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悪役令嬢の生産ライフ  作者: 星宮歌
第一章 幼少期編
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第六話 やっと……

ブックマークや感想をありがとうございます。


ようやく、ユミリアちゃんが動き出しますよー。


それでは、どうぞ!

(やった。私は、ついに成し遂げたっ!)



 誰も居ない部屋で、万感の思いを込めて万歳をする私の姿は……まぁ、小さな子が何かしている、程度にしか思われないだろうが、私自身は感無量だった。



「めりー、ぜっちゃい、ちゃしゅけりゅのっ(メリー、絶対、助けるのっ)」



 目に炎をともす私は、現在、一歳と半年くらいで、ようやく、少し走れるくらいになってきたのだ。つまりは、第一目標達成。これで、素材集めのために動けるというものだ。



「ちゅごうのいいことに、わちゃしのとこりょには、だれもこにゃいのっ(都合の良いことに、私のところには、誰も来ないのっ)」



 メイド達の私に対する態度は変わらない。私はやはり、不吉の象徴で、視界に入れるのすら嫌らしい。そして、生まれてこのかた、私は両親に会っていない。いや、多分、声だけは一度聞いているのだが、その声の主がここに来たことは一度もない。



(やれるっ。私なら、やれるっ!)



 まず行うのは、錬金術の素材集めだ。しかし、その前には大きな壁が立ちはだかっている。



(まずは、扉を開ける試練からっ)



 扉。それは、あまりにも高いハードル。何せ……取っ手に手が届かない。



「しんちょー、ほちぃ……(身長、ほしい……)」



 『んーっ』と声をあげて、目一杯背伸びしてみるが、全く届きはしない。しかし、踏み台もない状態では、普通、これが限界だ。



「やっぱり、ありぇをちゅかうとちがちたのっ(やっぱり、あれを使う時が来たのっ)」



 そうして、私はトテトテと扉から離れて……。



「どちどち、けんちく~(ドキドキ、建築~)」



 そう言いながら、作成キット一覧の中から『建築キット』というものを選び、素材から『上質な木材』、『上質な布』というものを選ぶ。ちなみに、木材に関しては、錬金術で床を五ミリほど満遍なく削って生成したもので、部屋が広いおかげで、踏み台ができるだけの量を集められた。私の能力は、キットを使った作成能力と、道具を使わず、錬金術なり何なりの力を利用して採取する力がある。今回は、錬金術の力を使って採取した形だ。おかげで、メリーだけは地面が低くなったような気がするといっていたが、それ以外のメイドには気づかれていない。

 そして、布に関しては……私を避けるメイド達に向けて、錬金術の採取を発動させ、密かに服の繊維をもらっていたのだ。そして、それが端切れとなると、裁縫の力で一枚の布へと変化させていった。

 しかし、そんなことをしていたせいか、私に会うと服が破ける呪いがかかると噂されているとかなんとか聞いたような気もする。まぁ、私としてはどうでもいいことなのだが……。

 なにはともあれ、とりあえず、私はそれらを使って、ちょっと布のカバーがかかった踏み台を作ることができる。



「ふんふんふーんっ」



 鼻唄を歌いながら、作成のために、目の前に現れたトンカチやノコギリなどが入った建築キットへと魔力を込める。この、魔力の使い方も、まだ話せないうちからしっかり練習をしていたので、今では随分とスムーズにいく。

 『コツ生』では、自力で裁縫したり建築したりする方法の他に、魔力を込めることで道具を自動で動かす方法がある。今の私では、とんかちを持つことなどできないため、この方法しかあり得なかった。



(何より嬉しいのは、消音機能があることだよねっ)



 普通ならトンテンカントンテンカンとうるさいであろう作業だが、後に消音の機能を見つけ、キットで作成する場合に音が出ないようになったのだ。現に、今、ひとりでにノコギリがギコギコと木材を切っているが、何の音もしない。

 そうしてしばらく魔力を込めていると、キラキラとしたエフェクトが現れる。



「かんしぇー! (完成ー!)」



 完成したのは、四角いパッチワークの白と灰色のカバーがついた、シックな踏み台だった。

両手を挙げてキャっキャと喜ぶ猫耳幼女……。


この子を避けるなんて、もったいないことをしてますよね。


それでは、また!

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