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『堕ちた勇者と72の悪魔』  作者: 主人格
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『復讐者と盗賊少女』①

魔王を倒した筈の勇者は"何者か"に裏切られ殺害されてしまった、魔界に存在する魔王によって蘇った勇者は復讐をする為に手始めに"魔王との契約"の城に巣くう鼠共の排除を行うのであった。

 ――古くからこの異世界『ユグドラシル』には人間界の他に魔界の存在があった。ある時、魔界の王である闇の化身『ハーディス』は人間界を支配する為に侵略を開始する。

 そして侵略されてから数年で人間界の80%は魔王の物となり、魔物達が住み始めたのであった……。


 ――しかし、その数年後にある村から勇者となりし青年が現れる。

 彼の名は『ヒイロ』と言い、魔法王国の王様から魔王排除の命を受けたのであった。それは激しく苦しい冒険でったのだが仲間が徐々に増え、力を合わせて遂に魔王ハーディスは勇者に敗れ死してしまう。

 そして、ハーディスの力の恩恵を受けていた狂暴な魔物達は大人しくなり大半が魔界に戻っていったのだ。


 ――そうして異世界『ユグドラシル』に平和が訪れて、勇者は最初の仲間達以外と別れて魔法王国に帰還する。世界は幸せに包まれて、勇者と言う存在は全世界に知れ渡り世界中の皆に祝福される筈であった。




 ――″ある者″に殺害されるまでは……。






 『復讐者と盗賊少女』①

 

 ――″元″勇者であり今はただの死人の一人である青年″ヒイロ″は黒い霧が天を覆う息苦しい世界の中をさ迷い歩く、だが足元には道標の様に骨や死体が点々と続いていき果てしなく続いていた。

 深い深い枯れ木の森を通り過ぎた先には巨大な館が現れて窓からは赤黒い光が溢れだし黒い霧を切り裂く、扉の端には羽が生えた魔犬を模した石像が置かれている。


 だが亡者の様に歩き続けているヒイロの目は黒い血を流し続けその館が見えているのかさえも分からないで、更に魔素と呼ばれる空気のような存在に触れ続けている体はひび割れていて一歩踏み出す事に脆く崩れ去っていく。


 しかし彼はそんな鈍痛に呻く訳でもなく小鹿のように″恐怖″に震える足をゆっくりと動かし、光に集まる蟲達と同じ様に怪しげな光を発する館に向かって歩き続けた。

 館の前に何とか辿り着くと魔犬の石像の瞳が紅く光ると同時に扉が地響きを鳴らしながら内側に開き始める、中に入ると玉間の様な装飾が部屋一面に広がり奥の玉座には巨大な黒い闇が人の形を成して座っていたのだ。


 『――久しいな、我を殺した唯一の存在である勇者よ。痩せ細り、死人のような顔で笑わせる気か?』


 そう言われて勇者は顔をゆっくりと撫でかえすが、鏡も何も無いので自分の顔がどう言う状態なのかは分からない。

 そんな黒い闇の足元には勇者が暗殺や毒殺や決闘などの様々な方法を使用して殺害した筈の魔王の配下が立って此方を見る、だが何故に殺した筈の魔王の配下がその場に″生きて″存在しているかかは彼には分からないままだ。


 「……貴方は一体、誰なんでしょうか?」


 その言葉に足元に居る配下達が嘲笑うのを、黒い闇が片手を挙げて黙らせた。


 『ふむ、頭を爆裂せられた時に記憶と言う記憶の全てを忘れてしまったのか……ならば″蘇レ記憶ヨ″』


 闇は挙げたままの片手をヒイロに向けて振り下ろして一言呟いた瞬間、手のひらから黒い光が放たれて彼の頭に吸い込まれるかの様に一瞬にして消えてしまう。

 と同時にヒイロは自身が勇者となり旅をした仲間達と魔王を倒した事や、倒した後に最初の国で″何者か″の裏切りによって爆殺させられたと言う″記憶″の全てを思い出す。


 「あ、ああ……うあぁぁぁあぁぁあぁぁぁっ!!」


 『やっと思い出したか、我が勇者よ……』


 頭を抱えて膝をついた彼は嗚咽を上げながらも体を左右に揺らしながら亡霊の様に立ち上がり、闇に向かって顔を上げるとそこには″災厄″な笑みを浮かべて笑っていたのである。


