表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
犯人は主人公  作者: 超俺


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/15

第11話 世界は俺の代わりに考えることにしたωω

 異世界十一日目。


 会議室に入った瞬間、俺は察した。


「……ろくな案じゃないな」


 机が多い。

 人が多い。

 紙が多い。

 全員の目が輝いている。


 最悪だ。


「勇者よ」


 国王代理が咳払いした。


「結論から言う」


 嫌な予感。


「思考を分担する」


「意味が分からない」


「お前が考えるから壊れる。

 なら――」


 将軍が立ち上がる。


「皆で少しずつ考えればいい」


「合議制で爆発を回避しようとするな!!」


 白髪の少女――厄災担当ヒロインが、淡々と資料を配る。


「新制度案

 《分散思考式・勇者運用システム》」


「名前からもうダメだ」


■システム概要(地獄)


勇者は一切考えない


周囲が代わりに考える


結論は勇者の口から言う


事故が起きたら勇者のせい


「最後おかしいだろ!!」


「一貫性」


「どこが!?」


 リーナが腕を組む。


「要するに」


「要するに?」


「お前は喋るスピーカーだ」


「人権どこ!?」


 テストが始まった。


 場所:街の広場。

 観衆:大量。

 警戒:最大。


「勇者、質問だ!」


 商人が叫ぶ。


「この噴水、修理すべきか!?」


 俺は何も考えない。


 ヒロインが耳元で囁く。


「修理」


 将軍が反対側で囁く。


「様子見」


 司祭が祈りながら囁く。


「神に委ねよ」


 リーナが低く言う。


「無難に止めろ」


 俺の脳内、

 四方向からの囁き地獄。


「……えー」


 俺は口を開いた。


「“一旦止めて、修理を検討する”」


 ――ドン。


 噴水、止まる。


 被害ゼロ。


 ざわめき。


「成功だ……」


「分担が効いている!」


「賢い!」


「賢くねえ!

 俺、ただの中継だ!!」


 次のテスト。


 橋の老朽化問題。


 囁き。


「封鎖」

「補強」

「予算不足」

「今は渡るな」


 俺は言う。


「……今日は使わない」


 橋、無事。


 評価、爆上がり。


「完璧だ!」


「勇者は考えずして答えを出す!」


「違う!!

 お前らが考えてる!!」


 問題が起きたのは、

 三人以上が同時に本気で考えた時だった。


「戦争についてどう思う?」


 突然の質問。


 囁きが――

 十方向から飛んできた。


「抑止!」

「和平!」

「先制!」

「話し合い!」

「徴兵!」

「予算!」

「神託!」

「世論!」

「外交!」

「怖い!」


 俺は――

 考えた。


 一瞬。


「……全部」


 ――ドン。


 小さな揺れ。


 看板が落ちる。


「やめろォ!!」


 ヒロインが即座に記録。


「結論。

 思考人数が多すぎると、

 勇者が補正を始める」


「補正すんな!!」


「人間だもの」


 緊急対策が決まった。


 思考担当は三人まで。


 役割分担。


リーナ:現実


将軍:安全


ヒロイン:確率


「司祭は?」


「声が大きいので外した」


「納得だ」


 俺は深く息を吐いた。


「……なあ」


「何」


「俺、結局、考えてるよな」


 ヒロインは少しだけ首を傾げた。


「考えている。でも――」


「でも?」


「一人で背負っていない」


 それは、

 この世界に来て初めて聞いた

 まともな言葉だった。


 夜。


 新条例が公布された。


《勇者分散思考法》

・勇者は単独で考えてはならない

・思考は必ず分担すること

・最終責任は勇者が負う


「最後いる!?」


 異世界十一日目。


 世界は、

 俺の脳を共有財産にした。


 狂っている。


 でも――

 ちょっとだけ、楽になった。


 たぶん、

 これが“社会”ってやつだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