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悪役令嬢の生産ライフ  作者: 星宮歌
第一章 幼少期編
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第九十三話 お説教1

ブックマークや感想をありがとうございます。


今回は、お説教回です。


それでは、どうぞ!

 目が覚めてからも、私のことを心配する声は多かった。庭師で親子のガロンとメロンや、料理番のトニー、マナーの先生でもあるアネッサ夫人も心配していたとのことで、ちょっとばかしほっこりしてしまう。



(って、そうじゃなくてっ、ちゃんと話をしなきゃ)



 ついついこの温もりに流されそうになってしまったものの、ちゃんと起きたことの報告はしなければならないだろう。王妃様からも、詳しく話をする許可は得ているのだから。

 もう少しゆっくりしてはどうかと勧めるメリーを、やんわりと退けて、私はお父様とお継母様へ報告することがあるのだと主張する。メリーは少しだけ躊躇いはしたものの、基本的に、よほどのことがなければ私の言葉を否定することはない。すんなりと、お父様達に会う約束をとりつけることに成功し、現在、お父様の執務室に居る。



「ユミリア、もう少し休んでいても良かったのだが?」


「もう、何も問題はありません。それよりも、お話を聞いてください」



 未だに心配そうに見つめるお父様とお継母様。そして、どうせ一緒に説明することになるだろうからと、セイ、ローラン、鋼にもこの場に集まってもらっている。そうして、私はお茶会の場で何があったのか、それに対して、どんな対応をしたのかを説明していく。



「そう、か……」



 全ての話が終われば、お父様はその一言とともに沈黙する。セイ達は口を挟む様子はないが、お継母様の方は何か言いたげな様子ではあった。しかし、お父様を優先しているため、今は発言できないらしい。



「お父様?」



 難しい顔で黙り込むお父様を前に、私は少しだけ、不安になる。何か、機嫌を悪くさせるようなことがあったのだろうか、と。



「ユミリア。これは、アルテナ家当主として言う。お前の行動は、非常に危ういものだった。王妃様の機転がなくば、お前は今後、多くの敵を作るところだった」



 王妃様の機転、といえば、私が襲撃者を撃退した時のことだろう。しかし、どうにも話の内容が見えない。それを察したのか、お父様は詳しい説明をしてくれる。



「ユミリアは、自覚がないようだが、今は五歳の幼子だ。そんな子供が、大の大人を何人も撃退するだけの力を持つというのは、異常なことだ」



 言われてみれば、確かにその通りだ。しかし、だからといって、あの時レイア嬢達を見捨てるということはできなかった。



「ユミリアが失敗したのは、その力を、大勢の前で見せつけてしまったことだ。そうすれば、ユミリアを手に入れようと画策する者、脅威と断じて排除に乗り出す者も多くなる。特に、ユミリアは黒の獣つきでもある。恐らくは、排除の方向で動く者ばかりになっただろうな」



 それが、どうやら王妃様の機転で、どうにか回避された形らしい。しかし、完全に回避できたかと問われれば、そうもいかない。



「『王家の守り人』という地位を賜ってもなお、ユミリアを危険視する者は出てくる。もちろん、それは忠臣か、ただの愚か者かのどちらかにきっぱりと分かれるだろうがな」



 忠臣であれば、私の存在が国の脅威になると判断し、王家に逆らってでも何とかしようとしてくるだろう。そして、愚か者は、王家の意向を無視できるだけの何かを持った考えなしのことで、彼らは単純に、私の存在そのものを嫌って消そうとしてくるだろうとのことだった。



「ユミリア。私達貴族は、行動に対する結果を予測しながら動かなければならない。そうしなければ、被害を被るのは自分だけとは限らない。使用人や友人、家族が危機に晒されることだってある。本当は、まだ子供なのだからと甘やかしてやりたいところではあるが、ユミリアのその力は強過ぎる。だから、できるだけ早く行動と結果を掴めるよう考え続けなさい」


「はい、お父様」



 正直、私には貴族という実感がいまいち存在しなかった。前世は庶民だったし、今世は最初からハードモードで令嬢らしからぬ行動ばかりだった。今だって、令嬢らしいかと問われたら、その勉強はしている、程度だ。



(こういうのを、確か、ノブレスオブリージュって言うんだったっけ?)



 世界史の授業で習った気がする言葉を思い浮かべ、自身の行動の責任というものを強く意識する。



(ただの子供でいちゃいけない。力があるなら、それを制御して使いこなさないと……)



 その後、しばらくはお父様から貴族としての心構えを聞かされて、それを胸に刻むこととなる。

 ユミリア・リ・アルテナという貴族は、この瞬間、産声をあげたのだった。

ユミリアちゃん、幼いながらも貴族としての自覚を持った模様。


力さえなければ、黒でさえなければ、もうちょっとゆっくり子供時代を楽しむ手もあったんでしょうけどね?


それでは、また!

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