シニ、ウマレルマデ
丑三つ時。すっかりと暗くなった住宅街を、一人の男が歩いていた。男は酩酊しているらしく、足取りは覚束無い。
「何で僕がこんな目に…」男は寂しげに呟く。
「結局、皆見た目で判断するんだ…」彼の顔は、お世辞にも秀麗と言えたものでは無く、あまり好感を持たれそうな顔ではない。彼はそのせいで仕事にもまともにありつけないのである。
「ハァ…」
と、その時。曲がり角からトラックが飛び出して来た。「あぁ、僕、ここで死ぬんだ…」
ゆっくりと迫ってくるトラック。彼は目を閉じた…
あれ?ここは何処だろう?凄く…暖かい。
ああ、天国か。やっぱり僕、死んだんだ…
「あ、起きた?」「うわぁぁ!!」
気がつくと僕の隣にはとても綺麗な女の人が立っていた。
「あの、貴女は…?」
「私?君らの言う、神かな」
「そう、ですか…ではここは天国ですか?」
「そう。あ、もしかして落ち込んでる?」
「まぁ、あんなのでも僕の人生でしたし…」
「そう、ね。…所で、貴方には今3つの選択肢があるの。
1.このまま輪廻のサイクルに加わる。
2.地縛霊になる。
3.転生する。
好きなのを選んで頂戴?」
「よ、宜しいのですか?」
「ええ。貴方にはその権利がある。」
「では、3…でお願いします。」
「そうこなくっちゃ♪
転生する先は、所謂、剣と魔法のファンタジー。あなた好きでしょ?
貴方には転生する際に3つ欲しいものを上げるわ。何がいい?」
「いいんですか!?」
「貴方の魂は美しいもの…つい、手伝いたくなってしまうの。」
そうだな…
顔、は確定かな。もうあんな思いはしたくない…
後の二つか。剣と魔法っていうくらいだし、その才能があるといいかな…
後の一つ…暖かい、僕の居場所が、欲しい。
「決まったようね…」
「はい…皆に好感を持たれる容姿、剣と魔法の才能、僕の…帰るべき、暖かい場所が欲しいです!」
「わかったわ。用意しておくわ。私から、一つだけ。
……せっかくの第2の人生だもの、楽しんでおいで!」
「はい!」
第二の、人生か。神様の言う通り、しっかりと、楽しまなきゃ、ね…
あぁもう限界だ、この流れに身を任せ、て…
「…行ったようね。…幸せに生きるのよ…」
ここまで読んで下さり、有難う御座います!
次回、主人公大地に降り立ちます。
矛盾や文章のおかしいところがありましたら、作者のページまでお願い致します!