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13. 婚礼へ向けて




「お世話になります」と頭を下げたルチシャに、ホーステールは穏やかに微笑んだ。

その表情に乗せられた労りを受けて、苦労をわかってくれる人が居るって素晴らしいことだわ…!とルチシャは堪らず感動してしまう。



「いえいえ、ヘイゼル様から聞いておりますよ。大変でしたね」


「ええ…森に長く居ると不調をきたす可能性があると聞いていたので、儀式の前もギリギリまで向こうで暮らすものだと思っていました」



ルチシャとしては、森への引っ越しは婚礼の数日前だと思っていたのだ。

けれどもヘイゼルと結婚前のスケジュールについて改めて確かめ合ったところ、数ヶ月かけてルチシャの肉体を森に馴染ませる必要があると言われ、

尚且つ、故郷が危ない状況のままだと安心して森へ来られないだろうと思い、普段は人前に出てこないような古い精霊まで引っ張り出して問題を早期解決させたというのだから、

それを聞いた時ルチシャは随分と長い時間言葉を失ってしまった。



(ヘイゼルが私の為に動いてくれたのは明らかで、国の問題が無事に解決して安堵したのは確かだけれど、……でも!結婚前の女性の忙しさを全くわかってくれていない…!)


やりたいこと、やらなければならないことが物凄くたくさんあるのだ。


ましてやルチシャは、婚姻後は死亡扱いとなることが陛下と父との間の話し合いで内密に決まっている。

ヘイゼルは不愉快そうにしていたが、精霊との婚姻制度がないエアファルト王国では、死亡扱いとしない限りはルチシャが独身のまま存命していることとなり、戸籍上だけでも強引に婚姻関係を結ぼうと企む輩が出てくるなど、様々な問題が生じる可能性があるのだと説明された。

積極的に竜の怒りに触れようとする馬鹿はあまり居ないとしても、第一王子の軽挙妄動さを懸念した陛下が父に深く頭を下げたのだという。


となれば、正式に人間として扱ってもらえる期間は限りなく短い。

人間は不思議なもので、もう残り時間が少ないと言われると、これまで気にも留めなかったものが急に惜しく感じられたり、全く関心を寄せて来なかったものにまで手を出したくなるのだ。


人間であるうちに好きなものをお腹いっぱい食べておきたいし(とはいえ婚姻前だから太るわけにはいかないけれど)、王都は無理でもせめて領内で気儘にお買い物を楽しんだり景色を楽しんだりしたいわ!という気持ちが最近、ルチシャの中ではむくむくと大きく膨らんでいる。



料理の勉強も始めたばかりだし、まだもう少し実家で過ごしたいの…!と願ったルチシャに、ヘイゼルは大層渋々ながら譲歩してくれた。


本来であれば、森に滞在して森の力の宿る食べ物を毎日摂ることで体を異界に慣れさせ、儀式に於ける負担を軽くするのだという。そのため、少なくとも儀式の一カ月前にあたる七月の半ばまでには森へ移住するようにと言われている。

猶予期間は残りおよそ三か月。

ルチシャは森と伯爵領を行き来することが許された一方で、毎日、第九の森で採れた蜂蜜を摂取することと森で採れた木の実(ヘーゼルナッツ)を食べることが義務付けられた。



「あちらへ戻る際に蜂蜜と木の実をお持ち帰りになるのですよね?栄養価が高く精霊にとっては大変価値あるものですので、悪用されないようお気をつけください」


「ええ、そう伺いましたので、木の実に関してはヘイゼルから直接給餌していただく形で補給するのはどうかと相談しているところです。蜂蜜は小瓶で頂くものを飲み物に混ぜて毎朝大切に飲用するつもりですが…」


「可能であるなら、そちらが宜しいかと。人間の価値観でみれば不思議に思えるでしょうが、ヘイゼル様の森で取れた木の実は蜂蜜よりも遥かに価値が高く、魔女や精霊にとっては喉から手が出るほど欲するものなのです。奥方様が不埒な輩に狙われないよう、ヘイゼル様が管理するのが安全でしょう」



毎日奥方様とお会いできるとなればヘイゼル様も嬉しいばかりでしょう…と頷いたホーステールは、視線をチラリと奥へ向けると、ひそひそと声を潜めた。


今は第九の森の入り口にあるホーステールの家の庭先に立っており、風に運ばれてくる土と若葉のにおいを堪能しながら「今日からまた数日間お世話になります」と挨拶を交わしたところだ。

庭で土いじりをしていたホーステールは快くルチシャを迎えてくれたのだが、ルチシャをここまで連れてきたヘイゼルは少しそっけない態度でふたりから離れ、春めいてきた庭をひとりで散策している。



