さらりとsalary
※R15は今後の予防線のために付けています、現段階ではそういった要素はないです。
※ややシリアス少なめのバトルものの予定です、シリアス好みの方には肌に合わないかもしれませんのでご注意ください。
※今後の更新はゆっくりやります。
あらすじ
金を欲する両親が為にバイトを探し、見つけた世界を守る怪しいバイト、エースアルバイター奈々花ちゃんの仕事ぶりを見学すると、実際怪物を戦って無力化?していた。
いや、待ってこれ働いたらこれを私もやるの?そんな不安もありつつ店長っぽいおじさんの元へ戻るのだった。
「どうだった?実際見てみて。」
「ど、どれがですか?」
どう・・・?どれのことだ、怪物が普通にいること?奈々花ちゃんのアクロバティックスラッシュが格好良かったこと?これが仕事としてまかり通っていること?本当に奈々花ちゃんが一言も喋らないこと?正直聞きたいことしか無い。
「その顔は疑問で頭が一杯って感じかな、うんうん、じゃあ順を追って説明するね、その後働くか聞くから。」
「助かります。」
「じゃあ、まず奈々花が戦っていたのが何かの説明からかな。」
さっきいた怪物みたいなのの説明からしてくれるようだ、確かに一番気にはなる。
「さっきのは、転生に失敗した人というのが分かりやすいかな?あれを放置すると、しっかり実態を伴って他の生き物なんかに危害を加え始めるから止めないといけないんだけど。」
転生、最近ありとあらゆるところで聞く単語だ、違う世界に飛んだり、完全に違う生き物になったり、ゲームみたいな世界に行ったり・・・そっか放置すると危険度があがる、それを止めるから世界を守るってことなのかな。
「何故か分からないけど、最近転生したがる人が多くってね、そんな気持ちの人を利用して、仲間を増やそうとしている団体がいてね。」
「あーなるほど・・・仲間?」
転生したがる人が増えてるのは何となく分かるような・・・ん?仲間を増やす?団体?
「まぁ、それは追々いつか話すよ、じゃあ続けるよ、転生したい人間に事故に見せかけた・・・さっきならトラックでひいて、一度人生を終わらせた後ある道具を使用するんだよ。」
「ある道具?」
私がそう言った瞬間、奈々花ちゃんが丸いおっきいビー玉みたいなのを持って、ぴょこぴょこ飛びながらこちらに見せてきた。
「そう、これ、これを核にして、こっちの世界に強引に転生させてるんだよ、だから正確に言うと失敗したわけじゃ無いんだけど。」
「あぁ、だから事故現場みたいになってたんですね。」
確かに怪物がいた場所は、どう見ても事故現場だった、なるほどこっちの世界を離れそうになった魂的なものを強引にこっちに止めて怪物にしているのか一応言ってることを理解はある程度出来る・・・現実味の無いことを無視すれば。
「その時細胞一つ残さずまるごと転生させるから、現場に命の消えた体は残らないし、血痕も残らないんだよね。」
「あぁ、確かに現場には何も無かったですね。」
だからトラックが突っ込んでいった跡はあったけど、人が轢かれたっていう跡がごっそり無くなっていたのか。
「あれ?トラックは?」
「回収されてるね、人気も無かった場所でやってるから見つからずに出来るだろうし。」
あんな怪物生み出せることを現実とすれば、それぐらいは出来そうだ、しかし私の感覚も麻痺して来てる気もする。
「そして、次に何故切った後、何もせず放置したのかというと、さっき見せた、ビー玉みたいな核を破壊すると、勝手に元の人間に戻っていくのさ。」
「あ、戻れるんだ!」
完全に人としては終わってしまったものかと、可逆性なんだ。
「うん、だから人的被害は無いし、変化している前後の記憶も元に戻った瞬間ほぼ無いから事件が表沙汰になることも殆ど無いんだよね。」
ん?でも転生したくなるほど辛い人が元に戻っても・・・また・・・。
「そうだね、何回かこれを起こすことも少なくないんだよね。」
「え?」
「まぁそれが、向こうの狙いなんだよ、この転生・・・失敗すると理性を失って巨大化して暴れるけど、実は成功ともいうべきことが起きることもあるんだ。」
「じゃあ、成功は巨大化しないんですか?」
「そうだね、そもそも人が記憶も持って、転生したら普通の人型になるよね。」
「は、はぁ。」
いや、転生したこと無いから、一般論みたいに言われても。
「繰り返しになるけど巨大化せず、理性とかもそのままなのが成功例だね、まぁ、本当にかなり低確率でしかならないし、何かで確率が上がったりはしないし回数こなすしかないんだよ。」
「でも、そうすると、こっちもそれの助けになっちゃってるんじゃ。」
こっちが姿を戻しただけだと、繰り返し転生されるは止めれなくて、いつか成功例が出ちゃうのでは。
「まぁ、その辺の対策はある程度してるからそんなに繰り返したりはされないはず。万が一成功しちゃうと手が付けにくいほど強くなっちゃうから困っちゃうし。」
どんな対策しているのかちょっと気になるけど、これ以上今情報を増やすと混乱する可能性がありそうだし今はやめとこう。
「あとは、奈々花の武器かな?」
奈々花ちゃんが振り回してた武器、刀である、普通の日常生活だと擬人化や画面越しに見ることはあっても実際に使っているところは初めて見た。
「あれは、色んな所の技術を集めて作った武器だよ。」
「色んな所から集めたのに強度は無いんですか?」
本音を思わず言ってしまった、正直戦っているときの最大の不安要素でした。
「あはは、痛いところを、強度を上げない代わりに切れ味に振っているから、そうなっちゃうんだよね。」
「・・・フンフン」
回避するから大丈夫だって言わんばかりに、反復横跳びをしている、アンタさっき動きすぎて疲れてたじゃ無い!!
