雨の一粒
仕事関係で、お葬式に参列した。
読経の中、焼香させてもらい、
故人を偲ばせてもらった。
写真のお顔は、大層、にこやかで、
きている者達を、
向こうから見送ってくれている
ようであった。
どちらの側にいても、
にこやかであることは、
一番の救いにちがいない。
救いのもと、故人はこれから、
時空を超えて、自身の願いに
過ごされるのだろう。
そして、生きる者達は、
明日を迎え、未来を迎え、
これからも、自身の願いを
受け留めていくことになる。
安らかに、眠るというのは、
時に、願いを枕にする。
どうか、安らかにお眠りください。
帰り道、曇り空から一粒、
雨が落ちてきた。
散髪したての頭が、そこだけ
痒くなった。
生きている者は、今を大切に……
そう、言われた気がした。