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私の羽化する日  作者: 月影 咲良
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クリスマスと年末年始

 私は食べたものを全部写真に撮る事にした。

 しかし、それは1日も達成できずに終わった。

 なぜ急に食べ物の写真を撮り始めたのか?と廻りに思われるかも。と、臆病になったからだ。

「撮るのが好きなのー。」と智子みたいに言ってみれば良いのかもしれない。

 でも、なんと言うか、気恥ずかしくて勇気が出なかった。


 そのかわり一人で食べるときには写真に納める事にしよう、と決意した。

 ところが、これもなかなか上手くいかなかった。

 毎食撮影するわけではないので、撮ることを忘れてしまうのだ。

 私の驚異の忘却力をなめていた....。




 ところで、コンビニ通いから足が少しだけ遠退いてから、気づいた事がある。


 ....大袋のポテチが、そんなに美味しく感じない?


 途中から、飽きるようになったのだ。今までそんなことはなかったのに、だ。

 そのかわり、他の駄菓子を買ったりしているし、満足していないからと言って、食べないという選択が何故かできないので、惰性で買っているが。

 先日ついに、大袋をやめて普通のサイズのポテチにしたら、それで事足りてしまった。

 ...まあ、その分ソースカツの駄菓子を買ってしまったのだが。

 まだ売ってたんだな、あれ。懐かしいなぁ。



 そしてさらに、コンビニスイーツが、美味しいんだけど物足りなく感じるようになった。


 なんだろうこれ。

 味覚がより濃い味にでもなってしまったのだろうか?

 しかしでは、より濃い味が良いのかと試してみると、どうにもそういうわけでも無いようだ。

 意味が分からない。


 でも美味しい美味しくないではなく、コンビニ通いが止められない自分が一番意味が分からなが。





 そんな日々が過ぎて、あっという間に12月になった。

 世の中がクリスマスだと浮かれている。

 何がそんなに楽しいのだろう?

 私にはクリスマスにおいて、素敵な思い出という物を持ち合わせていない。

 彼氏いない歴=年齢だからデートとかした事ないし、お小遣いなどは貰えるほど裕福ではなかったので、友人の家でバーティーとか恐怖でしかない。プレゼントが買えないからだ。