「さっきのは、見学なんて初めてだったから奈々花が格好いいところを見せるために、わざと避け続けて、絵の派手さと動けるアピールをしてたんだよね、普段はもっとスマートだよ。」
「・・・テレテレ」
あぁ、やっぱり気合いを入れてあえてやってくれたのか、それは感謝したい、確かに凄かった、後に息が切れなければ。
「とはいえ、一撃が入っていれば不味かったから、油断しないでよね。」
「・・・コクコク」
やっぱりもし攻撃を受けていたら危険な状態だったのか、初戦闘で敗北されたらトラウマだったね。
「せて、と、説明はあらかたしたけど、質問はあるかい。」
「うぅーん、正直まだまだ疑問はありますけど・・・。」
ひとまずこれで納得しておいて、一回一人で冷静にまとめたい。
「それでどう?一緒に・・・」
「いや!待って!まだ働くかどうかは決めてないから!」
だってもし奈々花ちゃんがしてたことを私がやるとしたら、危険と隣り合わせの仕事だし、即決で決めれない。
「・・・」
ちょっと奈々花ちゃんが寂しそうな顔をしている気もするが、考えさせてくれい。
「ちなみに給料っていくらなんですか?求人票には応相談ってあったんですけど。」
「あぁ、そうだねそれを開示しないのは不公平だよね、奈々花。」
それを聞いた奈々花ちゃんが、何かが書かれたメモ用紙をこっそり渡してきた・・・二人しかいないのにこっそり渡す意味とは?
「ええっと・・・?あれ、これ何の数字ですか?パスワードですか?」
そうか、パスワードだからこっそり渡したのか。
「いんや、それは基本給だよ。」
「は!?え!?最初の数字と可笑しくないですか!?ば、バイト?バイトなんですかこれ!社長とかじゃ無くって!?」
冷静に考えると多分社長ならもっと貰ってる、じゃなくって嘘でしょ!こんな貰えるの?きらきらお目々の奈々花ちゃんこう見えて意外とお金持ってるの?
「・・・?」
ぐ、純粋な瞳、私はもうお金に縛られているんだ、すまない、欲にまみれて。
「か、えっと、これ、冗談ですよね?」
「声震えてるけど、本当だよ、世界守るんだから、妥当でしょ、むしろ安いまであると思うよ。」
これなら両親にちょっと少ない金額を言っても、文句言われないし十分すぎるほど遊べるぞ・・・。
全身がありえないほど震えている、これが武者震いって奴なのか!?おおおおお、これは迷うぞ。
「し、シフトは・・・?」
「あれ、前向きになってくれたのかな?」
あれだけ出すと言われたら・・・判断が揺れるのは当たり前じゃ無いか、命を危険に晒してるのにおっかねぃ。
「そこはお相手の転生しようとした回数次第な所もあるけど、学校通っているならあんまり縛る気は無いよ、あくまでサブとして雇うからさ。」
いや、信用していいのか、入ったら囲んで週7組まれて、不登校にさせられるのでは・・・私だって高校ライフも青春したい。
「一回持ち帰っても良いですか・・・?それともすぐ返事が必要ですか・・・。」
「もちろん、待ってるよ。」
「・・・ニコニコ」
いいんだ!じゃあ一回静かに考えこよう!お金とか、マネーとか。奈々花ちゃんも笑ってるし。
「じゃあ、その・・・近日お返事を・・・。」
「うん、前向きに検討してくれるとありがたいかな。」
「はい・・・では・・・!」
「・・・ブンブン」
手を振ってお見送りまでしてくれた、ごめん、今給料で頭が一杯、ドアを閉め、なるべく平常心で階段を降りていく。
こうして私の激しい職場見学は幕を下ろすのであった。
次回予告
煩悩が覚醒してしまっている私、はたして煩悩を振り切り、冷静に就職のジャッジを下すことが出来るのか!
次回・・・よろしくね!給料と奈々花ちゃん!
※登場する地名、団体、名前はフィクションです、現実に存在する地名、団体、名前とは無関係です。
※上の注意書き書いてみたかったんです、いいよね。