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我楽多  作者: 鈴音
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落ちたあの子の面影を

あいつが学校から飛び降りたと聞いて心底驚いた。

しばらく会っていなかったとはいえ明るいやつだと思っていた。何か苦しいことがあったのだろうか。辛いことがあったのだろうか。相談してくれたらよかったのに。

テンプレートみたいな言葉を思い浮かべた。どこか他人事のように感じた。実際他人事なのだろう。1年以上話していないし、会ってもいない。疎遠になったのは高校に入ってからだろうか。嫌っているわけではないけれど、会いたいとは思わない。


物心つく前からの友達だったのだろう。あいつと遊んでいるところから記憶が始まっている。あの頃は今なんかよりよっぽど楽しかった。あの頃に戻りたい。あいつとふざけ合っていた頃が人生で1番楽しかった。

なのにあいつが飛び降りたと聞いてもどこか他人事に感じてしまうことが悲しい。学校が別になったからといって遊べないわけでも縁が切れるわけでもないのになぜ会いもせず、話もせず、ほぼ縁が切れた状態にしていたんだろう。悲しくて、悔しくて仕方がないのに、どうしても他人事にしてしまう。


もし、あいつが目を覚ましたら会いに行こう。きちんと話をしよう。春にはお花見をしよう。凧揚げをしよう。夏には一緒にお祭りに行って遊ぼう。プールや海に行って笑い合おう。秋には一緒に焼き芋を作って食べよう。絵を描きあったりして馬鹿にし合おう。冬には雪だるまやかまくらを作って楽しもう。クリスマスにプレゼント交換をして、ケーキを作ろう。そう妄想しながらあいつが起きるのを待とう。





起きるかどうかもわからないのに?

あいつは今意識不明の重体なのに?

起きるまで待つ?そんなことしてる暇があるなら新しい友達を作る方がいいだろ?何を言ってるんだ。そもそも、ほとんど縁が切れた状態の幼馴染が目を覚ましたら急に出てくるとか恐怖だろ。待つのは得策じゃない。意識を取り戻して少し経ってから会いに行くのがいいんじゃないか?今の友達と鉢合わせるのは気まずいだろうし。


心配しない言い訳がポンポン出てくる。自分でも怖い。いつからこんなふうになったんだろう。


やっぱりあの頃に戻りたい。

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