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犯人は主人公  作者: 超俺


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第8話 俺は何も考えないことにしたら、賢者扱いされたωω

 異世界八日目。


 俺は決めた。


 考えない。


 理由は簡単だ。

 考えると、国が壊れる。


 なので俺は、

 起きて、食べて、歩いて、寝る。

 以上。


「おはよう」


 誰にも向けずに言った。


「……深い」


 誰かが呟いた。


「どこが!?」


 城内は今日も警戒態勢。

 でも、俺は違う。


 何も考えていない。


 視線が泳がない。

 歩幅は一定。

 表情は無。


 ――結果。


「勇者様、落ち着いておられる……」


「悟りの境地……」


「ついに覚醒か……」


「違う!!

 頭空っぽなだけだ!!」


 リーナが小声で言う。


「……黙っていろ」


「今の命令、逆に怖い」


 街に出る。


 俺は歩く。


 何も考えない。


 パン屋の前を通る。


 人々が息を呑む。


「……勇者が通過する」


「何も起きない……?」


「まさか……

 “敢えて何もしない”戦術……?」


 違う。

 ただ、考えてないだけ。


 噴水。


 俺は立ち止まらない。


 止まると考えちゃうから。


 噴水、暴走しない。


「……」


 周囲がざわつく。


「完璧な判断だ……」


「噴水を刺激しない間合い……」


「天才か……?」


「間合いってなんだよ!!」


 昼。


 会議室。


 国王代理が俺を見る。


「勇者よ……」


 俺は無言。


 考えない。


「……あえて語らず、か」


「語ること考えてないだけです」


「沈黙は肯定と受け取る」


「受け取るな!!」


 地図が広げられる。


「この橋、老朽化している」


 俺は見る。


 考えない。


「……勇者はどう思う?」


 俺は首を傾げた。


 何も考えていない首の傾げ。


「……なるほど」


「なにが!?」


「“今は触れるな”ということだな」


「ただの首だ!!」


 橋は修繕された。


 被害ゼロ。


 評価アップ。


 夕方。


 白髪の少女――厄災担当ヒロインが来た。


 真顔。


「あなた、今日は何も考えてない」


「うん」


「……危険度が最低値」


「初めて褒められた気がする」


「でも」


 彼女は続ける。


「周囲が勝手に考え始めてる」


「やめさせて」


「無理」


 街では噂が広がっていた。


『勇者は考えないことで未来を見ている』

『沈黙は警告』

『動かないのが最善手』


「都市伝説が進化してる……」


「あなたが何もしないほど、

 人は意味を探す」


「最悪の心理実験だな」


 夜。


 俺はベッドに寝転んだ。


 天井を見る。


 何も考えない。


 静か。


 平和。


 その瞬間。


「勇者が横になった!!」


 鐘。


「就寝態勢だ!!」


「警戒を強めろ!!」


「だから何も起きねえって!!」


 ……でも。


 誰も怪我しなかった。


 被害ゼロ。


 俺は悟った。


 この世界では、

 賢く振る舞うより、

 考えない方が賢く見える。


 皮肉だけど、事実だ。


 異世界八日目。


 俺は何も考えずに、

 世界を一番平和にした。


 なお。


 今日できた新しい称号。


 「無言の賢者」


 納得はしていない。

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