「………もしかして、機嫌を損ねておられます?」


「ええ……私があちらとこちらとを行き来して、それぞれで必要な花嫁修業をおこなう…ということで一応の決着は付いたのですが……。

巻き込まれていた騒動について、春までにと解決を急いでくれていたのが、まさか私を早く森へ迎え入れる為だとは思いませんでした」



相手方の目的が『国盗り』であり、ローアンを敵視しているのだと判明したのが二月の初めのインボルグでのことだ。そして問題が解決したと告げられたのが三月初旬のこと。

一歩間違えれば他国との戦争に発展しかねなかった大問題が、まさか一か月程で解決するなんて思わなかったし(むしろ結婚までに無事に解決できるのだろうかと不安視していたくらいだ)、ヘイゼルがそんなにも早く自分を森へ迎え入れようとしているとは露とも知らなかった。


元凶は叩き潰したものの、まだ、スナヅルという寄生植物に身体を乗っ取られた魔女がひとり見つかっていないのだという。安全面も考慮して早く森に迎え入れたいヘイゼルと、もう少し実家で色々と支度を整えたいルチシャとの話し合いは並行線で、説得には丸一日かかり、眠気と疲労でヘロヘロになりながらどうにか了承を得たのだ。



「実際に早く解決できるかわからなかったため明言出来なかったのでしょう。更に言えば、儀式前に必要な行程についてあの方が雑に説明を省いたせいでもあります」



ヘイゼルにも非があるとピシャリと断じたホーステールは、「中でお茶にしましょう」と花壇のほうにも声を掛け、家に戻ってしまった。

ルチシャは少し途方に暮れたが、のっそりと散策から戻ってきたヘイゼルと共に室内へ入る。


ホーステールの棲家は相変わらず複数種類の薬草が混ざった独特な香りに満ちているものの、冬にお邪魔した時よりも華やかで柔らかな感じが強くなったように思う。

よく見れば天井から下げられ干されている草たちも、緑一色ではなく薄紫や黄色の花を付けたものがチラホラとあるようだ。


準備してくれたお茶は前回に引き続き魔法のように彩り豊かな風味で、薬草のことに詳しくない素人でも、これはきっと凄いブレンドに違いないわ…!と慄いてしまう程に複雑で繊細だ。


テーブルに置かれたお茶菓子は第九の森特製のポルヴォロンで、本来はアーモンドを使って作る生地をヘーゼルナッツで作っているという。油分や風味の違いなどを研究し尽くし、ほろほろとほどけるように崩れる生地は絶妙な配合と焼き加減で形を保っている。


噛まずとも飲み込めてしまう素晴らしい口溶けのお菓子をいただいてから、ルチシャは隣で黙々とお茶を嗜む竜王の顔を覗き込んだ。



「ヘイゼル……まだ怒っていますか?」


「怒ってはいないけれど……きみを独り占めできると思っていたから落胆しているかな」


「婚儀のあとの蜜月のあいだは、ずっと二人きりなのでしょう?」


「けれども蜜月だからね……」


蜜月とそうでない期間とでは何か意味合いが異なるのだろうかと首を傾げたくなる。

正直、秘匿とされているため婚姻の儀式がどのようなものかも良く把握できていないのだが、もしやその後の蜜月も世間一般的に知られている蜜月とは違うものなのだろうか。


「………後程、蜜月についてもう少し詳しく教えてくれますか?それとも婚姻の儀式のように秘匿されているのでしょうか」


「蜜月は言葉のまま、二人で愛を交わしあう日々のことだ。数週間から…長ければ数ヶ月間、睦み合い、愛を育む期間だね」


「…………ずっと?」


「さすがに休憩はするけれど、気の向くままにいつでも幾らでも」


「………。」


「………補足いたしますと、その前に魂ノ緒(たまのお)結びの儀式をおこないますので、奥方様もちょっとやそっとでは儚くならない身になられている筈です。どうぞご安心ください」


すっかり言葉を失ってしまったルチシャに、すかさずホーステールからのフォローが入る。それがなければ、ルチシャは蜜月の中止…あるいは短期間での早期解放を願ったことだろう。


「そ、そうでしたね……儀式によって純粋な人間ではなくなるのを失念していました。恥ずかしさ云々の前に、蜜月期間中に何度命の危機を迎えるだろうかと真剣に考え込んでしまいました」


「蜂蜜酒や薄めた蜂蜜水、なによりもヘイゼル様の原木の実を御召しになりますので、お籠りのあいだの食事の心配はございません」


ですので存分に二人きりの時間をお過ごし頂けますよと優しく告げられても、つまりその期間中はずっと閨事に耽っているという事に他ならないわけで。

どうしましょう…自分から話題にあげたものの居た堪れないわ…と視線を彷徨わせるルチシャに、ホーステールは容赦なく言葉を続ける。おそらく、圧倒的説明不足なヘイゼルをフォローしてくれているのだろうが、生娘な乙女には若干、刺激強めの話題である。