 「ああ、やっと思い出せたよ……久し振りだなあ、魔王様よ?」


 彼は不適な笑みを浮かべて見せるや否や黒い闇……いや、魔王の真の姿に頭を下げた。

 その行いに魔王″ハーディス″は、満足げに頷いてある提案をし始める。


 『さて、貴様の記憶が完璧に戻ったのなら話は早い……勇者よ、貴様は蘇り復讐を果たしたくはないか?』


 「……そりゃあ蘇りたいさ、何者かに急に襲われて頭を爆裂させられたなんて勇者の恥だ。誰だって″あんな″死に方をして、はいそのまま犯人も分からないまま死んだままで下さいって……腹が立つだろ?」


 そんな事では納得がいかないとばかりに、首をかしげる彼に魔王は同意するかの様にゆっくりと深く頷く。

 魔王の足元に存在する配下達も同じく頷き続けている、彼等の中にも毒殺や暗殺などの不条理な方法で殺害させられてしまった者も居るのである。


 『ならば、我の魔王術式を使用して極限的に″魔王に近い存在″に蘇らせてやろう……代わりに貴様には我の力を封印している石碑を全て、勇者と魔王の力を使って破壊するのだ』


 だが勇者は考える様な素振りを見せた後に口を開いた。


 「……そうだなあ、それは素晴らしい提案かもしれないけどなあ?」


 『――勇者よっ、魔王様の素晴らしい条件ならば何が不服なのだっ!!』


 考える素振りを見せ付けながらもなかなか首を縦に振らない勇者に痺れを切らした配下の一体である黒魔導師のネグルが、一歩前に出て強い口調で問い掛けると彼は嫌な笑みを浮かべて笑い掛ける。


 「魔王、貴方は何もせずに蘇られるのに俺だけ苦労するってのは……それは″不平等″じゃないかなあ?」


 要は勇者が言いたいのは勇者らしからぬ提案であり、昔の勇者ならば無条件で依頼を聞き入れたであろうが今の彼は死んだ身だ。

 元勇者である以上に普通の死者であるのだから何のしがらみに囚われる必要が無い、だからこそ彼は魔王にもっと良い力を寄越せと言っていたのであった。


 『き、貴様――っ、魔王様を愚弄するつもりがっ!?』


 『……黙れ、ネグルよ』


 先程、勇者にきつく問い掛けたネグルが再び詰め寄ろうとした瞬間に塵と化していたのである。

 辺りにどよめきが広がり勇者は呆れるかの様に首を横に振る、魔王が配下であるネグルを魔術を使って消滅させたのだ。


 『良かろう……貴様の体から72体の悪魔を使役出来る様に魔改造してやろう、72体の悪魔は我の体から生まれた存在――最強最悪の配下だぞ?』


 「へえ、そりゃあ素晴らしいなあ……蘇った時が極めて、楽しみになってきたよ?」


 『ならば契約は完了した……今すぐに蘇らせてやろう、魔王術式″命ニ祝福ヲ″!!』


 魔王が天に向けて両手を上げそう唱えると勇者の足元が底無し沼の様に成り代わり、勇者の体が徐々に闇の穴にゆっくりと呑み込まれていく。


 「なあ魔王、もしも俺が死んでしまった場合はどうすれば良いんだろうか……?」


 体の半分まで呑み込まれてしまった時に勇者は思い付き、気になって問い掛けてみると魔王は深く笑った。


 『大丈夫だ、貴様には我の魔王術式である″命ノ上書キヲ″と言う物を掛けている……貴様が死体を作れば、死んでしまってもその死体に貴様が上書きされるのだ』


 「そうか、そりゃあ安心だな……蘇りたかったら死体を作れば良いんだな?」


 『うむ……貴様の肉体はもう消滅している、我のミイラを蘇りの基礎とするぞ。そこは我の玉座に座っている貴様は蘇り、城に巣くっている鼠共を全て排除せよ。さすれば、我の魔剣である″バルムンク″が貴様の物と認めるであろう』


