クリスマス~前篇~
新しい年を迎えたのにクリスマス編です
莉乃視点です
「パス。」
小春日和なので一日ぶりに屋上で正人とお昼ご飯を食べて、『アーン』をするかしないかでも一悶着あって(零勝二十二敗)、不満ながらもお弁当(愛妻弁当です、キャッ)を食べ終えて一息ついたのが今。
付き合ってから三十五日目を謳歌していた私は先週に正人の誕生日が大晦日だと知って(模試の生年月日を見て知った)、お誕生日をお祝いしてから初詣でに行こうと誘ったら答えが『パス』だった。
……………酷い
『不幸』の十三日の金曜日を『幸せ』の十三日の金曜日に変えてから(告白された日❤普通はお姉さんが来た日が十三日になるはずじゃない?)、来週からはクリスマス、大晦日、誕生日と一週間に一回幸せが訪れるはずが、まさかの拒否を受けたわけです。
というわけでとりあえず近くに迫った初めてのクリスマスイブから落とすことにしました。
大阪城作戦です。
外堀から落としていくのです。
「なんで!?クリスマスだよ、クリスマス。聖なる夜だよ?恋人たちがお互いの愛を確かめる日だよ!?それなのに彼氏が『パス』ってどういうこと!?しりとりをしてるわけじゃないんだよ!」
私が猛反論すると正人は不満そうな顔 (彼女が話してるのに何が不満なの!?)をしている。
「クリスマス…。あぁ性なる夜だな。恋人たちがお互いに乳繰り合って性を確かめる日だな。でも俺の家ではクリスマスは家族愛を確かめる日だから悪いけど無理なんだ。莉乃も確かめとけよ、家族愛を。」
「ウソツキ!お正月やお盆になっても帰らない正人がそんな家訓を守るはずがないでしょ!」
「ボク、くりすますニナルト毎年カゼヲ引イテシマウ体質ナンダ。ダカラ守レナイ約束ハシナイノ。」
「そんな片言な日本語外国人だって使わないよ!それに『性』なる夜じゃなくて『聖』なる夜!『神聖』な夜なの!!毎年世界中の人が幸せになる日を勝手に三流ポルノにしないで!!バカ!!第一そんなへんな病気になるわけないでしょ!嘘つくならもう少しましなウソついてよ!」
このペースでいくと私が負けてしまう事は明確なので泣く泣く裏技を使うことにしました。
「分かったよ。もう本当の事言ってよ。本当は実乃里さんとデートするんでしょ。当たり前だよねー、せっかく一年半ぶりに再会したんだもんね。『性』なる夜に『乳繰り合い』たくもなるよねー。」
実乃里さんの名前を出した途端に正人の顔から汗が湧いてくるのが見えた。
『莉乃は『ギガスラッシュ』を唱えた。効果は抜群だー』。
泣く振りをしながら盗み見していると正人が口を開いた。
「分かったよ、俺の負けだよ。クリスマスもちゃんと予定入れておくから泣くな。」
未だに泣き落としが通じる彼氏で良かった。
ハグしたいのも山々なのだけど、とりあえず出来るとことまで引っ張って見ようと思います。
得れるモノは全て得なければいけないのです。
「……私、正人のお部屋でクリスマス過ごしたいなぁ。初めて彼氏と過ごすクリスマスだしなぁ。」
「いや、クリスマスは何処かに出かけようよ、な?オトコ臭い部屋でイブは嫌だろ?」
「…そうだよね。実乃里さんとの愛の巣には入ってほしくないよね、いくら私が『彼女』でも。」
「あぁ!!もう!!畜生!!分かったよ、分かりました!!クリスマスは俺の部屋でいいです!!」
「やった♪じゃあ、詳しいことは電話で決めようね。というわけで、はい、膝枕して。」
しぶしぶと言った顔でお弁当箱を片付けた正人のお膝の上に頭を乗せる。
背中とお尻が寒いけど良いのです。
この特等席を満喫するためならば、多少の苦は良いスパイスになるのです。
というわけでお休み…
「………全く、普通は逆だろ。する側とされる側。………………全く、どうしようもない奴だな。」
頭が半分以上固まっていた状態なので、正人が何を言っているのかはあまり聞こえなかった。
でもおでこを撫でられる感触がとても暖かかったような気がしたので別にいいのだ。