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私の羽化する日  作者: 月影 咲良
8/61

効果

私は朝からうちひしがれていた。

126....

ちゃんと朝は生姜紅茶だけにしているのに、なぜ減らない?

そりゃ、確かにリンゴジュースは飲んでるよ?

でも、ご飯3杯食べるのとリンゴジュース1本飲むのと変わらないとか....

じゃあもう、ご飯で良くない!?


....いやいや、まて落ち着け。問題はそこじゃないんだたぶん。

夜だ。朝減らしてるからって調子にのって食べてるから太るんだ。

自分でもあの量はちょっとどうかとは思ってはいるんだ。

わかってる!わかってるんだけど!

でもでも、1日の唯一の楽しみなんだよー。

あーもう、どうしよう....



「朝御飯ぬくダイエットとか、本っと!ばかだよねー。」

わたしが悶々としながら、ここ数日ですっかり身に付いた生姜紅茶製作をしていると、後ろから瑠璃が話しかけてきた。

「そんなことするから頭に栄養回らなくて倒れて交通事故おこしたりするのよ。だいたい、それでやせたとして、この先ずーっと朝食食べないなんてできないから、結局食べたらまた太るんだよ。私みたいにちゃんと!毎日!続けられるダイエットをしなきゃね。」

背中に視線が刺さる。

あー、これは、母さんから聴いたな。

ちっ、意外とバレるのが早かったな....

「まあ、お姉ちゃんとかには無理だけどね!私はどんなに食べたくても歯をくいしばって我慢できる鋼の精神力があるから大丈夫だけど。」

....お前は痩せさせたいのか、太らせたいのか。

「あーぁ、私に文才があったらなぁ!そしたらこの、私の編み出したダイエット方法を出版してがっぽり稼げるのになぁ!」

いや、さっき鋼の精神力いるから私には無理っていったよね?そんな精神力あったら、そもそもダイエット失敗しないから、そんな本売れないのでは?


私が何も言えないのを良いことに瑠璃はどんどん自説を披露していく。

私はうんざりしてテレビのリモコンを掴むと、無言で音量をあげる。

瑠璃はまだ何かしら語っているが、「ん~」と適当に返事をしながら聞き流す。

瑠璃は昔から理屈っぽい所はあったが、引きこもってニートし始めた辺りから演説が半端なくなってきた。いはく、調べ尽くした正論らしい。

どうもネット上で相手をやり込めて自尊心を高めたようだ。

....仕事の事も言えるけど、そういう外向けの闘いを家庭内に持ち込まないでほしい。

家族やり込めてどうすんだ。

あ、だんだんストレスが...


ばつん!と、私の中でヒューズのどぶ音がした。

私は無言でがっと茶碗を掴むとご飯をたっぷり盛ってかきこんだ!

そのままの勢いで、2杯目をたいらげ、3杯目をよそうと卵をかけてTKGにする。

ずるっ!ずるっ!ぷはーっ!

そしてマグに並々とお茶を注いでイッキ飲み!

からのゲェェェェップ!!!

食器を流しに投げ込んで水を張ると、手早く身支度をし、始めて瑠璃の顔を見る。

「出掛けてくる。」

半眼で瑠璃に言うと、何とも言えない気まずそうな顔をして「うん...」と言った。

これで満足か!




....私はアホか!


30分後、図書館の机に突っ伏して爆死する私がいた。今日は休みだったので、そのまま図書館へ直行しのだ。


のせられてどうするの!しかも3杯とか。

いやでも、あれはキレるでしょー。

キレるよねー。

でも、結局食べて損するのは私かー。しかも瑠璃のなかでは、「ほぅら、やっぱり続かなかったー」っていう負の実績が積み上がってる気がする!

誰のせいだ!むきーっ!


ああもう、腹立たしい。しかも腹立ちすぎてさっきから気持ち悪いし。

何かこう、胃がむわ~っとするというか....。

うぇ、食べなきゃよかったなー。

....

あれ?

これって、『胃もたれ』っていうやつでは?


ガバッと顔をあげる私に隣の人がビクッとする。すみませんすみません。


それにしても。

『胃もたれ』....これが噂の胃もたれか。

そういえば、たまに感じることあったけど、気にせず食べてたなぁ。なんだー。これかー。

もたれて食べられないとか意味が分からないと思ってたけど、確かにこれはしんどいかなぁ。

でも知ってる?このしんどい状態を越えてさらに詰め込むと、リミッターが外れたみたいにさらに食べられるようになるの☆

ぜひ試してみて!


でも何でもたれたんだろう?

そんな重たい物たべたかな?いや、ご飯しか食べてないよね。

ご飯....3杯は確かに多いけど、私的にはいつもの量だ。これでもたれたことはない。


はっ!

ももももしかして。わたし、ついに朝生姜紅茶が定着したのでは?

やだ嘘ホンとに?

だから、急にご飯食べてもたれたんだ!きっとそう!

いちおう、明日また生姜紅茶して試してみよう。

ああでも、嬉しいなぁ。ちゃんと頑張れば答えてくれるんじゃん、私のからだ!


瑠璃の発言は腹が立ったけど、良いことに気付いたから今回は許してやることにした。


気分があがったので、夜の買い食いについて考えることにした。

しかし、その日は結局良い案は思い浮かばなかった。

財布を持っていかないとかの手段を試したことはあるが、始終イライラするようになり、結局財布を引っ付かんで買いにいくはめになった。

量を減らすとかも思ったが、結局長く続かず、すぐにもとの量に戻ってしまう。

数日買うのを我慢できても、意識がとんで買いに走ってしまう。

買ったのを人にあげたりもしたが、気づけばあげる用と自分用に買うようになって出費が増えただけだった。

もう、本当に呪いみたいだな....。


うーん、どうしたものか。

意思が弱いと言えばそれだけなんだけど、そもそも私、夜の爆食以外にはそんなに食べてないと思うんだよね。

うーん。


とりあえず良い考えが思い浮かばないから、レコーディングしてみるか。

レコーディング....続いたこと無いんだよね。

だって書くと瑠璃が「そんなもの書かなくっても、覚えてればいいことでしょ。私は覚えていられるよ。まあ、おぽえていられないなら書けば良いんじゃない?私は覚えていられるけど!」と毎回毎回....。

いや、止めよう。思い出しても腹が立つ。

とにかく、部屋で書こう。

書き漏れがあってもいい。こっそりやろう。

3日坊主の私だけど、とりあえず続く限り書く!

何もしないと恐いからね....気休めかもだけど。



お昼をまわって、私は近くの公園をぐるぐると散歩してから家に帰った。

気のせいじゃなく、歩くのがしんどい。

やばいな、本格的な何とかしないと、私テレビの海外のスーパーおデブさんみたいに家から出られなくなる気がする....。



「胡桃、ごめんねー。あんたの茶碗、割っちゃった~」

家に着くと母さんがばつが悪そうに申告してきた。

母さんはなぜか私の茶碗をピンポイント爆撃する天才だ。

「またか。まぁいいよ。どうせ気に入ってなかったし....」

「代わりの茶碗だすね。まだ色違いのが4つあるから」

「あー、うん。」


うん?まてよ。

私はふと閃いた。

「母さん、待って出さないで。わたし、自分で気に入った茶碗を買ってくるよ。」

おかわりが止められないのなら、茶碗を小さくすれば良いじゃない!


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