「厳密には結婚してからの一ヶ月間を蜜月というのですが、お籠りの期間は個人により異なると聞きますし、奥方様の場合は魂ノ緒結びの儀式のあとですから様子を見ながらの進行になると思いますので、少々長引くことを想定されたほうがよいでしょう」


気持ち的には居た堪れないが、知っておかねば困るのは自分だと思いルチシャは一生懸命ホーステールの説明を頭に刻んだ。

魂ノ緒結びという死の精霊にしか成し得ない秘術中の秘術を使ってもらう以上、間違いなくルチシャの体には大きな負担がかかるだろう。

意識が朦朧としている間にすべて終わっていましたという状況はさすがに嫌なので、最初の一回は絶対にルチシャの意識が明瞭になってから挑んで欲しいと念押しして頼んでおかねばならない。

その後はまあ…気力と体力がどれだけ続くかもわからないので、成り行きに任せるしかない。


羞恥を押し留めながらそう決心したルチシャの斜め向かいで、ホーステールは哀愁を漂わせつつ儚く微笑んだ。


「可能であればサーウィンの宴には参加したいので、それまでに出てきていただけると嬉しいですが……」


「あ、今年のサーウィンは欠席だよ。念のためにね」


今まで口を閉ざしていたヘイゼルに不意打ちでトドメを刺されてしまったホーステールは、欠席という言葉にカッと目を見開いたあとテーブルに突っ伏してしまった。

器用に茶器にぶつかるのは避けたようだが、ゴチンと打ち付けた額は赤くなっているだろう。

「酒…命の酒…」と微かに聞こえる声が何とも哀れだ。



「…………見るからに萎びてしまいましたね」


「一年間禁酒したくらいでは死なないから大丈夫」



そんなに恋しいなら僕が調合した薬酒を飲むかい?と問いかけられたホーステールは「いいえ!」と全力で拒絶した。


あとから聞いた話では、ヘイゼルが調合する薬酒の中には、匂いは蘭のように芳しいのに味が毒劇物でしかなく、服用後はその前後ひと月の記憶が飛ぶような危ない代物があるのだという。

蜂蜜酒などの普通に美味しいお酒も作れるが、魔女の宴で出される酒に近づけようとして調合されると確実にヤバいものが出来上がるため、いくら幻覚剤入りのアブナイお酒が好きなホーステールでも絶対に手出ししたくないそうだ。


全力拒否の意思表示で力尽きてしまったのか、机に突っ伏したままホーステールは弱々しい声でヘイゼルに問いかけた。



「まだ……何か……御懸念がおありなのでしょうか……」


「しぶとく生きていて何よりだよ。……リンゴの新しい恋人は妖精の国に居るそうだ。今回の件に関与している可能性は低いが、僕の封印に彼女の宝石(エメラルド)が使われていた以上、念のためにね」



ヘイゼルの言葉を耳にしたホーステールはむくりと起き上がった。

真剣な表情には僅かに鋭さが潜んでおり、赤くなったおでこの真ん中は見ないふりをして、ルチシャは急に緊張感を漂わせ始めた二人の会話をそっと見守る。



「………………それはどなたから?」


「ニワトコだよ。彼女は地上に於ける大きな抑止力の一つだ。ゆえに、その忠告は素直に受けておこうと思っている」


慎重な問いかけに対する返答を聞いたホーステールは、腹の底から深々とため息を吐き出した。


「………………今年のサーウィンは諦めます」


「そうするといい。きみが不確定な要素で害されると、こちらへの影響が大きい」


「それだけ貴方の森に貢献できていると思えば光栄です。……奥方様、どうぞごゆっくりお籠りください。私はおふたりのご成婚の祝い酒をたらふく飲んで、お戻りをお待ちしております」



結局お酒は飲むのねと言いたいところだが、納得しながらも落胆が隠せないということはそれだけ魔女の宴で出されるお酒は特別なのだろう。


どちらにせよサーウィンの宴に参加できないのなら…とお籠り期間への希望申請を取り下げようとしたホーステールは、ハッと何かに気付くと「インボルグまでには出て来られますよね!?」と必死の形相で尋ね直したが、ヘイゼルは微笑みを深めただけで応とも否とも言わず、「宴への参加の可否は状況次第だ。僕の許可なしに参加することは許さないよ」と更なる追いうちをかけていた。



