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親愛なるジキル  作者: 如月ノノノ
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いつか無理が出る更新ペースなので書き溜めしようかと思ってます

彼がもう一つの人格と共存させられているのにはある出来事が深く関係している。

彼は多くの事が千春と共通している。

彼の家は裕福であり、大きく綺麗な家に住んでいた。

順風満帆、誰から見ても理想の家庭だった。

しかし、父の仕事は金融業であり家庭のために己を殺し働いてきた故に踏み越えてきた人の数も多い。

その中の1人の逆恨みにより両親は惨殺される。

寝ている両親は悲鳴をあげる事も出来ずに殺された。

もちろん別の部屋にいた彼も殺す予定だったのだろう。

しかし、物音に気づき両親の死体と鮮血を浴びた犯人を見た時、彼の意識は混濁し気絶した。


彼が目覚めた時に見たのは両親の死体より無残に殺された犯人の亡骸だった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「まあ端折るとこんな感じかな?」

本人は整理がついているようであまり重苦しい感じは受けないが、今の話を聞いた私は複雑な気持ちになった。

同情と恐怖。

私たちと同じような境遇の人間はそうそういない。

だからこそ共感し同情できる。

しかし、それと同時に彼のもう一つの人格が全く彼の意識とは逸脱していて殺人もいとわない悪魔だと理解した。


「あっ...」

「ん?どうしたの?」

こんなに話しているのにまだ重要な事を聞いていなかった。

「あなたの...名前は?」

「まだ名乗ってなかったね...僕は蝦名秋」

「わ、私は橋本千春です」

「千春ちゃんか...いい名前だね!」

この人すぐニコニコする人だな...

あんな過去があるのにすごいな...私はこんな風にはなれないな。

.....いや待て、この人誘拐犯で殺人鬼だよね?

なんでこんな同情とかしちゃってるんだろう。

気が向いたら殺されるような状態なのになんでほんの少しでも...

この人が悪い人じゃないような気がするんだろう。


「僕たちは数日に1回入れ替わるんだ。

だいたい一週間の中で5日ぐらいは僕の意識。

少なくて数時間、多くて2日間は'式'の意識が支配するかな」

'式'とは秋さんの中の殺人鬼の人格の事らしい。

本人がそう名乗るみたいだ。

「式は気まぐれだから入れ替わった数時間を寝て過ごしたり外をぶらぶらしたりして適当に潰す事も多いみたい。」

秋さんが入れ替わっている時の自分の携帯のGPSを後から調べてわかったらしい。

「千春ちゃんにお願いしたいのは式が来た時はできるだけ刺激しないで欲しい。」

わざわざ刺激しに行くなんてこっちから願い下げである。

「もし本当に殺されそうになったらこれを使って。」

重量がある黒い小さい物体を渡された。

「これは何ですか?」

「スタンガンだよ、一応大人の男でも10分くらいは動きを止められるらしい。

でも、式には薬とか電気とかが効きにくいらしくて足止め出来て1、2分かな...」

だからスタンガンは最後の手段なのか...

だいたい電流が効かないってどんな超人なんだろう...

しかも、不意を突かなければ全く意味をなさないだろう。

随分と頼りない最終兵器だ、悲しくなってきた。


「提案なんだけど...」

また真剣そうな顔だ。

真面目な顔が似合わないな、この人。

「この部屋から出てみる?」

「えっ!?」

誘拐犯としてはかなり甘い考えだと思った。

だいたいこの監禁部屋から出てしまったらいつだって逃げ出せるようなものじゃないか。

「もしかして、逃げる事を考えてるかもしれないけど...やめた方がいいと思う...」

「な、なんでですか...」

「この家は僕以外の人間が出入りするとセンサーで感知されてブザーが鳴るんだ。

そのブザーがなったら僕は乗っ取られ意識を保てなくなる。」

式は相当狡猾で賢いらしい。

たとえ自分の意識が眠っていても捕まえた獲物は絶対に逃さない。

「.....」

拳を握りしめたまま話の途中で秋さんは黙ってしまった。

「ま、まだ何かあるんですか...?」

「....前に逃げた子がいるんだ」

根拠は何もないのだがこの話には嫌な予感がした。

だが、聞かないわけにはいかない。

どんな情報でも多い事に越したことはない。

「逃げた女の子を捕まえてその後その子の家族と一緒に」

「もういいです!」

式の異常性を想像してなかった。

家族まで手にかけるなんて本当に正気じゃない。

私が逃げる訳にはいかなくなった。

祖父母の事は何としても守らなければ。

今頃は私の事を心配しているだろうがもうどうしようもなくなってしまった。


「逃げないと約束してくれるならどうにか式にバレないように部屋から出してあげられる。

君のために逃げないと約束してくれるかな?」

「....約束します...あと一つお願いが...」

「ん?僕にできる事なら何でも言って」

「君とかじゃなくて名前で呼んでください」

なんでこんな事言ってんだろう...

でも、もう私の味方はこの人しかいないのかもしれないから。

せめて、今まで人と話せなかった分をこの殺人鬼と話す事で清算しようかな。

そろそろプロットが適当なツケが回ってきてガタガタになってきた感じがしますが、頑張りたいです

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