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私の羽化する日  作者: 月影 咲良
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上手くいったと見せかけて....

朝生姜紅茶生活1日目にして、私はすでに大ピンチにおちいっていた。


「お腹すいた....。」

職場までの道のりは車で片道40分だが、3分の2ほど行った辺りでものすごい「何がなんでも、何か食べなければならない」感が沸き上がってきていた。

同時に「私はガマンなんてできないはずだ」という恐ろしい考えが出現する。

なんだこれ、なんの呪いだ。

まだ初日だし、何とか気をまぎらわせなければ。

えーっと、えーっと....そういえばこの道まっすぐ行くとコンビニがあるよね☆

って、だめだめ!何考えてんの私!ガマンだ、ガマン。

いやいや、ムリだよ。

いや、ガマンするんだ。

いや、ムリだ。

いや、ムリだ。

ムリだ、ムリだ....


ウィンカーを出す。

頭の中で微かに制止の声が聞こえるが、もはや小さすぎて私を止めることはできない。

滑るようにコンビニにはいると、明るい店内がさまざまな新商品で私を迎えた。


ああ、たまらないたまらない。

何にしよう?腹に溜まるものがいい。

おにぎりとかどう?

いいね、それなら運転しながら食べられるし、おにぎりのカロリーなんて1個160から180くらいでしょ。2個くらいいっても普段の私からしたら低カロリーだよね。

そうだ、オメザスイーツとか素敵ッポイよね。

よし、スイーツ買おう。腹に溜まるものがいい。

ベイクドチーズケーキとかがいいかな。

あぁ、そうだ、飲み物も買おう。

腹に溜まるものがいい。

カフェオレとか....



あ。



ドリンクコーナーにたどり着いた私は、そこでフッと正気に戻った。


『リンゴ100%ジュース』


フルーツだ。


いや、今まで読んだダイエット本によると、濃縮還元ジュースは熱が加わっているのでフルーツとは言えないらしい。いわく、酵素が破壊されているとか食物繊維がないとか。

だが、今私がやろうとしているのは、朝は排泄の時間なので胃に負担をかけない。というもの。

酵素はどうでもいいとは言わないけど、米入れるより負担にならないのでは?

わからない。

わからないけど、いい気がする。

よし。


私はリンゴ100%ジュースを手に取ると、おにぎりとスイーツを棚に戻し、正気に戻ったついでに思い出した「温かい飲み物は空腹感をまぎらわせる」に従ってほっとのお茶をゲットした。



車に戻ってリンゴ100%ジュースをイッキに飲み干す。


ズコーッ

ぷはーっ


おっ、凄い。さっきまでのイライラが嘘のようにスッと落ち着いたよ。

例えが汚いけど、さながらトイレを我慢してトイレの事しか頭になかったのが、行ってきたのですっかりトイレの呪縛から解き放たれたような、そんな感じ。


さらに追い討ちでほっとのお茶を飲む。

じわりと満たされる胃。


よし、今のうちだ!


私はすぐさま車を出す。

ジュースもほっとドリンクもきっと一時しのぎだ。

また自我を失う前に職場にたどりつかなければ。



ほどなくして職場にたどり着くと、後は仕事に追われてお腹が空いたのなんて言っていられなくなる。

時間のたつのもあっという間で、私は何とか朝生姜紅茶を(多少予定は狂ったものの)のりきったのだった。


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