Pー39戦闘機についての私的な想い
Pー39戦闘機というと、どんなことを思い浮かべ、又、考えられるでしょうか。
私的な想いを、此処に描くならば、本当に最初に知ったときからすれば、色々と想いというか、印象が様変わりしていったとしか、言いようが無い戦闘機になります。
私の記憶が正しければ、の話になりますが。
私が様々な歴史、戦史に興味を持つようになり、更に兵器等にまで興味を持つようになったのは、40年近く前、1980年代後半のことになります。
それこそ昭和60年代に入ったばかりで、現在からすれば、そういった情報が色々な意味で乏しく、又、不正確な時代だったのが、現実の話でした。
(その一例を挙げれば、
それこそ司馬遼太郎史観から、日露戦争の際の旅順要塞攻防戦だが、無能極まりない乃木希典によって多大な損害を出したのだ、
もし、児玉源太郎が最初から指揮していれば、1月もあれば1万以下の損害で旅順要塞は容易に攻略できて、日露戦争で日本軍は更なる戦果を挙げられたのだ、
等の主張の雑誌記事が、それなりに信じられる時代だった、と言えば、大よそのその当時の情報の精度が推測できる気がします)
ともかく、そんな時代でしたから、坂井三郎氏の著作等を根拠にして、
「Pー39戦闘機は、笹井醇一中尉があっという間に3機撃墜を果たす程の駄作戦闘機だった」
という評価が横行していた覚えがあります。
そして、私もそれを素直に信じていました。
ですが、こういった状況が徐々に変わって行きます。
例えば、米ソの冷戦終結、ソ連崩壊は、それまで鉄のカーテンに覆われていた独ソ戦に際してのソ連側の情報が、大きく広まるきっかけになりました。
更にインターネットが徐々に普及することになり、それに伴って外国の情報が、相対的にですが容易に手に入るようになりました。
そうしたことから、徐々にPー39戦闘機の評価も、私の中で変わって行くことになりました。
1990年代後半以降では、当時、流行していた仮想戦記の影響もありますが、Pー39戦闘機は東部戦線で活躍して、低空域での制空戦闘や地上攻撃で多大な戦果を挙げた名戦闘機という印象が、私の中では強まることになりました。
とはいえ、それも徐々に変わって行き、現在の私の中では、低空域での制空戦闘が本職といえ、地上攻撃で余り戦果を挙げたとは言い難い、というのがPー39戦闘機に対する基本的な評価となります。
これに対しては、ウィキを始めとするネット情報では、北アフリカ戦線でPー39戦闘機は猛威を振るっており、ロンメル将軍も高く評価している、と反論されそうですが。
私の調査能力が低いせいか、北アフリカ戦線でPー39戦闘機が大活躍したという書籍や紙の雑誌資料を読んだことが無く、更に言えば証拠として引用されている英語版ウィキでは、そこまで高く評価されているようには、私の英語力が低いせいか、読み取れなかったという事情があります。
その一方で、低空域でPー39戦闘機が、東部戦線においてドイツ戦闘機を相手に、それなり以上に戦ったと言うのは、私自身が雑誌等で読んだことがあるのです。
又、米軍側の主張になりますが、Pー39戦闘機は零戦と低空域では、それなり以上に互角に戦っていたという主張も読んだ覚えがあります。
そうしたことからすれば、Pー39戦闘機は低空域での制空戦闘においては、1941年から1942年頃、世界で文句なしに優秀と評価される制空戦闘機だったのでは、という考えが私の中では浮かんでならないのが現状です。
そうした背景からの描写を、2025年現在執筆中の「転生者カナリス提督(以下、略)」の中では行っていこう、と私は考えています。
それから、全くの余談で、私なりの裏取りが取れていない憶測ですが。
Pー39戦闘機が駄作機呼ばわりされた原因として、開発当初は排気タービンを装備していたのが、米陸軍の要求から、排気タービンを外したことが、大抵の場合、挙げられています。
確かに表面上は、仰られる通りと私も考えるのですが。
米陸軍の要求にも、それなりの事情があった気がしてならないのです。
Pー39戦闘機を開発したベル社ですが、1935年に設立された、当時からすれば完全な新興企業でした。
更に言えば、Pー39戦闘機は、ベル社が独自開発した軍用機としてはまだ2番目で、又、初めて米軍がベル社に量産化を認めた軍用機でもあったのです。
そして、排気タービンですが、文字通りに当時では最新技術で、太平洋戦争時の日本の航空エンジンメーカーが、それを装備した航空エンジンを量産化するに際しては四苦八苦する程の代物だったのです。
当時の米国産業界の裾野は十二分に広いと言える代物でしたが、完全な新興企業が開発し、初めて量産化する軍用機に、排気タービン装備の航空エンジンを搭載するのは。
余りにもリスクが高く、米陸軍が排気タービンを外すようにベル社に求めたのも当然ではないか、と私は考えます。
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