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君に会って話がしたい  作者: くろねこ
2/7

思い出せない


 必死に勉強して入った大学には、僕より頭のいい奴が山ほどいた。


 苦手な科目で僕の成績は奮わず、新しい環境で友達を作るのも苦手だった。



 結果、僕はいつも一人で授業を受けた。



 友達を作れた奴らが羨ましく、それができなかった自分は駄目な人間だと改めて思った。



 1学期の通知表を見て、愕然とした。



 必修単位をいくつか落とした。


 いくら勉強しても面白くなんてない。


 ついていけない事の方が多い。



 授業中は、一人だ。


 友達もいない。


 


 ・・・もうやる気も起きない。




 そこから、大学に通えなくなった。




(大塚颯太・・・誰だっけ?)



 仕事の帰り道にふと頭をよぎった。


 一日考えても思い出せないのだから、親しくないのは間違いないと思った。



 そんな相手なのだから、すぐに忘れても良いはずなのに・・・何故か気になった。



 若い男性の声だった。

 

 一体誰だったのだろう。



 帰宅し、やるべき事を全て済ませてベッドの中でスマホの連絡先を眺めていた。



 すると、突然着信の画面に切り替わった!



 画面には「大塚颯太」の名前が表示されていた。



 息を呑んだ。



 一体、何の用事だろう?


 昨日、失礼な事をしてしまった?


 それとも、仲の良い相手だった?


 思い出せない。


 出るのが怖い。



 悩んでる間にも、スマホの着信音は鳴り続けている。



 私は勇気を出して通話ボタンを押した。



「もしもし・・・?」

『・・・・・・』



 返事は無かった。


 向こうから掛けてきたのに、何でだろう。



「もしもし?」

『・・・あれ?これ繋がって・・・』



 遠くから声がしたと思ったら、私の耳に男性の声がはっきりと響いた。



『すみません。間違って掛けたみたいで・・・切ります。』

「あ・・・はい。」



 と返事をした瞬間、私は大声を出した!



「待って!!まだ切らないで!」

『え・・・』



 しまった、何も考えないで、つい呼び止めてしまった。



 でも、今しかチャンスがない。



「あの・・・私の事、覚えてますか?」



 こう聞けば、私が相手を覚えていないという事を隠しながら、かつ、親しい間柄だったのか確認できる。


 この後の反応で。



『・・・はい。覚えてますけど。』

「・・・!!」



 覚えてる!


 ・・・という事は、忘れてるのは私だけ。


 一気に冷や汗が流れた。



 まずい、こうやって話しても、やっぱり相手の事を思い出せない。



『もう切っていいですか?』

「待って!・・・えっと、その」

『もう一緒にやる課題は終わったと思うけど。他に用事があるんですか?』




 ーーーー思い出した。



 大塚颯太。



 大学生の時に、同じ課題を一緒のグループで

した。



 かつて、私が好きだった人。



 そして、



 自殺してしまった人。



 でも、生きている。



 今、電話をしている。



 あれは別の人の事だったんだ。



 ーーーー四年前。



 半年間だけだったが、


 目でいつも追っていた男の子。


 その人と話をしている。


 もう、いないんだと思ってたのに・・・



 淡い記憶が蘇り、舞い上がった。



 あの時言えなかった言葉を



 口にしてみたい衝動にかられた。



 もう、大学を卒業してるし、言ってもいいよね。



「・・・あなたに言いたかった事があります。」


『・・・なんですか?』



「私・・・あなたの事が、好きでした。」



『・・・』



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