ルチシャの記憶が間違っていなければ結婚式からサーウィンまでふた月以上あるし、インボルグとなれば半年近い期間になる。さすがにそこまで籠り続けることはないだろう。

ホーステールは絶望に打ちひしがれて皺々に萎び始めているが、どう考えてもヘイゼルは酒好きのホーステールを揶揄って楽しんでいるだけだ。


蜜月のことは概ね理解できたから、そろそろ別の話題に変えて欲しいわ……と思うルチシャの向かいで、ヘイゼルは静かに微笑みを深めていた。








「……私は結婚前に恥じらいを捨てるべきなのでしょうか」



すっかり萎びてしまったホーステールにお土産のお酒を渡してどうにか励ましたあと、およそ三ヶ月ぶりのヘイゼルのお屋敷に至ったルチシャは、正式に自室として賜った元客間なお部屋のクローゼットに冬物の衣装を吊り下げながら物憂げなため息をついた。

寛いだ様子でルチシャの部屋のソファに座っていたヘイゼルは、その呟きを聞いておや?と眉を上げる。



「ホーステールが羞恥なく言葉を重ねるのは、蜜月期間中の行為そのものを儀式的なものとして捉えているからではないかな。でも、食事のこともあるし、結婚した後も寝所に籠るときは籠ると宣言することになるかもしれないね」



貴族の生活でもリネンの取り替えや朝の身支度などで使用人たちには当然バレてしまうのだが、そのようなことは暗黙の了解で粛々と処理されるのが常だ。

「これから致しますので食事は不要です」と堂々と宣告するようなものではないと思うし、それを避ける為にはやはり、食事の支度くらいは自分で出来るようになっておく必要があるのだろう。

だが、令嬢生活の長かったルチシャにとって食事の支度はなかなか難易度が高く、お膳立てされた状況で手順通り作るならまだしも、食材の選別から下拵えなども含めてイチから全て自分でとなると途中で挫けてしまいそうになる。



「……今日もホーステールさんからの夕飯のお届けを期待しても良いのでしょうか」


「今日の分としてパンとスープと焼き野菜をすでに預かっているよ。菜食の日で、料理に肉も魚も使っていないからと瓶入りの牛乳も用意してくれたようだ…それと食後のお菓子付きだね。スープは小鍋で預かっているから、せっかくだし温め直してもらおうか」



菜食とはいえ食後のお菓子まで付いた至れり尽くせりな内容に思わず感動してしまう。


当然ながらヘイゼルを含む歴代の守護者たちは食事を作って食べる必要がないため、屋敷には厨房がない。

スープを温め直すためには再びホーステールの家を訪ねる必要があると聞き、ルチシャは冷たくても大丈夫だと首を横に振った。


さしたる手間ではないよとヘイゼルが一人で向かおうとしたためルチシャは慌ててその背を追う。

正直、温かいスープはとても嬉しい。でも、やっとの思いでのぼった長すぎる大階段を再び昇降することを考えると、冷たいままでも良かったのだ。



「暖炉に火を入れても構わないけれど、鍋を置く場所がないし、適当に火に晒したとしても加減がわからなくて焦がしてはいけないからね…」


「……とても失礼な質問かもしれませんが、ヘイゼルは樹木の精霊ですが火が恐ろしくはないのでしょうか」


ルチシャからの問いかけに、ヘイゼルは至極優しく微笑んだ。


「………身投げをしろと言われると困るかな」


「そんな物騒なことは言いません…生活で扱う程度の火を想像してください」



てっきり僕を懲らしめる方法を探しているのかと思ったと言われ、樹木の精霊に対して火を使おうなどという極悪非道な考えは持っていないわ…と渋面になってしまう。

相手がルチシャの身を脅かす存在であるならいざ知らず、恋人なのだから、懲らしめるにしてももっとやり方があるだろう。



「なくても生きていけるけど、有用であることは理解しているし、古くから多くの儀式や祭事で使われているから必要以上の恐怖は感じないね。

火は純粋で清らかなものであると同時に、我が身を損ない得る理不尽な存在でもある。けれどもそれは、火に限らず、水や大地や風にも言えることだ」



水に沈めば腐り、風で幹が折れることもある。大地の恩恵を奪われれば枯れ、火に炙られれば燃えてしまう。

けれども樹木は、火勢を助け、水を蓄え、大地に根を張り、大気の循環を担うものだ。



「僕はホーステールの丁寧な過ごし方が好きだし、彼が火を使って煮込んだジャムや、窯で焼いたお菓子を好んで口にする。火の恩恵は常々感じているよ。

けれども、森やそこに住む精霊たちへの影響もあるから、火を使う彼の家とその周囲は丁度あちらとこちらの境界線上に置いてある……厳密に『太古の森』と称されるのは彼の家の裏口から出たこちら側だけ。

ルチシャも自由にお菓子作りや料理をしたいだろうから、諸々落ち着いたらホーステールの家の近くにもう一軒小さな小屋を建てる予定だけれど……境界線上は何かと不安定だし、彼の家が森と外界を繋ぐ門である以上、何かと訪問者も多いからね。位置取りや目隠しをどうするか話し合っている最中かな」