 「そうか、了解したよ……次に会う時は、復活した時だな」


 その言葉を言い終えると同じくらいに勇者の体は全て闇の中に消え去っていた、そして彼は新たに自身を殺した相手に復讐をする為に″堕ちた勇者″として蘇るのであった。




 ――――魔王の廃城




 魔王の廃城には灰色の巻き布を顔に巻いた盗賊達が中に入り込み、残っているであろうと言われている魔王の財宝を探していたのだ。


 「姉御、ここら辺には財宝は一つも無いようですぜ……?」


 玉間に続く長い石畳の廊下を盗賊達の先頭で歩く肌を、露にしている妖艶な軽装をした少女に盗賊の一人が話し掛ける。

 姉御と呼ばれている少女は魔王城の近くの山奥を本拠地にしている盗賊団″宵闇ノ狼″の団長であり、勇者に力を貸して魔法王国から報奨の代わりに廃城にあるらしい財宝を探していた所であった。


 「……解ってる、財宝が玉間にも無かったら王様に話をつけに行くつもりだから」


 「姉御は大切ですからね……その時は、我々も付いていきますよ!」


 「……頼もしい、ありがと」


 「いえいえ……」


 団長のお礼の簡素だが気持ちがこもっている言葉に盗賊達は頬を紅く染めながら付いていく、扉の前に着き仲間達に扉を開ける様に命令する時に何故か懐かしいような嫌な予感がした。


 「では、開けますぜ?」


 「まっ、待って……!」


 しかし盗賊の一人が用心して、扉を開けてみたのだが……何も起こらなかったのだ。


 気のせいだったのかと思いながら少女は仲間の盗賊達と一緒に中に入ってみると、激しい戦いの跡が残っていてその奥の玉座の回りには様々な財宝が集められていた。

 盗賊達は死体に群がる魔物の様に財宝に向かっていき喜びの声を上げていたが、少女には何故か懐かしい嫌な予感が頭の中にこびりつき消えなかったのだ。


 「姉御っ! こんな所に魔法剣がありますぜっ!!」


 仲間の一人が声を上げた場所に視線を向けると、そこには魔王が使っていたであろう魔界の剣が財宝の山に突き刺さっていたのである。

 それを抜き取ろうと魔剣の黒い柄を握り締めて必死の形相で引っ張る盗賊の一人だが、抜ける気配が全然しないので仕方無く少女は微笑みながら近付こうと足を踏み出した時だった。


