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なんとなく作ってみたシリーズ

その時の考えた事は

作者: KOLO×2


 駅。夜は暗い。

 ホームには待ち人はそれほど多くなく、閑散としていた。

 

 しかし、その閑散は突如うち破られる。

 待ち人は、皆、俺を見る。

 俺を注目する。

 見てほしくない。だから人が少ないのかもしれない。 

 

 ただただ、世界はスローモーションに動いている。

 

 切れかけている蛍光灯が、ついたり消えたりと、何か信号でも送っているかのように、点滅している。

 

 ヒヤッと冷たく、無味無臭のいつも吸っている空気が、勢いよく頬に当たる。喉の奥に当たる。

 口の中の水分が乾いた気がした。

 そして、その風に返事をするかのように、木々がザワザワとざわめいた。

 何か、何かを伝えようとしているのかもしれない。

 残念ながら、木々が何を伝えようとしているのかも、蛍光灯が何の信号を発しているのかも、わからない。  

 

 何も考えられなかった。

 ぼーっと頭が留守になっている。はたしてどこに出掛けてしまったのだろうか。

 頭はぼんやりと留守にしているのに、なぜか映像だけが急速に流れる。それは、俺の過去だろう。

 それは、それほど良いものじゃなかった。

 もし良いものだとしたら、きっと頭は留守になんかなっていないだろう。

 待ち人は俺に注目なんてしていなかっただろう。

 することなんてなかっただろう。

 

 開いた口も目もを閉じると、ギュット噛みしめ息を止めた。頭の中で流れる映像。聞こえる音。

 全てに一つの思いを伝えると、スローモーションの世界は終わった。

 

 電車の警笛と人々の悲鳴と共に俺は目を閉じたまま……

 



 

 ーーーーーーー


 翌日、朝のニュースで一人の男が電車に跳ねられ死亡したと報じられた。

 

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