まさかそのような準備をしてくれているとは知らず、ルチシャは目を瞠った。

ヘイゼルはルチシャに「人間をやめてくれるかな」と尋ねておきながらも、これまでの生活を全て捨てろなどと強要することはない。

本を読みたいならば叡智と歴史の詰まった書庫に出入りして構わないと言うし、料理がしたいのならば設備を整えた小屋を用意してくれるという。屋敷の主人であるヘイゼルの部屋だって、出入り自由で自分の部屋のように使って良いよと言ってくれる。


その思いやりのすべてがルチシャをこの森に閉じ込めるための方策だとしても、足枷や呪いで縛り付けるのではなく、抱擁にも似た優しさで束縛されるのであれば何ら苦ではない。


繋いだ手をぎゅっと握って「初めてのお菓子はヘイゼルのために作りますね」と見上げると、抱き上げられて額に口付けが落とされる。

そのまま残りの階段を下りたヘイゼルはどうやら、ルチシャの足が疲労で震えていることに気付いていたようだ。ホーステールの家まで抱えたまま連れて行ってくれた。




裏口の扉をノックすると、顔を出したホーステールはまずルチシャに目線を合わせ、それからヘイゼルを見上げて驚愕の顔で固まった。


「え…ノックしました…?まさかヘイゼル様が…?」と慄いているのは見間違いではないだろう。

「今度から蹴破って入るよ」と冷たく微笑むヘイゼルに「扉は壊さないでください」と頬を引き攣らせている。


ルチシャを下ろしたヘイゼルはどこからかスープの入った鍋を取り出した。

ヘイゼルと鍋…ミスマッチだが少しばかり可愛い組み合わせねと、ルチシャは小さいお鍋を両手で丁寧に持つ恋人の姿を目に焼き付ける。



「スープを温めてくれるかい?」


「これから夕餉ですか?…ちょうど良かった。焼きたてですので、よろしければお持ちください。すでにお渡ししてあるパンは三日程持ちますので、お夜食にでも小腹がすいた時にでもどうぞ」


受け取った小鍋を厨房の火に乗せながら、ほこほことまだ温かいパンを籠に入れてくれたホーステールに礼を告げる。

クロモジとナッツの入ったパンは表面がカリッと焼けていて、中はモチモチと弾力のある生地なのだという。オリーブ油と塩を振って食べても美味しいですよと小さく添えてくれた小瓶がなんとも小粋だ。


「ヘイゼル様も御召しになりますか?」


「半分もらおうかな」


ルチシャの掌大のパンを半分に切ったサイズだが、ヘイゼルが食べるにはしっかりした量に感じられる。

くつくつと温まった鍋を持ち帰るのは大変そうだと考えていると、いっそここで夕飯を食べて行こうかという話になり、リビングの円形テーブルに手早く三人分の料理が並べられた。


当然ながらルチシャの食事量が一番多いのだが、ホーステールも今日は朝からジャムの味見以外していないと言い、軽い一食分となる量を並べている。

ヘイゼルの前には焼きたてのパンとグリューワインが置かれ、葡萄酒も飲むのねとルチシャは少しだけ意外に思った。



ホーステールの食前の言葉は簡潔ながらもどこか崇高な印象で、古い魔女たちが森の恵みに感謝するときに歌っていた歌詞の一節なのだという。ヘイゼルはひとつ頷いて、ワイングラスを傾ける。

ルチシャも短い食前の祈りを捧げるとパンが冷めないうちにとひとくち頂き、その美味しさに頬を緩ませた。


ホーステールにおすすめの塩加減やオリーブ油の付け方を聞きながら焼きたてパンを完食し、熱々のスープと新鮮なサラダをいただく。

結婚したらこんな風にお腹いっぱい食べる機会は無くなってしまうのね…と思うとやはり少しだけ悲しい。



「ルチシャの為に用意する家だけれど、広さは此処くらいで足りるかな?」


「十分すぎるほどです。それに、ここまでたくさんの収納は必要ないかと…時々お料理をするくらいでしょうから」


「自由にできる空間があると何かと便利ですよね。秘密基地や夫婦喧嘩の際の避難所としても使えますよ」


小ぶりのサラダを食べながら得心気味に頷くホーステールに、ヘイゼルは片眉を上げる。


「喧嘩をしたからといってルチシャを屋敷から追い出しはしないよ」


「ヘイゼル様の顔を見るのが嫌になったときに、自発的に閉じ籠るための避難所ですよ」


「………必要かい?万が一閉じ籠るにしても自室で事足りるだろう」


「とはいえ、そのような時は物理的な距離も取りたくなるものです。今暫くは、ご実家に戻るという手もありますね」



精霊ではあるものの、人間の思考も理解しているホーステールの意見はなかなか的確だ。

喧嘩の程度次第で、部屋に閉じ籠る、家を飛び出す、森からも出奔する…と三段階の対応が出来ると知り、ルチシャはなるほどと頷いた。

とはいえ、実家への帰省は当主である父が受け入れてくれればの話になるし、森から家までどのくらいの距離があるかもわからないためあまり現実的ではない。



「ホーステールさんはヘイゼルと喧嘩した事がありますか?」


「いえいえ、そもそもご不快にさせたらこちらがえいっとやられるだけで、喧嘩になりませんから。でも奥方様が相手だとそうもいきませんからね……ローアン様のところも今だにパートナーとの喧嘩や家出の騒動がよくあります」