 『……なに、俺の剣に誰の断りも無しに抜こうとしているんだ?』


 ――それは懐かしい聞き慣れた声だった。


 少女の背後から耳元に囁かれる聞き覚えのある懐かしい声に振り向けずに居る少女だが、周りに居る仲間の盗賊達が短剣等の武器を各々抜き取り戦闘態勢に移るのを見て感じた。


 ――背後に居る者は、間違いなく私達の敵だ。


 『久し振りだよなあ……盗賊のミカヅキ?』


 「――っ!! 貴方はもしかして、ヒイロっ!?」


 振り向き様に抜いていたナイフで背後の存在に斬りかかるが感触は無く、それと同時に魔剣を抜こうとしていた盗賊が悲鳴をあげていたのである。


 「があああっ……俺の胸から、何で手が出てるんだアアアっ!?」


 背後から何者かに手刀を心臓に突き刺されて死んでしまった盗賊を投げ棄てる様に、手刀を引き抜いて笑う勇者にミカヅキは目を見開いていた。


 「ヒイロは魔王を倒して、王国に戻った筈じゃあ……?」


 『いやあ久し振りだなあ、ミカヅキ……まさか、盗賊団の団長になっていたなんてなあ?』


 手刀にした右手にベットリとついた血を舐め取りながら笑い喋る勇者に対して、ミカヅキは魔法石のナイフを構えるがその手は震えている。


 「――団長を守るんだっ!!」


 財宝の周りにいた盗賊達がミカヅキの前に集まり守る様にして、武器を構える姿を見て勇者は目頭をおさえて歪な笑みを浮かべながら呟く。


 『団長思いな盗賊達……だよなあ、泣けてくるよ本当に?』


 そしてニヤリと意地悪な笑みを浮かべたその瞬間に盗賊二人の体が縦に切り裂かれていたのだ、その目の前にはいつの間にか牛の様な角が生えた形をした巨大な鎧が分厚い両手剣を振り下ろしていたのである。

 残った盗賊達は牛の鎧――″ザガン″と呼ばれる72体の内の一体の悪魔に勇猛果敢に斬りかかっていく、のだがミカヅキには何故かその先の出来事が分かってしまっていた。


 「だ、だめえぇぇぇぇぇぇっ!!」


 ――それは圧倒的に無慈悲な″死″でったのだ。


 『行け、ザガン……城を荒らす鼠共を好きにして良いぜ?』


 『ありがたき幸せっ……さあ、我の下僕の材料となれっ!!』


 ザガンの巨大な両手剣の一振りで三人の盗賊が一瞬にして死に絶え、もう一振りで最後に残っていた盗賊の頭が消え失せた。

 そして死体を集めた牛の鎧は宙に魔王術式の一部を描き出して、集められた死体に魔術式を吸い込ませる。


 『さあ動き出せ、我等が下僕達よ……!!』


 その叫びと共に集まっていた死体が固まり合い肉と肉が凝縮した肉の塊となった後に、その場には赤黒い痛々しい肌を晒した肉の塊が人の形を取った化け物が生まれていた。


 顔であろう部分には盗賊達の眼球が押し合い圧し合いしながら興味深そうに辺りを見ていて、体からは血が滴り落ちて臓物が崩れかけている。

 そこにはミカヅキの愛すべき盗賊団の仲間達の姿が歪に作り替えられたのである、そんなありもしない現実に恐怖した少女は叫び声を上げながらナイフを向けて肉塊を殺す為に走り出していた。


 「あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


 『はぁーぁ、昔からミカヅキは他人の死に対しては心が弱いんだよなぁ? ザガン、ミカヅキは殺すなよ? 大切な元仲間なんだからさぁ……』


 『……承知した、他の鼠の処理に移る』


 呆れた様な声をあげながら彼はミカヅキを返り討ちにしようとしていたザガンに命令を出す、両手剣を振り上げ今にも少女に向かって振り下ろそうとしていたザガンは残念そうに頷く。


