狐との出会い
俺はいつも通りな同じ日曜日を過ごしていたはずだった
そう...過ごしていたんだ
もしもいつも通りの生活が突然変わってしまったら
皆さんならどうなりますか?
少なくとも俺は、まず戸惑う
まぁ、突然変わってしまうことなどなかなか無いものですが
例を挙げてみましょう 例えば、引越し、結婚、死などと
色々なものがあるのですが
今回は死した後の世界ではなく
死してしまったはずなのに
全く知らない世界に死ねずに
飛ばされてしまった者の話をどうか聞いてほしい
「うっ…って…ここ…は?」
俺は気がづくと見知らぬ山の上で一人ぼっちで横たわっていた…
俺は思い出せる範囲で さっきまでの事を思い出してみた
そう 俺は日曜日、待ちに待ったゲームの販売日で…それを買って帰る途中
車にひかれかけた…思わず尻餅をついてしまった俺は…
信号のないその場所で
車に挟み撃ちにされ 死んだはず そう 死んだはずなのに…
運が良かったのか悪かったのかは分からないが
こんな山の上で一人でいるといった状況だ…
「ここ…まじでどこなんだよぉ」
俺は無気力に呟きながら空を仰いだ
「そんな事より! なんで…ゲーム…楽しみにしてたのに! ふざけんなよ!どれだけ待ちに待ってたと思ってたんだよぉ… あぁ…こんな運命の自分が妬ましい… あのゲームが出来ないなら死んだ方がまだ マシだったじゃあねぇかよ!」
ゴスッっと俺は気持ちが安定しない状況で地面を殴った
俺は後ろからコツコツと音をたてながら近づくものにすら気づなかった…
「のぉ、お主なにゆえお主はそのような所で一人喚いておるのじゃ?」
少しだけ前言撤回させてもらうが、生きててよかったかも…
俺はボーっと目の前に立っている者を眺めていた
「ぬ、主、そのようにまじまじ見られると…」
「ん?…お おう 悪い… いきなり話しかけられたから驚いたのと色々あって混乱して… すまない」
「お主が誰で何をしているのか聞かせてもらっても良いかの?」
俺はそこに立っている、地球ではありえない者を見ながら無言で頷いた
そう、そこに立っていたのは狐耳の巫女だった…
俺は頭をフル回転させながら答えた
「俺は氷猫 黒で ここの世界のものでは無くいきなりこの世界に来てしまいこんな状況だったってわけだ。 それでお前は?」
「う? よく言っていることが分からぬのだが…まぁよい 私は妲己じゃ」
「まぁ分からない…よな… 簡単にいうと俺は元いた世界からこの世界に飛ばされたの それで家も金も武器すらない無一文ってわけだ」
「不思議なことを言うものだな… 何も持っておらぬのであれば主、私の家に来るか? 少し広い家でな…少し…寂しくての…」
「ほ…ホントにいいのか!? じゃあお言葉に甘えさせてもらう!」
俺は断る理由もなく、飛びつく勢いで妲己に言った
「では付いてくるのじゃ!」
俺は妲己と家を目指すべく小高い山を二人で登って行った…