吸血姫と僕の自給自足コロニー建造リポート
晴天の雪道を歩く一行。
その左斜面から一行を飲み込む雪崩。
下部 建都は見知らぬ天井の部屋で目覚めた。
「 お目覚めですね。
お身体に痛みは御座いませんか? 」
メイド服の可愛らしい少女が問い掛ける。
「 ? ? 無い… です 」
事態をのみこめぬまま答えた。
「 良かった。
今、館の主人が参りますので、お待ちを 」
部屋を出て行く。
ケントはベッドから上体を起こしつつ 窓の外に視線を向けた。
「( 夜中… 何時だろう )」
誰かが扉をノックするので応える。
「 どうぞ 」
白髪かと見間違うほど薄い金髪の少女が、
続いて執事らしき服装の若者が入って来た。
「 おはよう。 ケントくん 」
「( おはよう??
こんな夜中に??
それに、どうして僕の名を…? )
こ、 こんばんわ 」
少女はクスリと笑う。
「 私は、カルンスタイン・カーミラ2世。
この国では華龍院 咬羅〔 カリュウイン カミラ 〕と名乗ってます。
よろしくね 」
「 僕はシモベ ケントと言います。 よろしく 」
事態を問おうとしたら執事らしき若者が割って入った。
聞くと、
どうやら自分は雪崩事故に遭い
カミラさんに救って貰ったようだ。
今に為って気付いたが着替えさせられてる。
執事が服や所持品を渡してくれたので、
携帯端末で検索すると雪崩事故のニュースを確認できた。[※1]
持ち物の中に見覚えのない道具が1つ。
無線式スイッチのように見えるのだが…
さっき退室したメイドさんがノックしてから
ガラス容器を載せた台車と共に入室してきた。
「 これはパラサイト・スライム〔 吸血粘菌 〕[※2]。
キミを蘇生させる際に、
どうしても心拍が戻らず
仕方なくコレに替わりさせてあるの 」
カミラさんが僕の目を見つめながら打ち明ける。
※1 心停止の影響で記憶に障害あり
※2 宿主との適合率あり
衝撃的な告白と言うか
もぅ何が何やら…
この命の恩人の館は、
吸血鬼たちの全寮制高校敷地内に在り、
カミラさんも其の学校の生徒なのだそうだ。
「( 吸血鬼って…
実在したんだ… )」
第1話 完