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君に会って話がしたい  作者: くろねこ
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メッセージ


『大塚くん、よく聞いて。私、未来に居るの。だから、未来で待ってる。今は会えないけど、いつか・・・いつか未来の私に、必ず会いに来て。』



『それで、もし会えたら・・・その時は、一緒にカフェに行こう!』



『未来で、待ってるから。』




 ・・・意味が分からない。



 何も言葉が浮かばなかった。



 未来で、待ってる?



 花村さんは、何を言っているんだろう?




「颯太、いるんでしょう?誰かと電話してるの?・・・・お寿司、たくさん余ってるわよ。せっかく頼んだんだから、もっと食べていいのに。」



 ドアの外から母親の声が響いた。



「ごめん、また後で掛け直すよ。」

『え!? 今のって・・・待って!大塚くん!待って!!!』



 通話を切った。



 スマホの画面が切り替わり、自殺の仕方の紹介をしているホームページに戻った。



 その画面を見て、考える。



 僕の前に道はない。



 そもそも、はじめから



 僕が自分で考え、



 選んだ道など無かった。



 それに、



 敷かれたレールの上を歩くことは、もうしたくない。



 誰の言う事も聞きたくない。




 だから、




 今夜、全て終わらせる。





 それにしても・・・





 誰にも会っていないし、知られないように振る舞っていた。



 両親だって、気づいていない。



 でも、花村さんは、僕のしようとしている事を知っているような気がした。



 ほんの数回、あの少しだけの会話で、僕の気持ちに気がついたのだろうか。



 そんな筈、無いと思う。




ーー未来で、待ってるからーー




 あれはどういう意味なのだろう。



 今、大学に通っているであろう花村さんからの電話なのか。



 どうも、違う気がする。



 じゃあ、本当に未来から・・・?



 そんな訳ないよな。



 からかわれたんだ。



 でも、それにしては



 真剣な声だった気がする。



 そういえば、



 カフェに行こうと誘った事は



 うやむやになってしまった。



 ・・・いや、もういいんだ。



 僕は今日死ぬ。



 だから、関係ない。



 もう考えるな。



 考えるな。




 僕は、暗くなったスマホの画面を見つめた。





※ ※ ※





 電話を切られてしまった。



 慌てて掛け直すと、「この番号は使われておりません。」と流れた。



「・・・なんで?」



 もう一度掛け直すが、やはり同じだった。



 さっきまで同じ番号に掛けて繋がったのに、なぜか今はどこにも繋がらない。



 当時の記憶を思い出す。



 たしか大塚くんは夏休みが明けてすぐ、自殺したと聞いた。


 

 実家で亡くなったと。

 


 さっき、電話越しに蝉の音が聞こえた。



 あれは、ヒグラシの鳴き声だった気がする。



 夏の終わりの虫・・・。



 途中で聞こえた女性の声を思い出した。



 口調から、おそらくお母さんなのだろうと思う。



 実家・・・かもしれない。

 


 嫌な予感がする。




 もう一度電話を掛けてみたが、やはり、繋がらない。



 一晩中、大塚くんから電話が来るのを待った。



 次の日も、電話が来るのを待った。



 だが、スマホが鳴る事は無かった。



 それから彼の声を聞く事は、一度も無かった。



 ご飯を食べている時、仕事をしている時、夜ベッドに入って眠りにつく時。



 彼の事を思い出した。




 ーーーー彼はどうなったのだろう。




 私と話をして、思い留まってくれないだろうか。



 未来は、変わらないのだろうか。



 無理かもしれない。



 ほんの数回、それも少しの間しか、話をしていないから。



 それでも、彼に未来を描いて欲しかった。



 未来であなたに会うのを楽しみに待っている私がいる。



 ーーーーそう、知って欲しかった。



 気づかない内に、涙が出てくる。



 なんで死んじゃうんだろう。



 何があったんだろう。



 大事な事は、何も聞けなかった。



 でも、生きていて欲しい。



 一緒にカフェに行ってみたかった。



 未来に居るってなんだよ、って



 変だって、笑われてもいいから、



 目を見て話してみたかった。



 ・・・お願い、生きて。



 諦めないで。

 


 あなたを待っている私が居るから。



 未来で、待ってるから。




 想えば想うほど、涙が止まらなくなる。




「私は、あなたに・・・



あなたに、会いたい。



会いたいよ。



・・・・・・。」




 ーーーー私の願いは、




 彼に届かないのだろうか。



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