つの目標と言っても過言ではない。
ここ1カ月。慌ただしくも充実した毎日であっという間だったこともあり、少し実感が湧いていなかったりするので、いまいち何を10万人記念でやれば良いのか思いつかなかったりする。
活動歴や登録者数の節目ごとにお祝いするのは、VTuberにとってお決まりみたいなところがある。それはやはり、応援してくれている方たちへの感謝の気持ちを表現するいい機会だからだ。
この間収録したVワールドのシチュエーションボイスはまだ発売してないし、ここでもボイスというのも芸がない気がする。どういったものでシロ友さんたちに還元できるかな。10万人突破するまで耐久配信など、ネタとしては困らないけど選択肢が多くて逆に迷っちゃうよね。
「そういえば、歌枠やって欲しいってコメントやマシュマロに届いてたなぁ」
僕の唯一の歌枠と言えば、アリアとやったのと、同期全員での……あれは叫んでいたけど歌ってなかったね……。それなら歌枠でもやってみようかな。
とりあえず方向性が決まってきたので、僕は放送の準備を進めた。
歌枠を行うなら、まずは著作権問題。
収益化しても大丈夫な曲や音源を探すところから始めなくちゃ。
「こういうのって運営に問い合わせしてみたらいいのかな?」
マネ子さんに早速ディスコのチャットを送り分かるかどうかを聞いてみた。
シロネ:マネ子さんお疲れ様です。10万人記念枠で歌枠を取りたいのですが、収益化しても大丈夫な曲と音源を知りませんか?
マネ子:シロネさんお疲れ様です。この間のたろうさんとのコラボとても良かったです。このままいけば近々10万人ですね。私含め社員一同応援しています。早速本題ですが、弊社の方で過去にライバーが使った曲と音源、並び現在可能と判断されている物の一覧がございますので送らせていただきます。
「お、返信が早い。それに僕のことちゃんと見てくれているんだ……」
直ぐに返信が返ってくるのもすごいし、ちゃんとこちらを気にかけてくれているのが嬉しいよね。そして送られてきた曲一覧を見るとすごい数で、ちゃんとジャンルごとに分けられている。優秀過ぎでは?
送られてきた一覧をクルクルっとスクロールしながらアニメを中心に、僕が好きな曲を何個かピックアップしていく。
定番の曲は外せないし、これも歌いたい、あっこれも!とやっている内に10曲程選曲が終わり一息つく。
「これを歌うのかなぁ……」
勢いに任せてここまで行動してみたけど、改めて考えたら緊張してきた。
歌うことは好きだし、前の配信での反応を考えると悪い結果にはならなさそうだけど、ちゃんと歌えるかなとか、下手くそって言われないかなとか、色々と不安になってしまう。
ピョコン
そんな風に不安を募らせていたら、再びマネ子さんよりチャットがやって来た。
マネ子:急で申し訳ないのですが、明日ディスコードのボイスチャットで3期生全員のミーティングを行いたいのですがご都合はいかがでしょうか?
「ミャ!?」
まさかの内容に悲鳴が上がる。
「みっみんなと何を話せば良いんだろう……」
チャットを無視していたのもあるけど、なにより恥ずかしい。
でも、そんな個人的感情でダメなんて言えないよ……。
シロネ:大丈夫です
「うぅぅぅぅぅぅぅ……」
さっきまでの不安は消え去り、羞恥心が押し寄せて来たのは言うまでもない。
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