「ルチシャは怒ったらどうなるんだろうね……他の森の守護者であるアイラやクェウルは相手をなぶり殺してしまうくらいの激しさがあるけれど、ルチシャのああいった姿は想像出来ないな」


「あのお二方は特殊すぎます……せめて鍋や棍棒で力いっぱい殴り掛かられるくらいでは?」


「殺人は罪だと教育されているので過激な暴力行為には至らないと思いますけど……胸の内側の感情が発散できないと、わぁっと叫んで森を走って転げ回るかもしれません?」


「うーん……それは……逆に困りそうだな……」


「最初は笑って見ていられそうですが、程度によっては目を覆いたくなるでしょうね」



植物の精霊は誰かを犠牲にすることが基本のため、ひとりで発散しようとするルチシャのようなタイプは逆に扱い方がわからないという。

草花は周囲を巻き込むように喚き散らし、樹木は対象をがっちり掴んで締め上げるタイプが多いそうだ。

となればホーステールさんは喚き散らすのかしらと思えば、彼は「私は恨みを深めて裏で報復する陰惨なタイプですよ」と爽やかに告げた。

スギナは地下茎を伸ばすものだし、そうでなくともこの二人は呪ってしまう系の主従なのだ。

内側に溜め込むという点ではルチシャもこちら寄りなのかもしれない。



「でも、気軽にお買い物をしたりお出かけしたりは出来ないでしょう?となるとやはり、人を傷つけない程度にジタバタと暴れるか、お屋敷を出て避難所なおうちに閉じこもるかになりそうな気がします」


「気晴らしの外出だとしても、安全性を考えればやはりヘイゼル様を同伴なさるべきでしょうね」


「あ。ローアンと愚痴を言い合います?」


「ああ……何だかあの子のニヤニヤ顔が思い浮かんで不愉快だなぁ。というか仲直りはどうやったらいいんだろうね。命を奪い合わない喧嘩はあまりしたことがないからわからないな」


「ヘイゼル様は絶対に『ごめん』と素直に謝らないでしょうしね」


「………気が向いた時に謝罪の練習しておくよ」



ヘイゼルとホーステールとの会話は、ローアンと話している時とはまた別の側面での竜王の一面が見えるなぁとルチシャは微笑ましく思う。


これまでルチシャは、使用人達を含む多くの者が住む屋敷で暮らし、多くの者に助けられながら生活してきた。

呼べば応じてくれるものの常にべったり引っ付かれているわけではなく、けれども家のなかには常に誰かしら居るのが普通で、完全な孤独のなかで暮らしたことはない。

だが、森での生活が始まれば、ここに居るのは基本的にヘイゼルとホーステールだけ。


もう随分と知った気になっているが、まだまだ深掘り出来そうなヘイゼルと共に、これから様々な経験をしていくのだと思えば感慨深くもある。




夕食を終え、お疲れでなければ婚礼衣装の確認をなさいますか?と尋ねられたためルチシャは二つ返事で頷いた。

どんな衣装が誂えられているのか、楽しみでもあり、ちょっと恐ろしくもある。


そういえばと思い出して髪結いについて尋ねてみると、ホーステールは「多少出来そうな気もしますが、ヘイゼル様と奥方様の髪に触れるという事が畏れ多いですね」と難しい顔をした。

確かに、テンポよく会話する姿は見かけるが、ホーステールがヘイゼルに触れている姿は殆ど見かけない。



「そもそも私が奥方様の髪に触れても宜しいのですか?」


「薄手の手袋を嵌めるといい。草木を編むときも軍手を着けているだろう?」


「そうですが、草木編みと髪結いは流石に勝手が違いますので…」


草や蔦、木の枝を編んで籠などを作ることはあるし、自分の髪を一本結びにすることはあるものの、他人の髪には殆ど触れたことはないというホーステールは、ヘイゼルからの無茶振りに対してやはりさすがに荷が重いと首を横に振る。

ルチシャは簡単な三つ編みくらいなら手早くできるが、人の髪はもちろん、自分の髪をオシャレに纏め上げる技術は持ち合わせていない。練習次第では今より多少の改善は見られるだろうが、頼めるのなら誰かに結んで欲しいと思ってしまう。


