第八十八話 お友達
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今回は心暖まる展開?
それでは、どうぞ!
緊張したような面持ちのレイア嬢達に、私も自然と緊張してしまう。
「あ、の……」
どうにか絞り出したであろうレイア嬢の声に、私は、次に何を言われるのかを予想し、逃げ出したくなる。しかし、なぜかイルト王子から手を掴まれているため、逃げるに逃げられない。
(もしかして、もう、お友達ではいられない? 私が、暴れたから?)
自業自得だというのに、もう、泣きそうだ。
「ダメですよ。そんなに躊躇っていたら、変な誤解をさせてしまいますでしょう? さぁ、ユミリア嬢。顔を上げて?」
「私達、感謝を述べにきた」
リリアナ嬢とナターシャ嬢の言葉に、私は訝しく思いながらも顔を上げる。すると、そこには、微笑みを浮かべるリリアナ嬢と、相変わらず眠たそうな表情でありながら、私に真剣な視線を送るナターシャ嬢が居た。そして、レイア嬢も良く見ると、緊張ばかりではなく、心配そうな表情も浮かべている。
「えっ? あの……?」
「改めて、私達を助けてくださり、ありがとうございます」
「あ、ありがとう。おかげで、本当に助かったわ」
「ありがとう。もう、ダメかと思ってた」
リリアナ嬢、レイア嬢、ナターシャ嬢がそれぞれに感謝の言葉を告げてくる現状に、私は頭が追い付かない。
「ゆみりあじょうは、いいともをえたんだな」
ポツリと落ちたその言葉。少し羨ましそうな音が混ざったその言葉で、私はようやく現状を把握する。
「わ、たし、は……」
「ユミリア嬢っ、ぜひともっ、今後もお友達でいてくださいましっ」
「えっ? えっ?」
「当然、私達も友達のままでしょうね?」
「あ、あの……」
「ユミリア嬢、格好良かった。ぜひとも、ずっと仲良くして」
「っ……」
最終的に、私は言葉を紡げなくなる。何せ、視界がぼやけて仕方がないのだ。
「ゆみりあじょう。もちろん、ぼくはずっと、えいえんにそばにいる」
ついには、イルト王子に抱き寄せられて、その小さな胸に顔を埋めると、一気に大きな感情が溢れた。
しばらくの間、私はイルト王子の腕の中、三人の友達に見守られながら泣き続けた。そして……。
「あらあら、ユミリア嬢、少しお部屋を借りなきゃならないですね?」
「目が真っ赤よ? 王妃様に会う前に、少しでも冷やさなきゃ」
「殿下、ズルい……」
最後のナターシャ嬢の言葉は良く分からないものの、どうやら、私の顔は酷いことになっているらしい。
(まだ、お化粧をする年齢じゃなかったことに感謝、かな?)
きっと、お化粧をしたままであれば、お化けのようになっていたに違いない。
勝手の分からない私に変わって、三人が部屋の手配やメイドの手配を行ってくれ、とりあえず見れる顔になるまで、ずっと一緒に側についていてくれたのだった。
いやぁ、美しき友情が育まれておりますねぇ。
それでは、また!