第七十九話 お茶会
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そろそろ、糖分不足が深刻なことに……。
でも、まだ甘くはならないです。
それでは、どうぞ!
なぜか怒り心頭な全員を必死になだめて、しばらく意見を交わした後は、お開きとなった。正直、ずっと話し続けて疲れていたため、少し安心しながら部屋へ戻っていると、ちょうど私の部屋へ向かっていたムトに手紙を渡される。
「イルト王子殿下からです」
それは、私が毎日楽しみにしているイルト王子からの手紙。
ムトにお礼を言って、ウキウキしながら部屋の中に入って、椅子に座ると、すぐさま封を開く。
「……お茶会?」
そして、そこに記されていたのは、いつもの他愛のない会話と、お茶会へのお誘いだった。何でも、王妃様がお茶会を開くらしく、よければ一緒に来ないかとのことだった。
「絶対、行きます!」
イルト王子と一緒に居られる時間が増えるなら、返事は『はい』か『イエス』かしかない。
と、そこで、私は一つのことに思い至る。
「そういえば、『モフ恋』に王妃様って出てきたっけ……?」
アルト王子とイルト王子、そして、父親である国王陛下と側妃様が居たことは覚えているが、王妃様のことがどうしても浮かんでこない。
「そういえば、王妃様の実家があるお国は戦争状態だって聞いたけど……それが何か、関係あるのかな?」
王妃様のことにまで思考を向けていなかった私は、今、初めてそちらへと思考を向ける。しかし、情報が少な過ぎてどうにもならない。
「……後で、お父様に話してみよう」
気のせいならば良いが、もし、何らかの理由で王妃様が表舞台に立てなくなる時が来るとするならば、それはきっとただごとではない。対策ができるのであれば、何かした方が良いだろう。
「今は、イルト様とのお茶会に向けて、女を磨くのよっ!」
お茶会は、一週間後だ。それまでに、イルト様に褒めてもらえるよう、マナーもダンスも完璧にして、そして何より、ドレスも厳選せねばならない。
「メリーっ、メリーっ!」
頼れるメイド、メリーを呼んだ私は、耳をパタパタ、尻尾をユラユラさせながら、一週間後に思いを馳せる。
そして、一週間後。
「あらやだ。ごめんあそばせ?」
クスクスと笑う、私よりも年上な令嬢達。彼女達は、青と黒のゴシックロリータっぽいドレスを身に纏う私に『手が滑った』と言って紅茶をかけてきたのだ。
「いえ、お気になさらず。誰でも、手が滑ることはありますものね? そう、こんな風に」
そして、私はストレージからさりげなく取り出したソレを令嬢達に投げつけて……辺りは、阿鼻叫喚に包まれるのだった。
はい、愚かな令嬢達に鉄槌を!
……ユミリアちゃん、何をしたんでしょうねぇ?
それでは、また!