三人寄っても良い知恵は浮かばず、ひとまず髪結い問題はまた後日改めて考えるとし、ルチシャたちはドレスを見るべくヘイゼルの屋敷の一階にある広間へ向かった。



前回の訪問の際に一度足を踏み入れたことはあるものの、やはり先々代の作った一階部分は大きさも装飾も圧巻で、ルチシャは迷わぬよう早足で男性ふたりについて行く。



「え!?ドレスのデザインはお二人で決めたのではないのですか?」


「ええ…ヘイゼルが全て手配してくれたので、今日初めて拝見するんです。ホーステールさんはどのような衣装かもう見られました?」


「ええ。僭越ながら私が広間に運び込ませて頂きましたので……素晴らしい出来栄えですし、奥方様にとても良く似合われると思いますよ」


驚かれながらも優しく頷いてもらい、ルチシャの緊張が少し解れる。


「ですが、デザインの選定には参加なさらなくて宜しかったのですか?」と問われ、実はいつドレス選びや注文が行われたのかすら知らなかったのだと白状すれば、ホーステールはヘイゼルに非難の籠った目を向けた。

先を行くヘイゼルは「ルチシャに似合うデザインにしたのだから問題ないだろう」とどこ吹く風だ。


まあ特にこだわりはないし、もしも実際に注文の場に同席していたら、使用される布や糸の稀少さに堪らずひっくり返ったことだろう。もしかすると、そこまで高価な素材は使わないで欲しいなどと口を挟んでしまい、せっかくの仕立てに水を差す結果になっていたかもしれない。

そう思うと、ヘイゼルが心のままに選んで仕立ててもらったドレスを受け取る様式で正解だった気がする。



(胸が小さいのは隠しようもなくバレているから、胸部を強調するようなデザインではないだろうし…)


ヘイゼルの見立てを信じよう、と決意を固めたところで、壮麗な両開きの扉の前に辿りついた。

玄関扉と同じく三メートル近くある装飾的な大扉をヘイゼルは軽々と押し開ける。



そこは王宮をも凌ぐ豪華絢爛な大広間で、真ん中にひとつのトルソーが立てられていた。


大窓から差し込む月明かりに照らされた純白の婚礼衣装に、ルチシャは言葉を忘れて魅入ってしまう。



遠目に見ただけでその美しさに圧倒されたというのに、扉を閉めたヘイゼルにエスコートされてすぐ近くまで寄ると、今度はその繊細すぎる出来栄えに呼吸すら忘れてしまいそうになる。