 『……我等が下僕よ、王の城をあらす鼠共全てに同等の″死″を与えたまえ!!』


 ザガンの叫びに肉塊は天井高くに跳び上がり壁に貼り付いて、勢い良く這い続けながら玉間から出ていってしまう。


 「ど、どうして……どうして、こんな事をするのぉっ!!」


 悲痛な声を上げて泣き出しながら叫ぶミカヅキに、勇者は退屈そうに言い放った。


 『……魔王との契約は守らないとさぁ、″勇者″として大切だろう?』


 その瞬間、城の至る所から仲間達の悲鳴が次々と聞こえ始める。


 少女は呆然としながら座り込み項垂れてしまい、残虐極まりない勇者に対して懇願し始める。

 だが、その声は小さく小鳥の囁き程度の声量で呟き続けていて、勇者は仕方無く弱々しく震える盗賊の少女に近付いた瞬間であった。


 「――今っ!!」


 『……あー、ぁっ?』


 少女は素早く立ち上がり一瞬の内に魔法石のナイフで横一線、勇者の首を斬り飛ばしていたのだ。

 血を噴き出しながら倒れる勇者の体に、はね飛ばされた頭は財宝の山に突っ込んでしまう。


 『あー……死んだのか、俺は』


 そう呟くと勇者は事切れてしまい動かなくなる、それと同時にザガンも霧散するように消えてしまった。


 ミカヅキは呆然としながらも震える足に叱咤し立ち上がり、体を守るかの様に抱き締めながらゆっくりとした足取りで玉間から出ていく。


 「はぁ、はぁ……やった、皆の仇は取ったよ」


 ――――″命ノ上書キヲ″


 その時、何処からか重苦しい雰囲気で死んだ筈の勇者の声が聞こえてきていた。


 怖くなってきた彼女は走り出して皆を探し始めるも行く場所行く場所にあるのは、事切れてしまっていた仲間達の亡骸であったのだ。

 ザガンが消えるその瞬間までに命令通りに城の中を蠢いていた肉塊が殺していったのであろう、それは団長の娘であり一番若い盗賊の少女″ユキア″が居るであろう″財宝の間″に続いていたのである。


 「――っ!! ユキア、ユキアっ!!」


 不安の種が消えないまま少女は走り続け遂に″財宝の間″にたどり着く、扉は閉まっていて部屋の中が分からず胸の奥を不安で塗り潰しながら開けてみた。


 ……すると、そこには死んだ筈の勇者と動かない肉塊に仲間の死体があり。


 ――そして、部屋の隅で縮こまりながら震えているユキアの姿があったのである。

 ユキアの体には傷らしい傷はないのだが、仲間が目の前で殺された事によるショックは大きかったらしい。


 『よぉ、ミカヅキ……再開したばっかりで即殺すのは、流石に酷いと思うぜぇ?』


 「ヒイロ……どうやって、生き返ったぁぁぁぁぁっ!!」


 鋭い眼光で勇者を睨み付けながらナイフを構えて走り出す、勇者は呆れた様に首を横に振って向かってくる彼女を抱き締めるかの様に両手を広げた。


 「死ねぇぇぇぇぇぇぇっ!!」


 『見せてやるよ、禁断の魔王術式を……な?』


 ナイフが心臓を貫いた感覚がミカヅキの両手に伝わるが何かがおかしい、だが勇者は口から血を吐き出しながらも彼女を抱き締める。


 ……と、刺した筈の勇者は盗賊の死体へと変わっていたのであった。




         ――②へ続く






 『団長の娘』

 朝、目が覚めると隣にはユキアが眠っている。


 幼くして父親を亡くしてしまったユキアには沢山の仲間が居るが、心から愛情を求められる者は少ないのだ。

 だから代わりにミカヅキが姉代わりになってユキアに色々な作法を教えている、彼女は飲み込みが早く覚える事を楽しんでいるので大丈夫だろう。


 父親はミカヅキが団長になる前の団長であり、唯一、魔王の城の近くの山の黒竜から宝玉を奪い取った英雄である。


 ミカヅキが今、使用している魔法石のナイフは黒竜の宝玉から削り造られた特殊なナイフ。

 そのナイフには斬りつけた相手の傷口から永遠と出血し続けると言う、凶悪な魔法が込められている。


 話を戻す、ユキアは今日から盗賊の仲間入りをする。


 場所はもう存在しない魔王の廃城の中にある財宝探しだ、大人しくなったとはいえ城の周辺には狂暴な魔物が存在する。

 本当はもっと優しい仕事を任せたかったのだが仲間達が了承しなかったのである、何故かと聞いてみると彼らは団長の娘として自信を付けて貰いたいと言っていた。


 ……仲間思いである。


 『姉御ー、時間ですぜっ!!』


 そんな事を考えていると、仲間が扉の前か呼んできた。

 さて、はやくユキアを起こして仕事に行こう。

"元"仲間であった盗賊少女のミカヅキと堕ちた勇者ヒイロ、少女は愛すべき者を守る為に勇者と殺害するのだが……

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