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犯人は主人公  作者: 超俺


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第4話 俺は自分が犯人だと自白したωω

 朝、俺は鏡を見て思った。


「……俺、もう詰んでない?」


 城の一室。勇者用(実質隔離室)。

 鏡の中の俺は、完全に厄年の顔をしていた。


 外では鐘が鳴っている。

 意味は一つ。


 俺が起きた。


「おはようございます勇者様!」


「今日は何を壊しますか!?」


「まだ壊してねえ!!」


 廊下を歩くだけで、人が避ける。

 半径五メートル、無人。


 新条例だ。

 俺のせいでできた。


「……なあリーナ」


「なんだ」


「俺、今日は何もしない」


「それが一番危険だ」


「なんで!?」


「昨日、何もしないと言った勇者が噴水を爆破した」


「俺じゃねえ!」


「参考事例だ」


 街に出る。


 人々が祈る。


 逃げる。


 拝む。


「おはよう!」


「伏せろ!!」


「挨拶だよ!?」


 俺は立ち止まった。


 気づいたんだ。


 俺が否定するたび、

 事件はデカくなる。


 だから――


 俺は宣言した。


「俺がやります」


 沈黙。


「……は?」


 リーナが聞き返す。


「今日起きる事件、全部」


 俺は胸を張った。


「俺のせいです」


 ざわめき。


「予言だ……」


「勇者が未来を……」


「覚悟を決めた……」


「違う! 保険だ!!」


 案の定、起きた。


 市場で火事。


 原因?

 パン窯の老朽化。


 俺は即座に手を挙げた。


「俺です!!」


「勇者様が!!」


「やはり!!」


「いや待て!!」


 俺は走った。


 被害が出る前に。


 バケツを持つ。


 滑る。


 転ぶ。


 火の中に突っ込む。


「勇者ァ!!」


 結果――

 火事は最小限で消えた。


 俺は焦げた。


「……な?」


 俺は咳き込みながら言った。


「俺が犯人ってことにしとけば、

 みんな動くの早いだろ?」


 リーナが黙った。


 次。


 橋が崩れかけた。


 原因?

 老朽化。


 俺は先に叫ぶ。


「俺が揺らしました!!」


「避難だ!!」


 人が逃げる。


 橋、崩落。


 死者ゼロ。


「……お前」


 リーナが言った。


「賢いのか馬鹿なのか分からんな」


「褒めてる?」


「半分だけだ」


 そこに、白髪の少女。


 厄災担当ヒロイン。


「やっと理解したのね」


「何を」


「あなたは“犯人役”を引き受けた方が、

 世界が一番安全」


「最悪のヒーロー論だな」


「でも合理的」


 少女は続ける。


「皆、あなたのせいだと思えば備える」


「俺は?」


「嫌われる」


「即答!」


 その日、街では奇妙な光景が続いた。


「勇者が何かするぞ!!」


「逃げろ!!」


「準備しろ!!」


 結果。


 被害、最小。


 俺は肩で息をしながら笑った。


「なあ……」


「なんだ」


「俺、もう戻れないよな」


「最初から戻れない」


「だよな」


 夜。


 城。


 借金台帳が更新された。


「……減ってる?」


「被害が少なかった」


「俺が嫌われた分?」


「そうだ」


 俺はベッドに倒れ込んだ。


 異世界四日目。


 俺は悟った。


 世界を救う一番簡単な方法は、

 自分が全部悪者になることだ。


 なお。


 この日新しくできた条例。


 「勇者が自白した場合、即避難」


 俺専用。


 もう笑うしかなかった。

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