ふわりと膨らむパフスリーブの袖と腰から滑らかに落ちるスカートは柔らかなシフォンで出来ており、触れてみればあまりの柔らかさと軽さに息を呑む。

胸元はデコルテが見えるくらいの上品な開きで、艶のある純白の糸で余すところなく繊細な刺繍が施されている。


ドレスの刺繍には豊穣の時代の絹糸のなかでも最上級の白糸を使っていると言われ、堪らず背筋が伸びた。

背面も美しいですよと示された箇所には、透明にも近い極めて薄い生地に上品な刺繍が緻密に施されており、着れば素肌に柄が浮かび上がるように見えることだろう。



輝くような白で満たされたドレスは、月の光に照らされて一層に美しく見えた。



あまりの壮麗さと上品な佇まいに、自分の為に用意された衣装だとなかなか信じることが出来ず、ルチシャは堪らず、確かめるように何度もヘイゼルを見上げてしまう。

柔らかい微笑みと共に「ルチシャの為に用意したものだよ」と告げられ、胸がいっぱいで涙が溢れそうになった。



言葉を失ったままひたすらドレスを見つめるルチシャに、ヘイゼルは「着てみるかい?」と言ってくれたが、どう考えてもこれをひとりで着用するのは難しいだろう。



「奥方様がお嫌でなければ、私がお手伝いしますが…」


ホーステールの申し出に眉を顰めたのはヘイゼルだ。

ルチシャとしては、このドレスをひとりで着て取り返しのつかない失敗を犯すくらいなら、誰でもいいから手伝って欲しいと切に思うのだが。



「花嫁のあられもない姿を、きみが見るつもりかい?」


「あられもないというか……まあ、下着姿は拝見することになるかと…」


「………目を潰す?」


「いえ、それでは身支度のお手伝いが出来ませんので。男性を遠ざけたいお気持ちはわかりますが、動物型の精霊に補助は難しいでしょう」


「じゃあ明日にでもローアンを呼ぼう。ルチシャ、試着は明日でもいいかな?」


「はい、勿論です」


「試着はそれで宜しいかと思いますが、当日はどうなさいますか?ローアン様のように力の強い存在が儀式の日に森へ出入りするのはよろしくないかと」



ホーステールの指摘にヘイゼルは再び渋面になる。

ルチシャとしても、試着で大丈夫だったし当日は自分で頑張ってねと放り投げられるのは困るし、むしろ当日こそ失敗出来ないのだから絶対に誰かしらの補佐が欲しい。


ローアンは儀式当日に森への立ち入りが出来ず、ホーステールはヘイゼルの心情的にダメ。

となると…


再び三人で頭を悩ませることになるのかしらと思っていると、ヘイゼルが思い出したように呟いた。


「……きみの義妹は、きみの侍女になりたいのだったね?」


その問いかけに、ルチシャは目を瞬く。

咄嗟に頷いてしまったが、もしかして儀式当日、リリアンナを侍女代わりに森へ招聘するつもりなのだろうか。

ルチシャの頷きに得心気味に頷き返したヘイゼルは、ホーステールにテキパキと指示を出す。



「ホーステール、ナイオンに渡せるものを倉庫から集めてくれるだろうか」


「リスの奥様宛ての贈り物ですね。であればちょうど良いものが御座います」


「世界樹の樹皮の欠片とローアンの枝を貰って補助させれば、身支度の間は滞在することもできるだろう。ローアンは何を欲しがるだろうね」


「楽器は如何ですか?奥様が竪琴を好まれるでしょう?」


「ああ…ではそれでいいか。明日来たついでに交渉するから用意しておいてくれるかい」


「カエデ、トウヒ、クルミ…どの素材のものが好まれるでしょうか。カバノキもありますが、そちらは上質なものを既にお持ちだったかと」


「……サクラかな。以前、欲しいと言っていた気がする。サイズは小ぶりだがあの子の嫁には丁度いいはずだ」



ヘイゼルとホーステールの手早いやり取りを呆気に取られたまま聞いていたルチシャは、義妹(いもうと)への交渉を任せていいかな?と問われ、慌てて頷いた。


今年社交界デビューしたリリアンナは色々と忙しくしているため、一方的かつ急な決定には確実にお小言をもらうことになるだろう。けれど、ルチシャの花嫁姿を見ることが出来ないのを惜しんでくれていたため、もしかすると少しは喜んでくれるかもしれない。


結婚式は八月の終盤。避暑のために領地へ帰ってきている時期とはいえ、ドレスの着付けや花嫁の身を飾る手伝いをするとなれば多少の練習や心構えも必要になる。事前に伯爵と義母にも話を通しておいた方がいいだろう。



(この様子だと、髪結いもリリアンナに頼むことになりそうね……私とヘイゼルが結婚することで一番振り回されているのはローアンだけれど、次点ではリリアンナなのかしら)



ホーステールは飄々としており、立ち回りが巧みなため振り回されているという感じはない。

強いて言えばお酒関連の被害は受けているものの、そちらはヘイゼルを封じた魔女に由縁するものだ。




翌日、着付けの補助に来てくれたローアンが仕立てられたドレスを見るなり天を仰いだまま暫く言葉を失うという一幕を挟みながらも、ルチシャは無事にドレスの試着を終えた。


サイズに間違いはなく、頭の先から爪先まで正にルチシャの為に誂えられた衣装で、一体いつの間にサイズを測られたのだろうかとドキドキしてしまう。


インナーにヴェール、靴、装飾品と全て抜かりなく整えられており、本当に着のみ着のまま嫁いでも問題ない仕様なのね…と圧倒されたくらいだ。


ローアン曰く、胸元の刺繍どころかレースやシフォン生地に至るまで全て絹糸で出来ており、何処もかしこも、極細の糸を織り上げた最上級のものだという。



「豊穣の時代は人間たちも営みに余裕があったから、手間をかけた高品質の織物や絹糸が多く出回ったのよ。絹糸は虫が好むし日光や汚れにも弱いから保存が難しい面もあってね…私もいくつか持っているけれど、どれも色染めされたものだし、ここまで白く保たれたままの糸があったなんて、この目で見ても尚信じられないわ。

……もし、お従兄さまがこの生地や糸を、いつか自分のお嫁さんの為にと大切に取っておいたのだとしたら、お従兄さまのこれまでの孤独の長さを知る身としては言葉にならないものがあるわね…」


「ローアン……」


「当日はお祝いに来れないけれど、貴女の幸福を願うわ。なにより……お従兄さまをよろしくね」



真鍮色の瞳に宿る感情は柔らかく、そこには確かに、家族のように近しい相手を思う気持ちが溢れていた。

泣きそうになりながら「はい」と頷き、衣装に涙が落ちないよう慌ててハンカチで目元を押さえる。



式の当日はローアンが森の入り口までリリアンナを送り、着付け仕事を終えたリリアンナの回収もしてくれることとなった。


報酬としてサクラの木で出来た小ぶりの竪琴と、稀少な天然石と金で出来た髪飾りを貰ったらしく、お従兄さまの宝物庫の中身が貰えるなんて本当にルチシャのおかげねと上機嫌で帰って行った。





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