 まあ、そもそも誘われる事も無かったのだが。

 みんな大人しい子ばっかりだったからね、私のまわり。

 強いて言うなら、小学生の時の強請参加のクラスパーティか、祖父母に買って貰った長靴型のお菓子の詰め合わせくらいだ。

 長靴は瑠璃と二人で同じのを買ってもらい、お菓子を食べた後両足にはこうとしたけれと、履けなかったんだよね。

 あれ、はける子いるのかな。私が小学一年生で30キロ有ったから履けなかったのかな....。



 おかげで私にとってのクリスマスイベントと言えば、ケーキが食べられる!という事だけだった。

 むしろ中学生以上はもはやケーキ意外の楽しみなどなかった。

 そのかわり、ケーキには並々ならぬ気合いを入れていた。

 学生の頃は、あちこちのお店に顔を出し、クリスマスケーキのパンフレットを貰って帰った。

 そして、その中で最も大きなものを探し、瑠璃と姉妹会議を開いて『今年のケーキ』を決定していた。

 しかし年々店で売られているケーキは小振りになり、私たちは大食漢になっていった。

 物足りない....。


 そして私は悪食を覚えた。

 私の職場は飲食店なので、クリスマスは浮かれたリア充ども...ぁいや、お客たちで溢れかえる繁盛期だ。

 したがって帰りは下手すると夜中の3時とかになる事もある。そうすると夜更かしの瑠璃すらもはや起きてはいない。

 私は誰にも見つからないのを良いことに、帰りにコンビニに寄ると、美味しそうなホールケーキを買い、そっと自室に上がって一人で抱え食いをするようになった。

 もちろんさすがに、一回では食べきれないので2日に分ける。

 至福だ。

 12月の気温は日中でも5度位だから、食べかけを部屋に放置していても問題ないのが嬉しい。



 もちろん、今年もやる気だ。

 一年に1度のこのケーキカーニバルをやらずして、クリスマスは語れないだろう。

 だがしかし、問題はその後だ。

 1度ケーキカーニバルを開催してしまうと、しばらくはブレーキが効かなくなったみたいに毎日がカーニバルになってしまう。


 そこで、写真レコーディングだ。

 最高の1枚を撮ろう。

 そして、貪らずに心を満足させるように食べるのだ。

 そうすればこのクリスマスの魔物を無事倒すことが出きるに違いない。

 対策があるのって嬉しいね。





 クリスマスが無事終ると、すぐに年末年始の商戦だ。

 クリスマスロマンス?そんなもん無い。

 毎日が仕込み、毎日が調理、毎日が接客、毎日が発注と大わらわだ。

 クリスマスに食べたケーキを燃料に、ひたすら正月が終わるまで耐えるのみ。


 この時期の若いアルバイトの子達とのブラックジョークは「みんなさっさと休み開けて働けば良い!」「正月休み?ナニソレ、オイシイノ?」だ。

 まあ、士気が下がると仕事時間が辛いので私は「年末商戦祭りだ!」と空元気で盛り上げるのも忘れない。


 ついでに私は毎年頑張るみんなに、差し入れのお菓子もドカーン!と振る舞う。

 少しは良いこともないとやってられないからね。




 正月三ヶ日の三日目に、社長が突然差し入れの栗饅頭を持ってやって来た。

 この辺で一番大きな亀山神社に初詣に行ってきたらしい。ご機嫌で手に持っていたビニール袋を差し出す。


「一人半分ずつ、温かいうちにみんなの口に入るように、店長采配してあげなさい。」

 って、半分ずつかい!せこいな!

 あっ、佐藤さん、ビックリしすぎて時間止まってる止まってる!

 私はとっさに横から声をあげた。

「わぁーい!栗饅頭だいすきですーっ!ありがとうございますー♪」

 すると、佐藤さんもはっと我に還ってあわてて社長にお礼を言った。

「ありがとうございます。

 みんな、社長から栗饅頭をいただきました!」

「ありがとうございます!!」

「うん、頑張ってね。」


 社長が帰るとみんなで社長の差し入れを交代で休憩して食べた。

 三日目は少し客足が落ちついていたので、ちょこっと休憩がとれるのは嬉しかった。

 しかしまさかのケチッた差し入れのせいで、社長の評判はだだ下がりだ。

 こういう時、バーンと振る舞える人と、無駄にケチる人で社長としての器がわかる。

 ちょっとケチッたばっかりに、まだ差し入れしなかった方が良かったんじゃないかというくらい馬鹿にされている。

 自業自得とはいえ、ちょっと可愛そうになるな。

 そうだ、明日みんなに一個ずつドーナツを買ってきてやろう。

 今日との対比で私の好感度が鰻登り間違いなしだ。

 ぐふふふ。





 正月が過ぎ世間が落ち着いた頃、私たちはやっと交代で休みがとれるようになった。

 と言っても、連休ではない。

 ただの日常の休みだ。

 それでも久々のお休みに、やっと落ち着く事ができた。


 落ち着いたらやはり考えるのはダイエットの事だ。

 レコーディングダイエットが行き詰まったままで放置になっていることが、ずっと気がかりだった。

 もやもやと気にかけてはいたものの、何故か「正月が開けたら考えるとして、とりあえず....」という考えに支配され、いつのまにか買い食いが完全復活していた。

 久々に体重計に乗ってみたら125キロに戻ってしまっていた。

 くそう、やはり増えたか。

 しかしMAXの体重は129キロだから、まだいけるな。良かった、良かった。

 私はふぅと胸を撫で下ろした。



 とりあえず良い考えが浮かばないので、私はバイブルたちを読み返す事にしたのだった。

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