2/6
俺の妻
「いってきまーす。」
いつものように家を出る。
「たかちゃん!気を付けてね。」
妻の恵子は、毎日必ず玄関先まで見送りをしてくれる。結婚してから欠かさず毎日。
恵子はまだ俺を好きでいてくれてる。
いつも必ず化粧をし、髪も整えている。
朝飯だって絶対に欠かさず作る。
「今日はなるべく早く帰るわ。」
俺はそう言って、家を出た。
恵子は嬉しそうに手を振った。
四月に部署を移動してから、残業続きだったり接待の飲み会があったりで、中々早く家に帰れていない。
でも恵子は絶対に、文句なんて言わなかった。
理解のある妻だ。
日曜日でも無理矢理出掛けに行こうだとか、たまには子供の面倒見てだとか一切言ってこない。
昨日の日曜日も、前日の飲み会で二日酔いだった俺を気遣ってなのか、娘二人を連れて映画を見に行くと言い出掛けに行った。
幸せだと思っている。
マンネリ化する夫婦の熟年離婚や、夫の浮気、妻の不倫だとかよくテレビでやってるが、俺には無縁の話だ。
この先死ぬまで恵子だけだ。
俺を愛してくれる人。
そして俺が愛する人も。